「契約書を作ると、結婚生活の感動が増す」飲酒、セックスも取り決めたSILVAの結婚観
結婚に対する価値観がいま、変わりはじめています。
生涯未婚率が男女ともに過去最高になる一方で、離婚する人も増加。家族や結婚のあり方も変化し、自分に合うようにカスタマイズできるようになってきているのかもしれません。
今回取材するのは、結婚にあたって“婚前契約書”をつくったという、歌手のSILVAさん。
連絡頻度、外出の際の飲酒の頻度、記念日の過ごし方、さらに、なんとセックスまでを「契約書」で決めているというのです…!
〈聞き手=あつたゆか〉

あつた:
契約結婚って『逃げ恥』でしか見たことないな…
今日はよろしくお願いします!
SILVAさん:
なんでも聞いてください!

【SILVA】歌手・DJ。1998年にSILVAとしてシングル「Sachi」で歌手デビュー。2008年からはニューヨークへ拠点を移す。帰国してからは再び日本で芸能活動、DJを再開し、2012年には約10年ぶりの新曲を配信。2002年に一度目の結婚を経験。2015年に再婚し、「婚前契約書」を結ぶ。同年に第一子を出産
具体的な契約内容は…?
あつた:
まず、「婚前契約書」の中身が気になります…!
どんなことが書かれてるんですか?
SILVAさん:
「収入はお互いに報告する」「家事は平等に行う」といった基本的なものから、「2万円以上のものを購入するときには事前に協議する」「健康ドックを毎年受ける」といった細かい内容まで、A4用紙に5〜6ページ記載されてます。

【SILVAさん夫妻の「婚前契約書」(おもな内容)】
・結婚生活を送るにあたり、互いに信頼し、愛し、思いやり、支えあい、尊重することとする
・互いに、自身の帰宅時間を、毎日相手に連絡するものとする/相手からの連絡に対し、速やかに返信を行うものとする
・外出による飲酒については、最大週2回までに抑えるものとする
・互いにスキンシップをとるよう努めるものとする
・互いの両親を尊重し、大切にするものとする。介護等の負担については、各自自発的に行うものとし、強制はしないものとする
あつた:
こ、こまかい…! 正直、ちょっと作るの面倒くさそうだなって思っちゃいました。
SILVAさん:
こまかいことまで決めるからいいのよ。
あつた:
え…?
SILVAさん:
結婚前に「家事は分担しようね」「毎年記念日はデートいこうね」と話していたとしても、結局お互い忘れちゃったりするじゃん。「そんな約束したっけ?」って。
あとは、ちょっとした家事のやり方や生活習慣の違いでイライラしたり。
あつた:
うーん、たしかに。

忘れちゃう側です
SILVAさん:
契約書でこまかいことまで決めているからイライラすることがないし、結婚後も2人が大事にしたいことを維持できるからいいんだよね。
あつた:
つまり、夫婦喧嘩が少なくなると?
SILVAさん:
まさに。ムダな喧嘩はまったくないね。
「旦那が家事やってないな」と思っても、契約書をスッと相手に見せれば、「そうだった」と思い出してくれる。
結婚して子どももいるけど、契約書のおかげでムダな喧嘩がなく、円満に過ごしてるよ。
あつた:
なるほど。
SILVAさん:
もっと分厚い契約書を作る夫婦はたくさんいるから、私たちのはだいぶシンプルなほうだけどね。
「契約書」と聞くと怖く感じる人も多いかもだけど、要は2人が大切にしたいことを書いていけばいいんだよね。
あつた:
これってどうやって作るんですか?
SILVAさん:
私たちの場合は、自分たちで土台として作ったものを、弁護士さんにブラッシュアップしてもらって、公正証書にしてもらった。
あつた:
公正証書…?

SILVAさん:
弁護士さんとか、法律の専門家が作って、役所に保存されるものなの。ケンカして破っちゃっても、公証役場に原本が保存されてるから無効にならないわけ。
2万円くらいで作れるよ!
あつた:
へぇ〜、意外と安い!
「セックス」や「親の介護」など、デリケートな項目も
あつた:
あの、「婚前契約」では“夜の営み”についても決めるという話を聞いたことがあるんですが、SILVAさん夫妻はいかがでしょうか…?
SILVAさん:
セックスは月1って決めてたような…あ、でも契約書をみると「スキンシップをとるよう努めるものとする」と書いてあるね。
あつた:
回数や頻度を指定してるわけじゃないんですね。
SILVAさん:
契約書は毎年見直して更新するようにしてて、一時「回数も決めて載せようか!」なんて言ってたんだけど、私が産後、性欲が少なくなっちゃったんだよね(笑)。

