30代が妊娠する前に受けておくべき5つの検査│医師に聞く
 近年、増加傾向にあり芸能ニュースでも見る機会が増えた「高齢出産」。35歳以上の「高年初産婦」が妊娠を望むとき、事前に受けておいたほうがいい検査はあるのでしょうか? 産婦人科医の富坂美織先生にお話を伺いました。
◆1. 子宮と卵巣のエコー/子宮内膜症などの病気が見つかることも

「エコーで子宮や卵巣を見ると、子宮筋腫、子宮内膜症や、その他の卵巣腫瘍が見つかることがあります。例えば、『子宮内膜症』は子宮内膜が子宮の内側でなく、卵巣など他の場所で育ってしまう病気で、20〜30代の生殖年齢の女性に多く、不妊症の原因になります。症状や重症度によって、薬での治療や手術が必要になることもあります。再発の可能性も高いため、定期的なフォローアップも欠かせません。

 また『子宮筋腫』は、子宮の内側、筋肉の中や外側にできるコブのことで、複数個できる場合もあり、女性ホルモンの影響で大きくなる傾向にあります。30歳以上の女性の2、3割に見られる病気です。月経量の増加や貧血、場所によっては不妊の原因にもなります。

 子宮がん検診だけ定期的に受けておけば安心と思いがちですが、子宮がん検診にエコーが含まれていない場合には、担当医にエコーもお願いするとよいでしょう。年に1度はエコーも受けておくとよいかもしれません」(富坂先生、以下同)

◆2. 子宮頸がん検診/30代後半の女性に最も多い病気

「子宮の入り口に生じるがんを子宮頸がんと呼び、子宮がんの7割程度がこの子宮頸がんです。最近は、20代、30代の女性に増えてきており、30代後半で最も多くなっている病気です。日本では、年間約1万人の女性がこの病気にかかり、約3000人の女性がこの病気で命を落としています。

 大半の子宮頸がんでは、性交渉で感染するヒトパピローマウィルスが原因となっています。多くの人では、免疫の力でウィルスが除去されるのですが、運悪く感染が続いてしまうと、子宮頸がんに進行してしまうことがあります。

 子宮頸がんの怖いところは、初期症状がほとんどないということ。出血や腹痛を感じたときには進行してしまっていることもあるので、症状がなくても定期的に検診を受けておくことがとても大事です。またヒトパピローマウィルスのいくつかのタイプの感染を予防する子宮頸がん予防ワクチンをあわせて接種しておくことも有効です。

 子宮頸がんが見つかった場合でも、初期であれば、子宮の入り口部分だけを切除する子宮頸部円錐切除術等を行い、将来、妊娠、出産することもできます。ただし、子宮の入り口を切除してしまうので、妊娠した場合に切迫早産等になってしまうこともあるので、注意が必要です。

 子宮頸がんは早めであれば、治癒して妊娠、出産もできる一方で、進行してしまうと、大がかりや手術や放射線、抗がん剤が必要になり、死亡率も高くなります。ですから、子宮頸がん検診を定期的に受け、万一異常があった場合には早めに治療を受けることがとても大切です」

◆3. 風疹抗体/妊娠20週頃までの女性が、風疹に感染すると…

「不妊治療を始めてから検査を受けて、抗体が低いことが判明する方もいます。そうすると、風疹ワクチンは生ワクチンなので、打った後は2ヶ月間避妊しなければならないため、その間、不妊治療ができません。この間、気持ちが焦ってしまう方もいらっしゃるので、不妊治療開始前に早めにチェックをしておいたほうがいいでしょう。

 近年、関東地方の30〜50代男性を中心にはやっているというニュースもありました。風疹は、患者の咳やくしゃみ、唾液の飛沫に含まれる風疹ウィルスで感染します。感染しても症状が出ない不顕性感染が15%程度あります。