後藤祐樹さん

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 元「モーニング娘。」後藤真希(36)の実弟で、元「EE JUMP」の後藤祐樹さん(35)が、首にある鯉のタトゥー除去を始めた。

【拡大写真】後藤祐樹の首に入っている「鯉」と指に入れたタトゥー

 きっかけは、2021年11月20日にAbemaTVで配信された「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」企画への応募だった。「賞金をゲットして首のタトゥーを消す」をモチベーションに参戦を決めた後藤さんだったが、いざ朝倉選手と対戦するや45秒で仕留められるという結果に。

 後日、2人はお互いのYouTubeチャンネルでコラボを行い、その中で朝倉選手が「無償でタトゥー除去を行ってくれる病院が見つかったので、これから一緒に行こうか」と後藤さんに提案。そのまま2人は東京・新宿の東京イセアクリニックを訪問し、後藤さんのタトゥー除去をスタートさせたのだ。

 現在は2か月に1回のペースで通院を続けている後藤さん。首に鯉を入れた理由、タトゥー除去を決心した経緯、姉・後藤真希さんからの反応、そして新たにタトゥーを入れようとする人へ伝えたいこと等を、後藤祐樹さんが語り尽くす!

「消してほしい」の言葉を残し、母は他界した

 首のタトゥーが印象的な後藤さんだが、他の部位にもある。彼の“初めて”は、16歳のときに左腕へ入れたピエロのタトゥーだった。

「地元にやんちゃな先輩が多くて、刺青を入れている方も結構いたので、それを見て影響を受けたのがきっかけです。首に鯉を入れたのは19歳のときで、自分が荒れていた頃でした。精神状態もちょっとおかしかったので、『1番目立つ場所に入れちゃおうかな』と思って。

 あと、14歳でデビューして16歳でアイドルを辞めて『芸能界にはもう戻れないだろう』と思っていたので、芸能界への決別という意味も当時はたぶんあったと思います。絵柄を鯉にした理由は特にありませんでした(苦笑)」(後藤さん)

 彼が首の鯉を消そうと思った理由は、後藤さんの母が強く希望していたからだ。

「鯉を入れるとき、事前に言うとうちは反対されるのがわかっていたので、強行突破で入れてから家族に事後報告したんです。当時、自分は母が経営する居酒屋で働いていたんですが、昨日は何も入っていなかったのに翌日になると鯉を彫ってそのまま出勤したので、お客さんも含めて『ああ、そこいっちゃったんだ……』みたいな反応でしたね(苦笑)。

 そのときすでに母からは『消してほしい』と言われていたんですが、自分は聞き流していたんです。その後、21歳のときに自分が逮捕され、留置所、拘置所、刑務所とすべての面会で母から『出所してから首の鯉だけは消してほしい』と言われ続けていたので、消そうとは考えていました」(後藤さん)

 後藤さんの母親は2010年1月、息子が服役している最中に他界した。母の願いは、そのまま彼の心残りとなったのだ。

「出所してから自分でクリニックに聞いたり、あとは姉に相談したりしながら除去にかかる費用を調べました。そのときに伺った料金は60万円強くらいの額で、『少しずつ貯めていかなきゃいけないな』と思いつつ、もう一方で『本当に消すべきなのか?』という葛藤もありました。

 僕自身、SNS活動をしていく中で首の刺青が一種のトレードマークになっている面もあるし、単純に好きで入れたものでもあったので。でも、最終的には母との約束を大切にしたいと思い、決心しました。姉は刺青否定派の人なので、今回の除去手術を伝えると『いいね!』と大賛成でした」(後藤さん)

「彫るよりも、消すほうが痛い」

 今回は首の鯉と両手の指(計4本)の付け根にあるタトゥーを2か月おき、計5回(10か月)の施術で消していく予定だ。除去方法は色素(墨)を粉砕し、体外に排出する「ピコレーザー」。首は1回の施術において当てるレーザーは約4000発にのぼる。

 初回の除去手術は昨年11月末にすでに行われ、そのときの様子は朝倉未来YouTubeチャンネルで公開された。手術直後は照射した箇所がやけどし、水ぶくれのような状態になっていたが……。

「彫るより消すほうが痛いですね。レーザーの1発1発は跳ねた天ぷら油が一斉に皮膚に当たったような感覚で、首よりも皮膚に骨が近くて脂肪が少ない敏感な指のほうが痛かったです。僕は彫り師さんから『痛みに強いね』と言われるほうなんですが、麻酔をしていなかったら施術中に気を失っていたかもしれません(笑)」(後藤さん)

 この痛みは手術した後も半日ほど尾を引いた。その後、アイシングしながらケアを続け、ひと晩寝ると翌日には痛みは引いていたそうだ。後藤さんの施術を担当している東京イセアクリニックの酒井新介先生にも話をうかがった。

