再ブームの先駆けは地方店? スイーツ専門家が第2次カヌレブームを分析!

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2010年代に入ってから日本全国に専門店を増やしつつ、本格的な第2次ブームを巻き起こしている「カヌレ」について、お菓子の歴史研究家・猫井登さんにじっくり教えてもらうこの企画。今回は、沖縄&東京でおすすめのカヌレ専門店紹介に加え、第2次カヌレブームの考察もお届けします!

#toc_container{display:none!important;}教えてくれる人第2次ブーム中のスイーツ「カヌレ」の名店集めました【沖縄deカヌレ】「ほうき星 港川本店」【東京deカヌレ】「銀座 虓」【東京de伝統的カヌレ】「アルカション 本店」

2010年代以降日本全国に専門店を増やしつつ、本格的な第2次ブームを巻き起こしている「カヌレ」。そんな再びの注目を集めるカヌレについて、連載「スイーツ探訪」でお馴染みのお菓子の歴史研究家・猫井登さんに、その起源から全国の専門店までじっくり教えてもらうこの企画。

今回は、沖縄&東京にあるカヌレ専門店を中心に紹介するとともに、第2次カヌレブーム発生の理由についても分析してもらいました!

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教えてくれる人

猫井登
1960年京都生まれ。 早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理科で学び、調理免許取得。ル・コルドン・ブルー代官山校にて、菓子ディプロム取得。フランスエコール・リッツ・エスコフィエ等で製菓を学ぶ。著書に「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス刊)「おいしさの秘密がわかる スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版刊)がある。

第2次ブーム中のスイーツ「カヌレ」の名店集めました

【沖縄deカヌレ】「ほうき星 港川本店」

ほうき星は、沖縄県で初めての黒糖カヌレ専門店。沖縄の黒糖を使用し、日本人好みの味わいにし、沖縄珈琲、大宣味村の緑茶など、地元の食材を取り入れたオリジナルカヌレを販売している。

出典:yume04さん

<店舗情報>
◆ほうき星 港川本店
住所 : 沖縄県浦添市港川2-16-2
TEL : 098-975-7825

ちなみに、ほうき星は東京・吉祥寺、下北沢、神奈川・横浜に店舗のある、UCC(上島珈琲)が手がける新業態のカフェ「COFFEE STYLE UCC」とコラボしており、同店のカヌレを関東でも購入することが可能。カフェ自体も食べ物によってコーヒーを選ぶ「Food with Coffee」の体験ができるお店となっているため、コーヒーとスイーツに目がない人にはおすすめだ。

出典:llamapoliciasさん

「カヌレ・デ・ショコラ」1個200円(税抜)は、プチサイズのカヌレで、取材時はプレーンのほか、オレンジ、いちご、チョコレート、ホワイト抹茶の5種の販売。カヌレのみのテイクアウトも可能だが、箱の大きさの関係で4個単位となる。

生地は、黒糖とカカオの風味がよくマッチしてコクのある旨味が感じられ、コーヒーともよく合う味わいに仕上げられている。


<店舗情報>
◆コーヒースタイル ユーシーシー アトレ吉祥寺店
住所 : 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 アトレ吉祥寺 1F
TEL : 0422-27-2895

さて、今回の第2次ブームでは地方でのカヌレ専門店の出店が目立つが、東京勢はどうだろうか? 東京のカヌレの専門店としては、2015年に「ル・カナール」、2016年に「パティスリーパダクシオン」、2018年に「ダンラポッシュ」がオープンしている。

【東京deカヌレ】「銀座 虓」

そして昨年、2020年に新たにオープンしたのが「銀座 虓(コウ)」。オーナーの佐藤慶シェフは、1980年生まれ、愛媛・宇和島出身。イタリア料理店のほか、フレンチ、和食、魚の目利きを勉強するために魚市場・寿司屋で、炭火や火入れの方法を習得するために焼き鳥店で、と様々なジャンルのお店で修業。兵庫・芦屋のフレンチ店を経て2017年4月、カウンター6席のみの「銀座 盡(じん)」をオープン。すぐに予約困難店の仲間入りするものの、2018年10月に閉店。2019年5月、カウンター10席のみの「虎ノ門 虓」をオープン。こちらも瞬く間に予約困難店となる。

「カヌレ 10個入り」

その後、2020年4月1日、銀座七丁目にカヌレ専門店としてオープンしたのが、今回紹介する「銀座 虓」。「虎ノ門 虓」で、お土産として渡していた「カヌレ」に特化した店で、販売商品は「カヌレ 10個入り」3,000円(税込)のみ。

マルチな才能を持つシェフが、なぜ、カヌレ専門店を開いたのか? カヌレの箱に入れられた説明書には、佐藤シェフの以下のようなメッセージがあったので引用させていただく。

「私たちがカヌレを焼く理由はひとつ。とても困難なものだからです。外側は焦げるぎりぎりのところまで焼きこみ、内側はしっとりさせ、卵とラム酒、ヴァニラの香りをふんわり閉じ込めなければなりません。一見、単純に見えるお菓子であればあるほど難しい。ゆえに、思い入れは強く、仕事とは面倒なことの積み重ねであると思い出させてくれるものです。誤魔化しきかないそのお菓子を、大切な方のお土産にして頂きたく店を構えることにしました」

こちらのカヌレは、やや小ぶりながら、外皮はカリカリ、中はもっちりとした食感。上品な甘さで、コクのある味わいだ。豪華な箱入りで手土産にも最適。

こちらのお店は予約も受け付けているが、電話番号は公開されていない。予約なしでも購入可能な当日分があるので、初回はそれを狙って実際に訪問するしかない。来店すると電話番号を記したカードを貰えるので、次回からは電話での予約が可能。私もカードを貰ったが、ブログなどでの公開は控えてほしいとのことだったので、お店の意向を尊重したい。


