ヨーロッパや中東へ取材に出かけたら、滞在先ではできるだけテレビをつけるようにしている。国とか時期にもよるのだが、タイミング良くリーグ戦を生中継で観られたり、昔の名勝負が再放送されていたりするからだ。

 これは何の試合だろう、と思うものもある。山のふもとの避暑地にある小さなスタジアムで、観たこともないユニフォームを着た選手がプレーして……お腹周りが豊かな選手が多いことに気づくと、懐かしの顔ぶれによるチャリティーマッチだった。亡くなった誰かを悼んでゆかりのある選手が集まった、という試合もあった。

 当たり前のことながら、戦術とか戦略の見応えはない。それでも、往年のスター選手の姿を見ることができるのは、海外サッカーファンだった自分には嬉しい。何となく、少し、得をした気分になるのだった。

 9月24日に、大宮アルディージャと浦和レッズのOB戦が開催された。『さいたまサッカーフェスタ』というイベントの一環で、NACK5スタジアム大宮に5000人を超える観衆が集まった。昨年は浦和駒場スタジアムで行われており、今年が2回目だという。

 大宮アルディージャの仕事をもう15年以上しているので、アルディージャの選手たちはとにかく懐かしい。もちろん、浦和レッズにも知っている選手はたくさんいた。“野人”岡野雅行が走るだけで、胸が高鳴った。

 この試合はアルディージャのクラブ創立20周年を記念して行われたものだった。同じく20周年を迎えたFC東京は、9月29日にJ1リーグの試合前にOBが2チームに分かれて対戦する。
出場予定メンバーには、懐かしい名前がズラリと並んでいる。FC東京のサポーターではない僕でも、「観たい!」と思う。

 前身の藤和不動産から数えて50周年の湘南ベルマーレは、12月に横浜F・マリノスとのレジェンドマッチを行なう。出場メンバーはごく一部しか明らかになっていないが、両チームの歴史を考えれば文字どおりのレジェンドマッチになるのだろう。

 アルディージャ対レッズのOB戦から改めて感じたのは、Jリーグの各クラブが積み重ねてきた歴史であり、OBたちはこうした試合を通してクラブに貢献したい気持ちを持っている、ということだった。

 現在進行形としてのJリーグはもちろん魅力的だが、サッカーを文化として根付かせていくには、ヨーロッパのようなOBマッチや慈善試合がもっと身近なものになっていくべきでは、と考える。
アルディージャとレッズのOBたちは、とても楽しそうだった。観ているこちらも楽しかった。節目の年だけでなく、日常的にこうした試合が開催されていったら嬉しい。