「こればっかりはしょうがないよねえ…」
SILVAさん:
なので今は「なるべくスキンシップをとる」という書き方になってます。
セックス以外でちょっとデリケートな話題でいうと、親の介護についても決めてるね。「お互いの両親の介護はそれぞれ自発的に行う・介護を強制しない」って。
あつた:
介護を強制しない…
SILVAさん:
「お嫁さんなんだから当然介護するでしょう?」と、しきたりでなんとなく役割分担が決まるのはお互いにとって不幸だなと。
そういうことも事前に話し合って親に見せておけば、トラブルを避けられます。

お互いのご両親に、契約書を見せて内容を共有しているそうです
「離婚の原因となる行為をしたら、慰謝料100万円」離婚を防ぐための契約書ではない
SILVAさん:
最後のページには、離婚についても記載してます。
あつた:
離婚についても!? 何を書いてるんですか?
SILVAさん:
離婚した場合、20歳まで子ども一人あたり月額10万円の養育費を支払うこと、離婚の原因となる行為をした場合は慰謝料100万円を払うこと…
子どもの親権や財産の分け方についてもこまかく書いてる。

SILVAさん:
私、一度離婚してるんだけど…
離婚のときにお金のことを話すと、それはもう泥沼化しやすいんだよね。お互い冷静じゃないからまとまらないし、憎しみあいながら別れることになってしまう。
あつた:
うわあ…一度は愛し合った人なのに、悲しいですね。
SILVAさん:
そう。前に離婚するときかなり揉めて、すごく後悔したんだよね。1回愛した男をクソミソに言いたくない!って心から思って。
よく勘違いされるんですけど、「離婚を防ぐための契約書」ではないんです。快適に過ごせて、もし別れることになったとしても円満にお別れできるようにするための契約書。
人生に、誰かと揉めてる時間なんて必要ないじゃない?

うなずく取材陣一同…
一度目の結婚は「勢い婚」。価値観が全然違った!
あつた:
SILVAさんが、一度離婚されてから、今回の結婚で「契約書」をつくるようになった理由を教えていただきたいです。
SILVAさん:
1回目の結婚がそれこそもう「勢い婚」で、結婚してからお互いの価値観が全然違うことに気づいて3カ月で別れたんです。
だから、再婚するときは「事前に価値観をすり合わせたい!」と思ってたの。
あつた:
どんなところが合わなかったんですか?
SILVAさん:
「家事分担は妻がやるもの」「子ども産んだら芸能界辞めるでしょ?」みたいな、“暗黙の了解”かな…。あとはお金や保険の価値観も。
これは価値観の問題だから、前の夫を責めるつもりは全然ないんだけどね。
あつた:
そういう価値観の違いって、結婚前に見極められないんでしょうか?
SILVAさん:
結婚前に「生命保険どうする」「産後の仕事どうする」とか、話さなくない?

あつた:
た、たしかに…
SILVAさん:
プロポーズされて舞い上がって、そのまま「結婚式どうする」って話になるじゃん。
あと、離婚してからは3年間ニューヨークに住んでたんだけど、そこで「パートナーシップ制度」という契約書を交わしてる知人が多かったのもきっかけのひとつ。
100ページぐらいの契約書を交わしている人も多くて。
あつた:
100ページ…!
SILVAさん:
生活習慣や家事分担とか、細かいことを最初に決めてるから、カップルがすごく心地よく一緒にいるんです。
日本によくある「なんで今日ゴミ出しといてくれなかったの?」「なんで飲み会あるのに連絡しないの?」みたいな、低レベルなケンカはまずない。そこに感動したんだよね。
旦那さんはイヤがらなかったの…?
あつた:
「契約書を作ろう」と言ったときの、旦那さんの反応が気になります。
SILVAさん:
最初は「契約書に縛られるんじゃないか」という恐怖心があったみたい(笑)。
でも「違うの、これは2人で作っていくものなの。だからあなたも項目を作っていいんだよ」って言いつづけて。1年半かけて説得して、この形になりました。
あつた:
1年半…!

説得するのにマジで時間かかったよ!
SILVAさん:
長かったけど、1年半という期間でお互いの価値観をすりあわせられたのがよかったよね。
だんだん、旦那さんも「俺、この項目を入れたい」と自分から提案してくれるようになったのよ。
あつた:
ここに書いてある「お互いに帰宅時間を毎日相手に連絡すること」とか、旦那さんはイヤがらなかったんですか?

