Erin Scott / Reuters

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Facebookマーク・ザッカーバーグとアップルのティム・クック、両CEOは以前より互いに相性が悪いのか、個人的な嫌悪感を含めて互いを批判する言動が目立っています。Wall Street Journalは、2018年のCambridge Analyticaスキャンダルの際、クックCEOが語ったFaebookのプライバシーポリシーに関する公の批判をザッカーバーグCEOが個人的な侮辱のようにとらえ、怒りのあまり「痛い目に遭わせてやる」と授業員に漏らしたと伝えています。

Facebookの広告を利用したCambridge Analyticaのスキャンダルに対しクック氏は「アップルは顧客を商品として扱うことがないので、こんなスキャンダルは起こらないだろう」と公に批判しました。そして、もしもザッカーバーグCEOの立場だったらどうするかとの問いには「まずこんな状況にはならないだろうね」と返答、Facebookの広告の仕組みそのものがプライバシーの侵害だと断じました。これが、ザッカーバーグ氏がクック氏を嫌うひとつの要因になったと考えられています。

クック氏は先月末にも「アルゴリズムによって生み出される偽情報と陰謀論が横行する傍らでテクノロジー企業による広告エンゲージメントこそ正義であり、あらゆる情報を搾り取ろうという風潮には、もはや目をつぶることはできない」と述べました。そして人間的な懸念よりも、相乗効果による企業としての成長を優先しすぎることには明らかなコストがかかる」とFacebookなどのサービスを暗に批判しました。

ザッカーバーグ氏も黙っているわけではなく、昨年にはアップルがIDFA(iOSデバイス用広告識別子)によってアプリが個人を特定せずにユーザーの追跡を可能にする仕組みを導入すると発表した際、Facebookはこのしくみが競争上の優位性を利用したビジネスモデルであり投資家や広告主、企業はこれによって収益が減少するとして、わざわざ新聞広告を出して批判を展開、アップルに対し、スマートフォンメーカーの立場を利用して競争を阻害するとの理由で、独占禁止法規制当局や政府に対して「アップル反対運動」を実施、訴訟の検討まで行っていました。また2020年には、Epic Gamesとアップルの間に勃発したApp Storeでの支払いの扱いに関するいざこざに対しFacebookは直接関係ないにもかかわらず、わざわざEpicを擁護する発言をしています。

実は2018年以前には、ザッカーバーグ氏とクック氏は互いの関係を改善しようと会談の場を持ったことがありました。しかしWSJの報告によればその試みは失敗に終わり、その場は”緊張感漂う無言の空間になった”とのこと。

とはいえ両社の間には共通した認識もないわけではありません。それはAR/MRの分野。すでにFacebookはOculusを手に入れ、ヘッドセットの利用にはFacebookへのログインを必要とするよう利用規約を変更してユーザーの不評を買いました。一方アップルは水面下でARもしくはMRデバイスの開発を行っていると伝えられており、最新の情報ではそれが8Kディスプレイを備え3000ドル(約32万円)ほどの価格帯になると予想されています。

ちなみに、アップルとFacebookはともに反トラスト法の調査を受けながらも直近の四半期決算は絶好調。われわれ一般人目線では、なんだかんだ言ってもどっちも儲かってるんだから仲良くすればいいんじゃないの、と思わずにはいられません。

Source:The Wall Street Journal