<店舗情報>
◆銀座 コウ
住所 : 東京都中央区銀座7-8-1 丸吉ビル 1F
TEL : 不明の為情報お待ちしております

このように、各地にカヌレ専門店がオープンしていること、愛知・名古屋「MEDI」、東京・吉祥寺「ライト アップ コーヒー」など、パティスリー以外でもカヌレを看板商品のひとつにする店は増加していることからも、再びブーム(第2次ブーム)が来ていると言ってもよいのではないだろうか。

前編から続けて、ざっとカヌレ専門店の状況を見てきたが、今回のブームを分析すると以下のポイントが挙げられるだろう。

その1 地方発カヌレ店の躍進

90年代の第1次カヌレブームは東京が中心となったが、今回の第2次ブームでは地方発のカヌレ専門店の躍進が目立つ。

その2 味わい・バリエーション豊かな地方、伝統の東京

各店で取り扱っているカヌレを見ると、東京以外の地域では、コーヒー、紅茶、レモン、りんご、抹茶、黒ゴマなど、フレーバーの種類も豊富で、フレーバーに合わせてチョコレートを上がけしたりナッツやフルーツをトッピングしたりと、ビジュアルにも工夫を凝らしたものが多い。これに対して東京の店では、従来型のカヌレが多く見られる。これはなぜだろうか?

写真:Getty Images

今回のブームの先駆けとなった関西地区は、常に創意工夫を凝らしていく商人気質に溢れているので、カヌレについても固定観念にとらわれず、味わいもトッピングも個性豊かなものを創造した結果これが人気を博し、各地に伝播したと考えることができよう。一方で東京では、第1次ブーム以降、多くのパティスリーで定番商品としていわゆるフランス・ボルドー流のカヌレが作られ続けていることもあり、カヌレ専門店も伝統的な製法や味わいを志向する店が多いのではないだろうか。

その3 生地と食感の多様化

前編冒頭に記した通り、カヌレは型に蜜蝋を付着させて焼くので基本的に外皮はパリッと、中はモッチリとなる。しかし、店によっては蜜蝋の代わりにバターと蜂蜜あるいは、植物性ワックスを用いることもある。またフレーバーの多様化に伴い、従来使用されていなかった副材料が生地に加えられることにより、生地の状態もかなり変わってきている。さらに、輸送・保存のために冷蔵・冷凍され、時間による変化も加わり、食感も多様化している。

写真:Getty Images

その4 サイズによる差別化

第1次ブームでは、サイズはさほど差別化の大きなポイントにはならなかったと思われるが、今回のブームでは、各店で大きさにかなりのバリエーションが見られる。サイズ的にはプチサイズの人気が高い。これは、カヌレの一般化により様々な型が作られるようになったことに加え、食べやすさや見た目の可愛さを重視する店が増えたことによるのだろう。

写真左から順に「ほうき星」「ダニエル」「銀座 虓」「キャンティー」「アルカション」「ラ スール」のカヌレ

その5 テイクアウト・オンライン販売が活発化

コロナ禍の影響で外出自粛や店での飲食が制限される中、多くの飲食店はテイクアウトやオンラインでの販売に重点を置かざるを得ない。生菓子は賞味期限が短く、形崩れの問題もある。この点、カヌレは比較的強度もあり、持ち運びや宅配便輸送にも適している。テイクアウト・オンライン販売がしやすく、これらが活発に行われていることも近時のブーム形成の背景にあると思われる。

その6 飲食他業からの進出

その4とも関係するが、本来カヌレはフランスのお菓子なので、フランスの菓子やパンを専門とする、いわゆるパティスリー、ブーランジェリーが作るものであるが、今回のブームではレストランやコーヒー専門店など、飲食他業がカヌレを看板商品とすることが多くなっている。前編〈第二次カヌレブーム(2010年代〜)〉の箇所参照。

カヌレの第2次ブームの中、多くのカヌレ専門店が開店し様々なカヌレが誕生しているが、カヌレが元々どういうお菓子なのか、ということを知っておくことは大切であろう。最後にフランス・ボルドーで作られているカヌレの味を再現しているお店を紹介して結びとしたい。

【東京de伝統的カヌレ】「アルカション 本店」

「アルカション 本店」は、森本慎氏が2005年にオープンしたお店。国内のフランス菓子店で修業後、渡仏。ボルドー地方のパティスリー「マルケ」などで修業された。こちらのカヌレは、シェフがボルドーでの修行時代に、カヌレ協会の会長を務めるマルケのシェフ直伝のカヌレ協会認定のレシピを配合から忠実に再現している本格的なカヌレ。

「カヌレ」1個213円

じっくりと焼き込まれた外皮はカリカリで香ばしく中はしっとりと柔らかなもっちりとした食感で、ラム酒の風味漂う甘さ控えめな極上の味わい。このカヌレを目当てに遠方から訪れる客も多いというのも頷ける。

こちらのお店の、もうひとつの看板商品が「デュネット」! コニャックの風味が印象的なマジパンベースの生地が入った円錐状のクッキーだ。

「デュネット」1袋1,139円

このほか、とろけるチョコレートムースの中にブラックベリーのコンポートをしのばせた「パーデザンジュ」など、ケーキ類も絶品だ!

「パーデザンジュ」482円

※価格はすべて税抜


<店舗情報>
◆アルカション 本店
住所 : 東京都練馬区南大泉5-34-4
TEL : 03-5935-6180
受賞・選出歴 :


※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年2月14日)時点の情報をもとに作成しています。

撮影・取材:猫井登

文:猫井登、食べログマガジン編集部

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