『伊藤家の晩酌』〜第十九夜3本目/目が覚めるような酸味の「Afruge Ma Cherie 2017」〜

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弱冠23歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第十九夜3本目は、酸味あふれるシェリー酒のような1本。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第十九夜3本目は、驚く酸味とふくよかな香りに熟成酒「Afruge Ma Cherie 2017」。

千葉県いすみ市に位置する木戸泉酒造で天然の乳酸菌を使って高温で仕込む「高温山廃酛」が、独特の酸味を生み出す。「Afruge Ma Cherie 2017」500ml 2100円(税別・ひいな購入時価格)/木戸泉酒造株式会社

娘・ひいな(以下、ひいな)「3本目は、千葉県の木戸泉酒造です!」父・徹也(以下、テツヤ)「青い瓶が印象的だねぇ」ひいな「Afruge Ma Cherie(アフルージュ マ シェリ)です」テツヤ「見た目からデザートワインぽくない? あ、デザート日本酒か」ひいな「そうでしょ? だから、デザートっぽいのを合わせたいなと思ってる」テツヤ「どんな味なのか気になるなぁ」ひいな「前に、木戸泉酒造のセミナーに行ったことがあってね。その時にこの蔵は熟成酒のプロフェッショナルなんだなってすごく感じたんだよね。これは2017年の熟成酒なんだけど、この蔵は熟成酒の先駆けみたいなところで」テツヤ「へぇ。これはシェリー樽で寝かしてるんだ。いいね。シェリー樽好き」

ひいな「同じ蔵の『afs(アフス)』っていう好きな日本酒があるんだけど、その製法が『高温山廃一段仕込み』っていう原料のお米と米麹と仕込水を55度で一度に仕込む、独特のやり方なんだけど、すごく酸味が出やすくてめっちゃ酸っぱいの」テツヤ「そりゃ伊藤家の好きなタイプだね 普通は何段仕込みなんだっけ?」ひいな「三段仕込み」テツヤ「ほほぅ。一回にまとめちゃったんだね。本当に日本酒って造るの大変だなぁ」ひいな「そのアフス製法した純米酒をシェリー樽で10ヵ月で熟成させた後、さらに1年半貯蔵熟成をしているんだって」テツヤ「手が込んでるねぇ」ひいな「木戸泉酒造さんは熟成に関してプロだから、ちょっと楽しみにしてて」

テツヤ「わぁ、すごい色!」テツヤ&ひいな「乾杯〜!」

きれいな琥珀色!香りもこっくりと熟成感を感じます。一口飲んで、その味にびっくりの父・テツヤ。酸っぱい〜。

テツヤ「いただきます! 酸っぱ!!! こりゃすごいな。お酢? 健康酢だよ、これ!」ひいな「これがアフスの醍醐味だから」テツヤ「すごいインパクト! 確かにシェリー感はあるね。香りが強めだけど、飲んでみると味はそんなに強くないね。香りは紹興酒、味はお酢」ひいな「その反応わかる(笑)。アフスはこの酸味が特徴的なの。伊藤家が嫌いじゃない味でしょ?」テツヤ「一口目の衝撃から、飲むほどにどんどんおいしくなってくるね」ひいな「でしょ? 」テツヤ「今すごいおいしいもん。結構しちゃうんじゃないのお値段」ひいな「熟成酒だからね」テツヤ「なんかさ、高級旅館の夕食で食前酒とかで出てきそうだよね」ひいな「イメージ(笑)」

「Afruge Ma Cherie 2017」に合わせるのは、伊藤家特製「ティラミス」。

テツヤ「相当酸味あるよね? これと何が合うんだろう。ぜんぜん想像つかないな」ひいな「ヒント。デザートです」テツヤ「お、スプーンが出てきたということは……。アイスとか? プリンかな?」ひいな「どうでしょう?」テツヤ「うわ! まさかのティラミスか! ティラミスってさ、『Hanako』が流行らせたんだよ!」ひいな「え、そうなの?」テツヤ「そう、ブームを作ったのは『Hanako』なの(ライター注:1990年に“イタリアンデザートの新しい女王”として『Hanako』でティラミスを特集し、一大ブームとなった)」ひいな「知らなかった」テツヤ「俺らの世代は、『Hanako族』だから」ひいな「そうなんだ(笑)」テツヤ「イタリアンに行くとさ、必ずティラミス頼んだよね」

