3倍生存率アップ、急性心筋梗塞救うユニークな治療とは
「心臓のポンプ機能を補う医療機器だ。先端にポンプのついたカテーテルを心臓内に留置し、血液を吸入・吐出して循環を補助する。日本では現在、薬で治療できない急性心不全で心臓のポンプ機能が低下した患者が適用対象だ。今後は心停止といった重篤な心不全に至る前の患者にも適用できるようにしたい」
―保険償還価格が262万円からと高額ですが、普及の足かせにならないですか。
「製品単価で見ると高いかもしれない。しかし、インペラによる治療は生存率など予後がよいことが特徴だ。米国の実績では、従来の治療より2日から12日の期間を短縮でき、コストを52%削減できる。合併症も防げることを考えれば治療プロセス全体で見た価格として高くないはずだ」
「インペラの使用には専用のトレーニングが必要だ。製品価格にはトレーニングにかかるコストも計上している。あまりに安い価格で製品を提供するとトレーニングの質が担保できなくなる」
―普及の見通しを教えて下さい。
「2017年の発売直後は1カ月に2施設しかトレーニングできなかったが、現在は8まで増やした。製品を使用する病院は学会などで構成した『インペラ部会』に承認されトレーニングを受ける必要がある。現在治療が可能な施設数は100だが、20年までに約350に増やすことが目標だ」
「使用にはカテーテルだけでなく制御装置も必要だ。制御装置は1台1100万円で、故障リスクに備えて複数台の購入を推奨している。予算的には大型医療機器と同程度。予算を各病院で承認してもらう必要がある」
―日本での今後の展開は。
「1分間に5・5リットルの血液を循環できる『インペラ5・5』の薬事承認の取得を目指す。加えて普及を進めるため、各病院と協力して臨床のエビデンス構築にも注力していく」
【記者の目/受け入れ病院の体制整備を】
18年の急性心不全の入院患者数は全国で約12万人。全ての患者がインペラの治療対象である薬剤抵抗性の心不全とは限らないが、多くの患者が苦しんでいるのが現状だ。米国ではすでに高い実績を上げているだけに、今後日本でも普及に期待がかかる。まずは各都道府県でインペラによる治療ができる病院を整備し、いつでも患者を受け入れられる体制を整えてもらいたい。(森下晃行)
