脳科学で分類"4タイプ別"性格診断テスト
■左右の脳の機能は明らかに違っている
脳外科医の私は、特にこの10年以上は患者の意識がある状態での「覚醒下手術」という最先端レベルの手術を行ってきました。その患者の反応から、左右の脳の機能は明らかに違っているといえます。その脳の使い方がどちらかに傾いている、つまり左脳型・右脳型があると考えています。
左脳は「理性の脳」で、人や物の境界をはっきりさせることに快感をおぼえます。攻撃的な傾向があり、たとえば西洋人は個人と個人の境界が明確で、自己主張も強くて左脳型といえます。
一方、右脳は「関係性の脳」で、人や物の境界をできるだけなくすことを心地よいと感じます。全体の調和を重視する半面、何か問題が起こると逃避的な傾向を示し、日本人は右脳型といえるでしょう。
■「次元」によって脳の情報処理を分類する
もう1つ「次元」という重要な分け方があります。脳の情報処理の仕方で分けた考え方で、視覚情報は主に右脳が処理しますが、処理する場所によって特徴があります。まず、目から見た情報がそのまま後頭葉に入ります。つまり、見たままの情報です。これはすべての大本になる情報で、これを「1次元」と定義します。
次に、後頭葉にその情報を集めて、側頭葉の内側に記憶として蓄積します。その際には扁桃体が重要な役割を果たします。扁桃体は記憶にプラスして情動を付け加えるのです。たとえば、同じ職場の仲間である「Aさん」「Bさん」という情報に、「好き」「嫌い」などの情動を加えることで、その情報の一部分を際立たせたり、深く見ていきます。これを「2次元」と定義します。さらに、それらを前頭葉や頭頂葉に集めて、情報全体のなかでの優先順位をつけながら処理していきます。この段階の情報を「3次元」と定義します。
■物事の本質を重視、左脳3次元タイプ
こうした「右脳・左脳」と「2次元・3次元」を組み合わせて、脳の使い方は「左脳3次元」「左脳2次元」「右脳3次元」「右脳2次元」の4タイプに分けられ、人の性格や性向を形づくります。なお、1次元は2次元と3次元の大本であり、脳タイプには組み入れません。そして、各タイプには次のような特徴があります。
「海」を例に説明すると、左脳3次元は地球の温暖化で多くの島が海にのみ込まれている現象に着目し、どのように解決すればいいのかを考えます。物事を俯瞰し、その本質を掴もうとする特性があります。合理性にこだわるタイプで、情動的な関わりは苦手です。
左脳2次元は、海がなぜ塩味なのかの原因を知りたいと考えます。ある物事にのめり込んで深く執着し、研究するタイプで、原理原則にこだわります。
■右脳2次元は接する相手にとことん尽くす
一方、右脳3次元は、海を渡って見知らぬ国に行きたいと思うタイプです。広い空間を自由に動き回ることに喜びを感じ、空間を拡張したがる傾向があります。
そして、右脳2次元は、海からのさまざまな恵みに感謝するタイプです。接する相手に愛情を注ぎ、とことん尽くします。どうでしょう、自分がどのタイプか知りたくなってきたのではないでしょうか。
そこで私が独自に開発した「篠浦脳活用度診断」を簡易にした「タイプ別性格診断テスト」を行ってみてください。合計の点数が最も高かったものが、あなたのタイプです。簡易版ですが、おおよその傾向が掴めるでしょう。
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当てはまるものに丸印をつけて、最後に各タイプの点数を合計する。4タイプの合計点数のなかで最も高い点数のものが、あなたのメーンのタイプ。
(Aはい 2点/Bどちらでもない 1点/Cいいえ 0点)
左脳3次元
・冷静に、理路整然と話をするほうだ
・チームの責任者に向いていると思う
・いわゆる「根回し」のような活動は苦手だ
・自分は大器晩成型だと思う
・即断即決を求められるとストレスを感じる
・自分が無駄だと思うことは絶対したくない
・自分の実績を数値化することが自信につながる
・自分の感情は表に出したくない
・1人で本を読んだり考えたりするのが好きだ
・宴会で自分の席から動くことは普通はしない
右脳3次元
・常にテンションが高く、声が大きいほうだ
・エネルギッシュだといわれる
・人を説得するのは得意である
・交友関係は広いほうだ
・なにか挑戦するものがあるとエネルギーが出る
・成功して有名になり、周囲の注目を浴びたい
・政治的に動くのは得意だ
・過去の失敗はたいてい忘れて、成功例しか思い出せない
・人と違うことをやりたいといつも思っている
・楽しいことが人一倍好きだ
左脳2次元
・強く信じている主義や信念がある
・規則には忠実に行動したい
・「君の言うことは正論だが」とよくいわれる
・「怒り」の感情が原動力になることがある
・ルールや原理原則を守っていると安心感がある
・小さなことでも気にかかることが多い
・自分の考えを他人に当てはめて責めてしまうことがある
・普段は物静かだが、追いこまれると激情にかられることがある
・自分が予測できない事態になるとひどく不安になる
・しゃべりかたに抑揚がなく声が小さい
右脳2次元
