「FLY! BOYS, FLY!」主演の永瀬廉

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「まるでCM」との声も

 9月24日、テレビドラマ「FLY! BOYS, FLY! 僕たち、CAはじめました」(制作・関西テレビ・21:00)がフジテレビ系列で放送された。連続ドラマではない、単発の2時間ドラマだった。

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 主演はKing & Princeの永瀬廉(20)。共演は北村匠海(21)、黒島結菜(22)、岐洲匠(22)、小越勇輝(25)と若手の美男美女が一堂に会した。ドラマの重要な“セールスポイント”の1つだと言えるだろう。

 それを大倉孝二(45)、真飛聖(42)、キムラ緑子(57)といったベテラン陣がサポート。TwitterなどSNS上ではファンの書き込みと思われる「面白かった!」、「Blu-rayを予約した」というツイートが目立った。

「FLY! BOYS, FLY!」主演の永瀬廉

 単なるアイドルドラマと思いきや、なかなか意欲的な作品内容だったのだ。フジテレビの公式サイトに掲載された「放送内容詳細」の冒頭部分をご紹介しよう。

《朝川千空(永瀬廉)は、CAを志す新人訓練生。同じ男性クルーで元モデルの早乙女薫(北村匠海)、元自衛官の郷田勇一(岐洲匠)、ゲイの黛正太郎(小越勇輝)とともに、これから始まる訓練に胸を躍らせていた。しかし機内清掃やセキュリティチェックなど、CAの業務は膨大で、薫以外の3人は研修初日からあたふた》

 黒島結菜の演じた役について解説した部分も、同じようにご紹介しよう。

《千空は偶然知り合ったパイロット候補生・高山つばさ(黒島結菜)の訓練に出くわし、その真剣な表情に目を奪われる。つばさもまた、女性パイロットという狭き門に挑んでいたが、副操縦士の試験を前に壁を越えられず苦しんでいた》

 ドラマの基本は群像劇だが、永瀬廉が演じる主役が、黒島が演じるパイロット候補生にライバル意識を抱き、それが徐々に恋心へと変わっていく――というシーンも用意されていた。

 40代以上の方なら、ドラマ「スチュワーデス物語」(TBS系列・大映テレビ制作・1983-1984年)を思い出した方もおられるかもしれない。

 面白いことに、CAを目指す登場人物の性別が逆転している。舞台となる航空会社も、かつては“日本のフラッグキャリア”と呼ばれた日本航空ではなく、LCCでオーストラリアに拠点を置くジェットスターが選ばれた。

 よく考えてみれば、「スチュワーデス物語」から約40年の歳月が流れている。2つの作品の違いは、時代の変化を表していると言えるだろう。ドラマを見た放送担当記者は「なかなか面白かったです」と感想を言う。

「何よりも男性がCAを目指すというストーリーが新鮮でした。脚本もしっかりと取材を重ねたようで、LCCへの『安かろう悪かろう』という偏見の存在や、それを払拭するための現場の奮闘など、ビジネス番組のような面白さもありました。若手の懸命な演技は好感がもてましたし、ベテラン勢のサポートも噛み合っていて、2時間を楽しめました」

朝日放送も似たドラマを制作

 一方、不満を漏らす視聴者もいる。「有り体に言って、少し鼻白みました」と反論するのは、芸能記事を担当するフリーライターだ。

「ドラマが始まってから終わるまで、ジェットスターの文字かマークが常に映っていました。オフィスにはポスターが貼ってあり、研修のシーンは本物の制服を使う、という具合です。ジェットスターの文字が見えなくなる場面と言えば、銭湯で主人公たちが風呂に入るところと、下宿で食事をする場面くらいだったと思います。何もない野外のシーンでも、登場人物が首から提げているストラップに『ジェットスター』の文字が書かれていましたから、いくら何でも、やりすぎではないでしょうか」

 このドラマでジェットスター・ジャパンは「特別協力」とクレジットされている。描写にリアリティが出たのは視聴者にとってメリットだが、「トレードオフの関係として、ある種の宣伝臭が出てしまったと思います」と指摘するのはライバル民放キー局の関係者だ。

「ドラマ自体は、私も面白く見ました。個人的には黒島結菜さん、北村匠海さん、そしてキムラ緑子さんが印象に残りました。ただ、結論から言うと、2時間の長いCMを見せられたという感想は否定できませんね。もちろん普通のドラマは架空の航空会社を設定します。百歩譲って、JALやANAが舞台だったなら、日本人には公共交通機関という側面もあるでしょう。しかしジェットスター・ジャパンさんとなると、登場する必然性に乏しいのは事実だと思います」

 そのため、この関係者は「これほどジェットスターを前面に押しだしているのだから、番組提供でスポンサーとして最初に紹介されるのだろう」と思っていたと言う。だが、現実は違っていた。

「筆頭はGoogleさんでした。放送されたGoogleのCMは、ドラマに出演している黒島結菜さんが主役でした。最近、流行しているドラマと一体化したCMだったのですが、私の予想とは全く異なり、ジェットスター・ジャパン社のCMが流されることは全くなかったのです」

 これほどまでにジェットスター・ジャパンを取り上げているのだ。常識的に考えれば、ドラマの制作費を負担していると考えるべきだろう。そこでドラマを制作した関西テレビに取材を依頼すると、文書で回答があった。

「新時代の象徴として、男性キャビンアテンダントを一つのテーマとしたドラマを制作したいと、ドラマ『FLY! BOYS, FLY! 僕たち、CAはじめました』を企画いたしました。その舞台としてジェットスター・ジャパン様のご協力を得て本ドラマを制作いたしました。ドラマの制作過程に関する詳細については控えさせて頂きます。ご理解の程よろしくお願いいたします」

 Twitterに「フジテレビ ジェットスター」と入力すると、興味深いツイートが多数表示される。以下に紹介するものなどは、鋭い指摘と言えるのではないだろうか。

《最近、深夜に朝日放送系列ではピーチのドラマやってるけど、フジテレビ系列ではジェットスターのドラマやってる。なんでか?》
(註:デイリー新潮の表記法に合わせるなど、文章の一部に修正を加えた)

 ツイートで「朝日放送系列」とあるのは、7月7日から9月22日まで、テレビ朝日系列で放送された深夜ドラマ「ランウェイ24」だ。主演は朝比奈彩(25)で、制作が朝日放送となっている。

 こちらの公式サイトでも、LCCのピーチが全面協力したことが謳われている。その部分を引用しよう。

《航空会社「Peach」が全面協力!注目のLCC舞台裏
関西国際空港を拠点とするLCCが舞台の今作では、国内線16路線、国際線16路線(2019年現在)を運航するピンク色の機体がトレードマークの「Peach」の全面協力を仰ぎ、空港内や実機での撮影を実現。注目の航空業界の裏側に迫る、リアリティーあふれるドラマです》

 詳細は不明なことも多い。とはいえ、低視聴率に苦しむテレビ業界で、制作コストが馬鹿にならないドラマを作り続ける苦労だけは、何となく伝わってくる。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月9日 掲載