SILVAさん:
それは旦那さんの案。女性だから心配だ、って。
あつた:
ええ〜!
SILVAさん:
今では、むしろいろんな人に婚前契約を勧める側になってますね。
「家事は折半」っていう項目もあるから、転職して、有給を取りやすい仕事に変えてくれたしね。
あつた:
旦那さんの変わりようがすごい。
ただ、実際にこのルールを守れるかというと別なのでは…?
SILVAさん:
いや、これまで1回も、契約内容を破られたことがないんだよ!
「本契約を遵守せず、改善も見込めない場合は、離婚するものとする」って書いてあるんだけど。
あつた:
そうなんですか!?
SILVAさん:
私はダメンズが好きだから、旦那さんが特別約束を守るタイプってわけではないんだけど(笑)、でもやっぱり1年半かけて契約書を一緒に作ったのは大きかったね。
二人でかなり真剣に話し合ったから、契約内容が自然と二人の体に染み込まれてるんだと思う。

SILVAさんは「昔からずっとダメンズ好き」らしいです
あつた:
すごい…
話しにくい「契約」は、恋愛が盛り上がってる“3年”のうちにすべき!
あつた:
だいぶ「契約書」のメリットを感じてきましたが…
「結婚ムードになのに、契約を結ぼうなんて言ったら引かれるんじゃないか」と思う人は多いんじゃないでしょうか。
SILVAさん:
それは逆だね。むしろ、最初に話し合えなかったら長続きしない。
あつた:
えっ…!

SILVAさん:
これは私の価値観だけど、恋愛って付き合って3年がピークなんですよ。セックスするのも、会話するのも盛り上がるのは3年。
あつた:
たしかに、心理学でも「恋愛の賞味期限は3年」ってよく聞きますよね。
SILVAさん:
そうそう。お互いがいちばん盛り上がっている時期に現実的な問題を話し合えなかったら、3年後、10年後に話し合いするなんて無理。
お互いの関係がいちばん良好な時期でも話し合いって難しいから、冷めてからなんてできるわけないよ。
あつた:
うっ…(新婚だから耳が痛い)
SILVAさん:
真剣な話し合いがしたいと言っているのに聞く耳を持たないような人なら、自分のパートナーとしてはふさわしくないと判断したほうがいい。
真面目な話ほど、愛情がピークのときにしたほうがいいよ。
あつた:
心に留めておきます…
結婚なんて紙切れ1枚だけど…契約書のおかげで、感動が増える
SILVAさん:
あと婚前契約をしてよかったのは、「価値観のベーシック」が作られることによって感動が増えたことかな。
あつた:
感動が増える?
SILVAさん:
契約書のおかげで「お互いやるべきことのベース」が作られる。
でもさらにその上で、相手が気を利かせて家事をやってくれたとか、サプライズでプレゼントをしてくれたとか、契約書に書いていないことをしてくれたときに、めちゃくちゃ愛を感じるんだよね。
あつた:
あー、それはめちゃくちゃうれしい…!

あつた:
最後に、これから結婚する読者にアドバイスをお願いできますでしょうか。
SILVAさん:
今の若い子達に言いたいのは、結婚するときは婚姻届と離婚届をセットでもらってきな、ということですね。
あつた:
婚姻届と離婚届をセットで…
SILVAさん:
私の場合、今の旦那さんと再婚するときは婚姻届と離婚届、どっちにも判を押したんです。
あつた:
ええ!?

SILVAさん:
そうすれば離婚したいときにスッと離婚できるし、もしずっと円満だったら「離婚届、結局いらなかったね」って二人で笑って破る日がくるじゃない?
結婚・離婚なんて紙切れ1枚のことだから、そこにどんな意味づけをするかは2人次第なのよ。
女だから、嫁だから、旦那だから、長男だから、という昔からのよくわからないしきたりをベースにするのではなく、結婚前のラブラブな時期にこそ、これからの生き方を話し合うのが大事だと思います。
あつた:
めちゃくちゃ勉強になります…!
SILVAさん:
あと、全国の役所は婚姻届に婚前契約書のテンプレートをつけたほうがいいね。そうすると結婚後の「こんなはずじゃなかった…!」を防げる。
私たちの契約書、「現実的ですごくいい」と弁護士に褒められたから、みんなもテンプレとして使うといいよ。
あつた:
え! じゃあ記事の最後にダウンロードできるようにしても…?
SILVAさん:
ぜひ(笑)。
あつた:
わー、ありがとうございます!

ということで、SILVAさんのご好意で婚前契約書のテンプレートを公開できることに!
気になる方はぜひパートナーと一緒に眺めてみてはいかがでしょうか。
⇒婚前契約書ダウンロード
「最初の数年で話し合いができないなら、10年後にできるわけがない」という言葉が印象的だったSILVAさん。
契約書を作るまではいかないにしても、結婚の初期段階でお互いの価値観をすり合わせる大切さをSILVAさんから教えていただきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
〈取材・文=あつたゆか(@yuka_atsuta)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美(@hiromi_ike)〉
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