メタバースってなんだ!?  古くて新しい新世界の裏側を分かりやすく解説

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●突然現れた流行語「メタバース」
12月1日に「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、「リアル二刀流/ショータイム」が大賞に輝きました。

しかしIT・通信業界での今年の流行語大賞候補と言えば、やはり
「メタバース」
これではなかったでしょうか。

とくに通信業界では、メタバースとの親和性やその活用手段として5G通信が非常に重要な役割を果たすため、ひたすらにメタバース関連の強みをプッシュしていたように思います。

果たして、この聞き慣れない「メタバース」とは一体何なのでしょうか。


メタバースって、なに?



●メタバースは「古くて新しい」
メタバースとは、一言で言ってしまえば,
「人々が集うことのできるバーチャルスペース(仮想空間)」
ということです。

「なんだ、呼び方を変えただけか」
そう思うかもしれませんが、実際そのように解釈してもとくに問題はありません。
ただし、それだけの概念や技術では収まりきらないのがメタバースという発想です。

メタバースという呼称が日本でも有名になったのは、SNSサービス「Facebook」の運営会社が社名を「Facebook」から「Meta」へと変更することを発表したからでしょう。

同社はコミュニケーションツールとしてのFacebookから、さらに一歩進んだ仮想空間上でのコミュニケーションが取れる世界「メタバース」を実現するために、社名から変えることでその本気度を示したのです。


人とのつながりをより深く追求するため、Metaは仮想空間の利用を積極的に進めていく


具体的には、

・バーチャルスペースでのオンライン会議(VR会議)
・バーチャルスペースに人々を集めてイベントを開催(VRイベント)
・ARを活用してホログラム映像を人々と共有
・MRを活用して会議室にいる人々と遠隔地にいる人々を同時に同じ場所に集合させて会議

このようにメタバースとは、人々がどこにいても、常に隣にいるような感覚で繋がり続けられる夢の技術なのです。

そして、ここに利用される技術は革新的な最新技術ばかりではありません。
むしろ、メタバースを構成するほとんどの技術は、これまでのIT・テクノロジーの進化の過程で長年培われてきたものです。

例えば、オンライン上のバーチャル空間にたくさんの人々が集い、そこでイベントや活動を行うものの代表としては、MMORPGに代表されるオンラインゲームがあります。

VRゴーグルのようなものを使っていないと言うだけで、
・自分のキャラクターを自分のアバターとして表示
・仮想世界の中で自分のキャラクター(アバター)を自由自在に動かせる
・テキストチャットやボイスチャットによって会話をする
・エモートやアイコンによって感情を表現する
・ユーザー同士でゲーム内イベントを開催する

このように、メタバースが実現させようとしているコミュニケーションの多くを可能にしてきました。
しかも、それは20年以上も前から一般の人々が当たり前のように楽しんできた世界です。


たかがゲームで大袈裟な、と思われるかもしれないが、その世界にこそメタバースの概念や基礎技術が数多く詰め込まれている。(「ファイナルファンタジーXIV」Copyright (C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.)



●2022年はメタバース飛躍の年へ
メタバースの世界は、言葉で説明するととても理解しづらいため、
安易に説明しようとすると、まるで要領を得ない、伝わらないことも多くあります。

しかしながら、オンライン会議の様子やフレンドチャットなどの様子を実際に映像として見れば一目瞭然です。

全く新しいことのように思われるメタバースですが、実はすでに私たちが利用し、楽しんでいる世界をまとめてそう呼び直したに過ぎません。

逆に言えば、
・BBS(ネット掲示板)
・ウェブサイト(ホームページ)
・ブログ
・SNS
・オンラインゲーム
・ニュースサイト
・動画配信サービス
・オンライン会議システム
・VRチャットシステム

こういったさまざまなオンラインコミュニケーションの在り方が、ようやくメタバースとして1つにまとまる時代が来たとも言えます。

さらにメタバースとして統合されたコミュニケーションシステムでは、MRや5Gといった技術によって、これまでにない新しい世界も見せてくれるでしょう。

2021年はメタバース元年だと言われています。
しかし今回のメタバースでは、環境やサービスを構築する基礎技術と、参加するユーザーの準備が十分に育ってきているだけに、
2022年以降、一気に飛躍、成長する可能性も高く、大きな期待が持てます。

Metaや通信各社の2022年の動向に注目が集まることは間違いないでしょう。




執筆 秋吉 健