異常な猛暑に襲われている日本列島。熱中症による死者は60人以上を数え、7月23日には都内初の気温40度超えを記録しましたが、そんな東京で2年後の夏に開幕を迎えるのが「東京五輪」です。健康社会学者で気象予報士でもある河合薫さんは、自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で、「猛暑が五輪成功のカギとなる」との森喜朗東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の発言に疑問を呈すとともに、様々な要素を勘案した上で「北海道での開催」を提案しています。

「死の危険性」がある東京オリンピック?

異常な暑さが続いています。連日、最高気温が更新される中で、熱中症で亡くなる方も後を絶ちません。もはやこれは「気象災害」です。

どうかくれぐれもみなさまもお気をつけて。絶対に過信せず、水分補給と休養をまめに取り、できる限り外出は避けてください。また、こういう時は「おせっかい」くらいがちょうどいいので、ご近所に高齢者がいらっしゃる場合は、一声かけてくださいませ。

さて、2年後にはいよいよ東京オリンピックが開幕しますが、こんな酷暑の日本で、本当にオリンピックなんてやって大丈夫なんでしょうか?

おそらく日本中の誰もが心配しているのに、全くその危機感がないのが2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長です。

● 森喜朗会長が語る、この猛暑が東京五輪成功のカギに

日刊スポーツの単独インタビューで森氏は、

この暑さでやれるという確信を得ないといけない。ある意味、五輪関係者にとってはチャンスで、本当に大丈夫か、どう暑さに打ち勝つか、何の問題もなくやれたかを試すには、こんな機会はない。“ピンチはチャンス”という発想で、暑さ対策で日本のイノベーションを世界に発信する機会だ。

と、語ったというのです。

ピンチはチャンス???

これは一体どういう意味なのでしょうか?

暑さ対策として検討されてきた、道路の遮熱性舗装、街頭ミストなどを今年試して「冷却効果あり」という結果が得られれば、「本番もオッケー!」と自信を持てるということなのでしょうか?

あるいは月曜日に「打ち水」のイベントが行われましたが、「やっぱり打ち水はいいね! 涼しくなるね!」と意見が集まり、路面温度が少しでも下がれば「実証実験で効果あり!」とお墨付きを与えるということでしょうか?

…んったく。組織委員会の皆様は「外を歩いたことがない」のだと思います。

ギンギンに太陽が照り付け、体温以上の熱波がうごめく“あの息苦しさ”を経験したことがない。だからこんな「チャンス」だの「何の問題もなく試す」とか、熱中症による死者が毎日出ている異常高温のさなかに、平気で使うことができるのです。

月曜日に「サキドリ」(文化放送)で、東京大学の横張教授(都市工学)に電話出演していただいたのですが、マラソンコースの過去の実況値に基づき、マラソン選手の身体に与えるダメージを算出したところ、「スタート時点(7時)から「危険レベル」に達する可能性がある」と言います。

そんな危険なレースに世界の一流アスリートを招待すること自体、私には意味不明です。

もし、何かあったらどうするつもりなのか?

観客や準備スタッフだって危険です。「直射日光が当たらないようにする」とか、「ミストを噴射する」とか焼け石に水。

「カチ割りの配布も検討中です!」と組織委員会は胸を張りますけど、んなもん意味ないつーの。

30度を越す早朝に、何万もの人たちが沿道に押し寄せる、何万人もの人が駅に溢れている状況を、イメージするだけでもぞっとします。

マラソンだけではありません。屋内競技でも中に入るまで観客は灼熱地獄の外で待機するわけです。気分が悪くなる人が相次ぎ、競技どころではなくなってしまうんじゃないでしょうか?

それに…、今年は梅雨明けが早かったので、7月に入ってから連日連夜酷暑になっていますが、梅雨明けが遅い年の場合、この時期は梅雨末期の豪雨の季節です。

ゲリラ豪雨が降る、洪水が起こる、雷鳴が轟く…。そんな状況になった時、避難計画は徹底されるのでしょうか?

考えれば考えるほど、心配が尽きません。

個人的には「北海道開催」を検討して欲しいです。

北海道なら30度を超えてもカラッとしていますし、何よりも梅雨がない。今年のように梅雨明けが早まっても、梅雨明けが遅れてもモーマンタイ!

アスリートたちも安心して参加できると思うのです。

そもそもこの時期にオリンピック開催となったのは、米国のプロスポーツが閑散期になることが大きな理由と聞いています。

あと2年。2年あります。北海道を含めて地方開催を、改めて検討すべき。そう強く願っています。

image by: Flickr

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