狙い目か!?メディアでは取り上げられない、質素で地味な『地主系お金持ち』の実態に迫る!

「お金持ち」と聞いて、皆さんはどのような人物像をイメージしますか?
年収が高い人もお金持ち。大きな資産を持っている人もお金持ち。高級外車を乗り回し、ブランド服に身を包んでいる人もお金持ち。社会的地位が高い人もお金持ち。そのイメージはさまざまです。ただ、一般的にメディアで紹介される「お金持ち」像と言うと、非常に派手な印象を抱かれる方が多いかもしれません。
ですが、お金持ちは、派手な人ばかりではありません。私は、これまで1万人以上の資産家から相談を受け、2000人以上の相続税申告を行ってきましたが、その実像は大きく違う印象です。拙著『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』では、メディアなどでは取り上げられることのないお金持ち像を紹介していますが、本稿では、この「知られざるお金持ち像」をより具体的にご紹介しましょう。

「お金持ち」の定義とは
「収入は少ないけれど、土地(資産)をたくさん持っている人」「収入は多くても、資産は少ない人」など、さまざまなタイプのお金持ちを見てきた結果、私は、次の「3つ」の視点から、お金持ちの意味づけをしています。
【お金持ちの3つの条件】
条件? 年間の「所得」が「1000万円以上」ある人
条件? 「純資産」が「1億円以上」ある人
条件? 「相続税」の対象となる人
「所得」を基準にしているのは、必要経費の金額によっては、どれほど収入が多くても、おカネが手元に残らないことがあるからです。「1億円」の収入があっても、必要経費に「1億円」かかっていれば、差し引きで、所得は「ゼロ円」になります。会社員の場合は、所得がゼロになることはありませんが、年収1000万円超の人には、「一律220万円」の給与所得控除がありますから(2017年から)、年収が1000万円あっても、給与所得は、780万円になります。
日本において「相続税」がかかる人は
「純資産」とは、「資産」から「負債」を差し引いたものです。1億円のマンションを持っていても、住宅ローンが残っている場合には、「純資産」には当てはまりません。また、日本において「相続税」がかかる人は「相続が発生した100人のうち、7、8人程度」しかいませんから、「相続税がかかる人」=「お金持ち」と考えることができるでしょう。この「3つ」の条件のどれかひとつでも満たしている人のことを「お金持ち」と定義しています。

お金持ちの4つの収入源
それでは、3つの条件のいずれかを満たす、お金持ちというと、私は大きく「4つ」のカテゴリーに分類することができると考えています。
【お金持ちの4つのカテゴリー】
カテゴリー? 事業系
カテゴリー? キャッシュリッチ系
カテゴリー? 投資系
カテゴリー? 地主系
?の「事業系」ですが、会社経営者(創業者、2代目、3代目社長)などに多く、事業所得によっておカネを得ています。オーナー企業の場合、自社株の大部分を保有しているのは、経営者です。会社の業績が堅調に伸びていると、株の評価額が押し上げられますから、自社株が数十倍に上昇することがあります。
とはいえ、「事業系」のお金持ちは、個人資産をそれほど多く持っていない気がします。役員報酬を多く取って個人資産を厚くすることよりも、会社の内部留保を厚くすることを考えているからです。また、中小企業では、社長が個人資産から会社に運転資金を貸し付けることがよくあります。会社に貸したおカネは、資金繰りの都合からなかなか戻ってきません。
銀行から融資を受ける場合も、社長の自宅が担保にされることがあります。担保となった自宅の売買は難しいため、一概には「社長イコールお金持ち」とは言えません。とはいえ、経営者は個人として受け取る収入以外に、さまざまな経費を使うことができるので、仮に役員報酬が少なくても、極端に生活が苦しくなることはありません。
?の「キャッシュリッチ系」とは、現金や預金など、流動性の高い金融資産を多く保有する人です。資産のほとんどが現預金か有価証券で、総資産は自宅を含めて「1億〜2億円」くらいの人が多い気がします。上場企業の経営幹部(サラリーマン社長、副社長、専務、常務、取締役などの役員)は、高額の役員報酬を得ています。
人事労務分野の情報機関である「産労総合研究所」の調査によると(2015年)、役員の年間平均報酬額は、会長3693万円、社長3476万円、専務2433万円。さらに、ストック・オプションや退職金などもありますから、経営幹部は「キャッシュリッチ系」に含まれるでしょう。
メディアなどでほとんど紹介されないお金持ち
?の「投資系」は、不動産投資や株式投資などで、キャピタルゲインを得ています。いわゆる「サラリーマン大家」は、投資系に入ります。サラリーマン大家は、都心部や中核都市の賃貸専用物件を購入するケースがほとんどです。金融機関からの融資を利用し、キャッシュを生み出すビルや賃貸物件を購入しながら、利益を拡大していきます。株式投資で大きな利益を得た人が、相続税対策として賃貸物件を持つケースもあります。最近では、ネット証券の普及にともなって、多くの個人投資家がデイトレードをしています。

