「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「棚」。本を読むことさえままならなかった、猛暑の夏。月も替わって秋の気配を感じたら、棚に並べておいたままの本を、早速、手に取りたいものです。



「棚」という漢字は、木へんの横に「月」をふたつ並べて書きます。

「朋友」「朋輩」の「朋(ホウ)」、「朋(とも)」という字です。

「朋」は中国で尊ばれた伝説の鳥、鳳凰の形を描いた象形文字。

鳳凰が飛べば、多くの鳥がそれに従うため、「なかま、よりそう」という意味を示す漢字になりました。

そこから、同じものが並ぶ、という意味も派生し、木や竹を並べ、組み立てて作る「棚」という漢字になりました。

中国最古の字典、「説文解字」によれば、「棚」という字は「桟(さん)なり」と記されています。

「桟」とは「桟橋」「桟道」のこと。

けわしい崖にそって木材を並べ、棚のように張り出して作った道や、谷や川などに掛け渡した橋を意味するといいます。

その形から「かけはし、棚」を意味するようになったともいわれています。

「たな」という言葉の語源をひもとくと、「た」は「手」を、「な」は「たなびく」「たな雲」といった言葉に使う「な」と同じで、水平の状態を表しているといいます。

自らの手で平らに渡した板の上に、物をのせておく「棚」。

そこには、日々使うものや集めているもの、大切な思い出の品々が並びます。

あなたの暮らしにある棚は、あなた自身を物語っているのです。

ではここで、もう一度「棚」という字を感じてみてください。

「自分の本棚を持つのは楽しい。自分の世界が広がっていく様子が、手に取るようにわかるからだ」

教育学者の斉藤孝氏は、本棚を持つ喜びをこう語っています。

そこで待っていてくれるのは、一対一であなたと向きあい、じっくりと考える時間を与えてくれる、時空を超えた友人たち。

斎藤氏いわく「読書は、複数の優れた他者を自分の中にすまわせること」。

本棚に並ぶ人々と語らう時間を、秋こそゆっくり、楽しみましょう。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『新選漢和辞典 第八版』(小林信明/編著 小学館)

『読書力』(齋藤孝/著 岩波新書)

9月8日(土)の放送では「露」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2018年9月9日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/