ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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28日のマリナーズ戦で日本人初の6年連続2桁勝利を達成した田中

ヤンキース 7-0 マリナーズ(日本時間28日・シアトル)

 27日(日本時間28日)のマリナーズ戦で日本人初となる6年連続2桁勝利を達成したヤンキース田中将大投手。7回3安打無失点7奪三振1四球と好投で、今季10勝目(7敗)を挙げた。この日本人右腕は来季終了後にFAとなるが、米メディアではヤンキースが契約延長に踏み切る可能性を指摘。再契約時には3年総額3700万ドル(約39億2000万円)という新年俸を予想している。

 田中の今季10勝目の快投を受けて「マサヒロ・タナカとヤンキースにはどんな未来が待っているのか」と特集したのは地元紙「ニューヨーク・ポスト」だった。田中は2014年に楽天からポスティング費用2000万ドルに加え、7年総額1億5500万ドル(約160億円)でヤンキースと契約。2020年シーズン終了時点で契約満了となるが、記事ではこれまでの6シーズンで田中が積み重ねてきたキャリアを振り返っている。

 デビューシーズン序盤戦は12勝4敗、防御率2.51でサイ・ヤング賞候補の活躍を見せていた田中だが、右肘の靭帯損傷が発覚。「タナカは2014年前半の安定したトップクラスのエースに2度と戻らなかった。その代わりに、メジャーで耐久力に優れた先発投手の一員となった」と記事では報じている。2015年シーズン以降の先発試合数はメジャー22位、イニング数は20位。そして、デビュー6年連続で20試合先発はアンディ・ペティット、フリッツ・ピーターソン両投手と並ぶ球団史上3人目という安定性を示すデータも紹介している。

 今季は2019年の公式球の仕様から宝刀スプリットの精度に苦しんできたことも指摘しながらも、「タナカは力強いローテ中位の存在であり続けている。彼のスタッツはレッドソックス戦での2度のホラーショーで歪められてしまっている」と分析。4イニングで18失点という宿敵レッドソックス戦での2度の大炎上で防御率は4.47となっているが、田中のパフォーマンスを反映したものではないと擁護している。

 今季6イニング以上投げた試合数(19試合)はメッツのジェイコブ・デグロム投手と、そして、7回1失点以下だった5試合はドジャースのクレイトン・カーショー投手、ナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手というエリート投手と同じ成績と評価している。

年俸約24億3000万円となる来季が7年契約の最終年

 年俸2300万ドル(約24億3000万円)となる来季が、7年契約の最終年度となる田中。「ヤンキースがタナカの肘の頑強さを信じるとするなら、重要な契約延長候補だ」と記事では田中の契約延長の可能性を報じている。ヤンキースの投手陣での必要性も高いという。現在の先発ローテでベテランのCC・サバシア投手が今季限りで引退し、JA・ハップ投手とジェームス・パクストン投手は田中同様に2020年シーズン終了後にFAとなる。

 記事では「タナカはルイス・セベリーノ、ドミンゴ・ヘルマン、ジョーダン・モンゴメリーらの近くで安定性という影響をもたらすのではないか」と分析。そして、再契約時の条件面の参考として「成績的な類似性がある」と昨オフにヤンキースと契約満了となり、FAでレンジャーズと契約したランス・リン投手を例に挙げた。

 リンは3年3000万ドル(約31億7000万円)の契約を結んだが、「タナカはリンよりも1歳若く、より優秀だ。しかし、彼はヤンキースの一員でいることを気に入っており、移籍を希望しないかもしれない」と分析。ヤンキースが日本人右腕がFAとなる前に契約延長に踏み切る可能性を指摘し、来季の契約に、21年シーズンから3年総額3700万ドル(39億7000万円)を加えるシナリオを予想している。

「新たに4年総額6000万ドル(約63億5000万円)という契約を作る可能性もある。これで年俸は1500万ドル(約15億8000万円)に下げることができる。これは耐久力に優れ、頼れる先発投手にとっては理にかなっているように思える」。4年契約の場合、現在の年俸よりも35%ダウンとなるが、34歳までヤンキースでプレーすることになる。抜群の安定感で辛口のニューヨークメディアからも評価される田中。来オフにFAとなるその去就に早くも注目が集まっている。(Full-Count編集部)