ひいな「ティラミスとこのお酒を合わせてみて」テツヤ「このティラミス、甘さ控えめで苦みが効いていていいねぇ。好みだわ。食後の後の甘いものはちょっと罪悪感あるからさ。ラーメンは罪悪感ないのに」ひいな「ラーメンはいいんだ(笑)」

テツヤ「うわ〜! 合う、合う、合う!」ひいな「このお酒と合わせると最高じゃない?」テツヤ「お酒に甘みがあるから、すごくバランスがいい!」ひいな「インスタントコーヒーとクッキーを敷いて、マスカルポーネと濃い生クリームをたっぷり載せて、上にココアをかけました」テツヤ「日本酒とティラミスなんて合うイメージ全然なかったから、意外な組み合わせだった」ひいな「ティラミスに合わせるなら、これくらい振り切ったお酒かなと思って」テツヤ「いいね! すごくおもしろかった」

スイーツ×日本酒という意外性なおいしさを発見。もっと冒険してみて。

ひいな「ティラミスって小さい頃、お母さんが作ってくれて」テツヤ「そうだっけ? さすが、ジュリアナ世代、Hanako族だね」ひいな「お正月に作ってくれてたよ」テツヤ「そうだっけ? 覚えてないな(笑)」ひいな「この器で作ってくれてたよ?」テツヤ「確かに、この器は覚えてる」ひいな「ティラミスに合わせる日本酒ってなんだろうって悩んでた時にい、〈いまでや〉さん相談したら、このお酒を紹介してもらって」テツヤ「ティラミスありきだったんだ。酸味と合わせるのは確かにバッチリだったね」ひいな「お母さんが作ってくれたティラミスにはラズベリーとかが入ってて、甘酸っぱい感じだったから」テツヤ「これは甘くなくて罪悪感のないティラミスでいいね」ひいな「いやいや、罪悪感感じた方がいいティラミスだと思うよ。作るところみたら驚くと思う(笑)」テツヤ「めちゃ食べちゃったよ(笑)。日本人ってさ、ティラミス大好きだよね」ひいな「大好きだよね」テツヤ「この苦みとやわらかさが今までないスイーツだったんだろうなぁ。昔はお金なかったから、〈カプリチョーザ〉でティラミスを頼んで食ってたんだよ。俺たちのイタ飯といえば〈カプリチョーザ〉だったからね。“イタ飯”を流行らせたのも『Hanako』 なんだよ。さすがだねぇ。ひいなが生まれる前の話だけどな(笑)」(ライター注:ちなみに、元祖イタリアンともいえる〈カプリチョーザ〉が「シェフの気まぐれサラダ」を考案したといわれています)ひいな「家で作るスイーツの定番がティラミスだったな。あとはバナナケーキとか紅茶ケーキとか」テツヤ「もう何周りくらいかして、やっぱりティラミスっておいしいなって思うよね」ひいな「ずっと前から変わらずおいしいよ」テツヤ「ひいなにとっては、過去のものではないんだな。タピオカより、ティラミスのほうがうまいと思うよ」ひいな「タピオカドリンク、飲んだことある?」テツヤ「ない」ひいな「ないんじゃん(笑)。比較してるのってココナッツミルクに入ってる透明なタピオカでしょ?」テツヤ「え、違うの?」ひいな「黒くて大きいんだよ!」テツヤ「やべ(笑)。デザートで出てくるタピかといえば、そのイメージだったよ」

ひいな「お菓子と日本酒の組み合わせ、よかったでしょ?」テツヤ「いやぁ、おもしろかったね。飲食店とか旅館とかで、こういうおもしろい提案してほしいなぁ。最後にデザートとのペアリングで、ユニークな日本酒と合わせてね」ひいな「日本酒のイメージが広がるよね!」

次回:12月20日(日)更新予定

【ひいなのつぶやき】まさかの組み合わせが化学反応を起こすいい例だと思います! ぜひお試しあれ!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中