・世話好きで困っている人を放っておけない
・大きな団体よりも小グループのほうが落ち着く
・人に感謝される仕事をしたい
・白黒をはっきりつけるのが苦手だ
・仁義や筋を通すことが重要だと思っている
・人に会うとまず喜ばせたいと思う
・自分のことは後回しになることが多い
・自分の関わった人や教え子・部下が育つことほど嬉しいことはない
・人間関係が重荷に感じることがある
・過去を思い出すと哀しいことがたくさんあったと感じる
※篠浦伸禎医師作成の「篠浦脳活用度診断」を抜粋する形で作成。
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面白いことに、この4タイプを用いて歴史上の人物を見ていくと、彼らの行動や思考様式、歴史的事件の背景などが理解しやすくなります。さらに相性のよしあしもわかり、職場の人間関係の分析にも活用できるようになります。それで各タイプに該当する代表的な戦国武将と幕末維新の偉人を入れておきました。
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▼4つの脳タイプの性格の特徴
左脳 人や物事の境界をはっきりさせたい
3次元:全体を俯瞰する/2次元:部分を狭く深く見る
【智】考える人:左脳3次元
本質を見るスピードや考え方の変化が速い/目的・目標が明確で、結論から考え始める/情動的な関わりが苦手:織田信長、徳川家康、大久保利通【信】支える人:左脳2次元
原理原則にこだわって人間関係に問題を起こす/緻密な情報をもとに、物事や考えを整理整頓するのを得意とする:石田三成、明智光秀、江藤新平右脳 人や物事の境界をなくし一体化させたい
3次元:全体を俯瞰する/2次元:部分を狭く深く見る
【勇】行動する人:右脳3次元
空間のなかでの動きが速い/思考と発言が同時/周囲を巻き込む力が強い/常に自由で楽しいことや刺激を求める:豊臣秀吉、高杉晋作、桐野利秋【愛】尽くす人:右脳2次元
相手に合わせすぎて主体性を失いがちになる/狭くて濃い人間関係をつくる:前田利家、西郷隆盛、坂本龍馬
※篠浦伸禎、本田ゆみ著『人生の主役になる脳の使い方』や取材などをもとに作成
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まず、左脳どうし、右脳どうしは、一見して相性がよさそうに思えますが、次元が異なると相性は悪くなります。織田信長(左脳3次元)と明智光秀(左脳2次元)が典型例です。光秀の謀反の背景には、2人の脳の相性の悪さが存在していたと私は考えています。
徳川家康(左脳3次元)と石田三成(左脳2次元)も同じです。豊臣家の存続を信念として行動する三成は、それを脅かす家康とは相性が悪く、追い詰められた三成は暴走して関ヶ原の戦いまで突き進むことになる。でも正面切った戦いになると、次元の高い左脳3次元が左脳2次元を凌駕します。
西郷隆盛(右脳2次元)と桐野利秋(右脳3次元)も同様でしょう。西郷は西南戦争をするつもりはなかったのに、人のいい西郷は周囲を巻き込んだ桐野の暴発に乗らざるをえなくなってしまいます。しかし、もともと相性が悪く、決して本意ではなかったはずです。
■龍馬と勝海舟が好相性だったわけ
次元が同じなものの、脳の左右は異なる場合の組み合わせはどうでしょうか。相性が悪いのは、3次元どうしで、典型的なのが豊臣秀吉(右脳3次元)と家康(左脳3次元)です。秀吉は天下を取って以降、物事の本質を掴み、目標に向けて合理的に行動していく家康を最も恐れていました。また、桐野利秋(右脳3次元)は冷徹な大久保利通(左脳3次元)を前にすると、言葉が出なかったそうです。
2次元どうしも同じです。明治維新後の佐賀の乱で敗れた江藤新平(左脳2次元)は、西郷隆盛(右脳2次元)を頼って薩摩に行きましたが、西郷は協力を拒否しました。左脳2次元特有の原理主義的な、理屈は正しいが人を動かすことのできない江藤に対して、西郷は不信感を抱いていたのでしょう。
一方、好相性なのが左脳3次元と右脳2次元の組み合わせで、たとえば勝海舟(左脳3次元)と坂本龍馬(右脳2次元)。勝は当時の日本の置かれた状況の本質を掴んでいた左脳3次元タイプで、官軍にも幕府にも肩入れしなかった。一方の龍馬の一番の特徴が右脳2次元の情の深さで、かわいげのあるところが好かれたのでしょう。
職場の上司や仲間のタイプがわかれば、日頃の人間関係の理解も深まり、マネジメントに役立つはず。ぜひ活用してください。
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都立駒込病院脳神経外科部長
1958年生まれ。東京大学医学部卒業。2009年から現職。脳の覚醒下手術でトップクラスの実績。『人に向かわず天に向かえ』『驚異の「ホルミシス」力』など著書多数。
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(都立駒込病院脳神経外科部長 篠浦 伸禎 構成=田之上 信 撮影=加々美義人 写真=iStock.com)