「後藤さんの首の鯉の場合は、皮膚を切って縫う『切除術』と『レーザー治療』の2つの選択肢がありました。鯉の面積が結構広かったので、前者の場合は施術を3〜4回に分けて行う必要があります。そうすると終わるまでに2年ぐらいを要し、傷も残ってしまいます。

 一方、レーザーで色素を破壊するとその部分は白抜けし、それはそれで元から何も入れていなかった肌のようには戻りません。どの施術を選択するかは、状態を診た上でご本人と相談し判断していきます」(酒井先生)

「タトゥーは覚悟を持って入れたほうがいい」

 普段は長袖で隠れてはいるが、後藤さんのタトゥーは見えない部分にもいくつかある。胸部から両方の手首までを彩る和彫りと、現在の妻の名前、昨年7月に腹部へ入れた愛犬5匹のタトゥーなど。さらに背中から太ももにかけては夜叉の和彫りを進めている最中だ。中でも、腹部の愛犬のタトゥーへの思い入れは深い。

「僕たち夫婦にはまだ子どもがいないのですが、不妊治療を6年続けている中、本当のわが子のようにワンちゃんたちを育てています。でも、ワンちゃんは人間みたいに長生きできないので、全員がいなくなったとしても常に僕が見られる状態でワンちゃんを残しておきたいという思いから刺青を入れました」(後藤さん)

 首の鯉のタトゥーは消すが、タトゥーそのものに否定的な気持ちは今も持っていないという後藤さん。服で隠れる部分は今後もタトゥーを増やしていく予定だ。

「10数年前に比べ、世間的な刺青に対する感覚はどんどん変わってきていますし、インフルエンサーと言われる若い子たちの間でもタトゥーは主流になってきています。そんな中で、温泉やプールに入れないといった刺青の規制を緩和してもらえるような活動や、彫り師の方とコラボした前向きな発信を今後はしていきたいと思っています」(後藤さん)

 とは言え、タトゥーを入れることで起こる弊害は無視できない。やはりこんな現実も根強いという。

「若いころに気に入って入れたものであっても、就職、結婚、出産など大きなライフイベントを迎えることでタトゥー除去を検討される患者様は数多くいらっしゃいます。動機は人によって様々ですが、軽い気持ちで入れてしまったために一般的な社会人としてタトゥーが足かせとなる場合があるようです」(東京イセアクリニック 広報担当者)

 事実、後藤さんも家族で温泉施設へ行くときは自分だけ部屋に居残ることが多いそうだ。今からタトゥーを入れようと考えている人たちに向けて、後藤さんからも伝えたいことがあるという。

「僕自身は首の刺青について、入れたことも消すことも後悔はありません。ただ、刺青を消そうと考える方は後悔されたケースが大半だと思います。例えば、女性の方だとお子さんが生まれたから除去を決心される場合が多いですよね。でも、そういうことって事前に想像できるはずです。

 また、入れた彫師の人たちだって、自分の作品ですから、入れたことに後悔されたり消されるのはやはり辛いと聞きます。なので、もしも入れるのなら本当に覚悟を持って入れたほうがいいと僕は思います」(後藤さん)

 “タトゥーを入れたい人”と“タトゥーを消したい人”、両者の気持ちを同時進行で知る後藤さんの言葉だけに、このメッセージは重い。

取材・文/寺西ジャジューカ 撮影/北村史成

後藤祐樹さんプロフィール】
1986年、東京都江戸川区生まれ。2000年にEE JUMPメンバーとしてデビュー。2002年、キャバクラ通いが週刊誌にスクープされ、芸能界を引退。2008年、銅線窃盗の容疑で逮捕。2012年、川越少年刑務所を仮出所。2021年7月に、ピットブル5匹を多頭飼いする夫婦の日常動画を配信するYouTubeチャンネル『後藤祐樹「おっととっとちゃんねる。」[公式]』を立ち上げた。現在はSNSを中心に活動を行っている。
https://www.youtube.com/channel/UCkoMwk-b63Rr8jNUXg2TfCw

【「東京イセアクリニック」酒井新介医師 プロフィール】
日本形成外科学会 認定専門医。形成外科歴15年、美容外科5年目(2022年1月現在)。
2002年3月、東京慈恵会医科大学卒業。同年5月、東京慈恵会医科大学形成外科学講座入局。2012年、東京厚生年金病院(現JCHO東京新宿メディカルセンター)形成外科部長ならびに東京慈恵会医科大学形成外科学講座講師就任。
2020年、城本クリニック高崎院院長就任。2021年10月、様々な美容医療メニューを提供する“総合美容クリニック”東京イセアクリニックへ入職、現在に至る。
公式HP:https://www.tokyoisea.com/ 

※参考:「東京イセアクリニック」タトゥー除去の専門サイト
https://www.tokyoisea.com/tattoo/