ニコチン依存にうつ病やがんまで、「スマホアプリ」は第3の治療法になるか
現在の医療では医療機器を使った処置と医薬品の服用が2本柱だが、2013年に成立した医薬品医療機器等法(旧薬事法)から「治療用アプリ」は臨床試験・治験を実施した後、国から承認を得ることで保険適用され、病院で医師が処方することが可能になっている。佐竹社長は「アプリを臨床試験で使用した結果、薬と同等の治療効果があることを確認している」と強調する。
治療用アプリは医師が発行する処方コードが必要だが、一般的なアプリストアから患者がスマートフォンなどにダウンロードする。患者は日々の経過や薬服用に関する状況を入力すると、クラウドシステム内のアルゴリズムが解析・判断し、患者に合った治療ガイダンスを提供する。医師に受診するまでの治療空白期間を埋められる。「薬と比べ開発コストは圧倒的に低く、副作用は考えない。医療財政の観点からも価値が高い」(同)とする。
治療用アプリは生活習慣病や鬱(うつ)などへの利用が期待されるが「がん治療の可能性も出てきた」(同)という。同社は21年までに新たに五つのアプリを開発し、臨床試験を開始したい考えだ。
:日刊工業新聞2019年9月18日
医師に代わり継続的に指導
米国食品医薬品局(FDA)は、七つの医療機器を2018年を代表する画期的な承認として紹介している。そのうち三つはソフトウエア医療機器で、18年がソフトウエア医療機器にとって重要な年だったと言えよう。「Viz.AI Contact」「IDx―DR」の二つの人工知能(AI)による診断支援システムについては本欄で紹介済みだ。残る一つのソフトウエア医療機器は、病気の治療を支援するスマホアプリだ。
18年12月、FDAは米国のPear Therapeuticsの開発した治療用処方アプリ「reSET―O」を承認した。reSET―Oは、鎮痛剤として使われるフェンタニルなどによるオピオイド中毒患者がオピオイド依存から離脱するためのトレーニング、モニタリング、リマインダー機器として患者の治療を支援する。
治療用処方アプリは、医師が医薬品と同じように処方するスマホアプリだ。医師からreSET―Oの処方を受けた患者は、販売会社に連絡すると、担当者からの説明とパスワードを受け取る。患者は自分のスマホにreSET―Oをダウンロードし、パスワードを用いて起動する仕組みだ。
通常、医師の指導は通院時のみに行われ、次の診察まで空白期間が生じる。ここで気が緩み、医師からの指導を守らず病気が悪化する可能性が出てくる。この空白期間を埋めて、医師に代わって継続的な指導を行うのが治療用処方アプリだ。
これまでも、ソフトウエアが、臨床現場で治療目的に用いられる例はあった。しかし、コストをかけてそのソフトウエアの有効性を証明しても、似たようなソフトウエアの出現により商業的利益を得ることができなかった。FDAが、ソフトウエアを医療機器として認めたことにより、風向きが変わった。