「地主系」という資産家の実像
?〜?のお金持ちについては、本を書いていたり、マスコミに登場したりすることも多いので、どのような人物像か、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。その一方で、メディアなどでほとんど紹介されないのが、?の「地主系」です。
「地主系」は、資産のほとんどが、先代から引き継いだ「土地(不動産)」です。現預金や有価証券はそれほど持っておらず、質素で堅実な生活をしている方が少なくありません。更地を持っていても収入にはなりませんから、アパートやマンション、貸し駐車場などの「賃貸経営」で土地を活用し、不労所得を得ています。農業や商店を本業としながら、実質的な収入は、賃貸経営で得ている地主もいます。私たちのお客様の中で、もっとも多いのがこの「地主系」です。年齢は比較的高く、60〜80代。総資産が「10億円以上」の方もいらっしゃいます。
「地主系」の実態を細かく見ていくと、「現状維持タイプ」と「積極タイプ」に分かれます。どちらのタイプも土地を活用して収入を得ていますが、その目的が違います。
• 現状維持タイプ/資産を「減らさない」ことが目的
• 積極タイプ/資産を「増やす」ことが目的
「現状維持タイプ」の目的は、「資産(自分の土地)を守ること」です。「土地は代々受け継ぐべきもの」と考えていて、「引き継いだ土地を、次の世代に引き渡す」ことに主眼を置いています。「土地を活用して資産を増やす」というより、相続税対策や、固定資産税対策のために、アパマン賃貸経営や駐車場経営をしています。このタイプには、少数ですが、賃貸経営などはせずに、持っている土地を「切り売り」しているだけの人もいます。
あるお客様の一族は、かつて、所有する土地が100カ所以上あり、総資産が「100億円」を超えていました。代々、土地を切り売りして生計を立ててきましたが、それでも依然として、「50億円以上」の資産が残っています。「地主はお金持ち」と思われていますが、土地を運用していない人(土地を持っているだけの人)の収入は、それほど高くありません。年間400万〜500万円程度の地主もたくさんいます。
少しでも納税額を抑えたいという思いは一緒
一方、「積極タイプ」の地主は、ビジネス感覚を持っています。資産を守るだけでなく、「資産を増やす」ことにも前向きです。賃貸物件を所有するときも、稼働率、空室率などを考慮に入れながら、アクティブに経営をしています。物件を所有するときも、計画的です。土地を持っているからといって、むやみにアパートを建てることはありません。その土地が人口減少地域にある場合、空室リスクが大きくなるからです。
「積極タイプ」の中には、所得税対策のために、「不動産管理会社」を設立して「社長兼地主」になる人もいます。妻や子どもを役員や従業員にして不動産管理会社をつくり、その会社に管理料を支払う。すると、給与として所得を分散させることができます。所得税は累進課税(収入が高い人ほど税率が高まる方式)ですから、所得を分散させれば、税率は下がります。

驚くほど質素で地味なライフスタイル
この「地主系」のお金持ちのなかで、とりわけ「現状維持タイプ」は、いわゆるお金持ちのイメージとは、真逆です。服装や車といったものには、あまりこだわりがないようです。例えば、ご自宅にお邪魔すると、ラフな格好で過ごし、車も国産の軽自動車や、事業を営んでいる方であれば、軽トラックに乗られていることも少なくありません。生活も派手と言うよりは、地味で、旅行などに出かけることもほとんどないようです。ぱっと見た目は、ごくごく普通の人です。また、ご家庭を持たれていない方も多いような気がします。
とにかく代々受け継がれてきた土地を守ることが第一義であり、それ以外のことには、あまり重きを置いていないことが、そのようなライフスタイルに結び付いているのかもしれません。その一方で、税金、とりわけ土地を守るための相続税対策には、心血を注いでいます。その結果、私たちのような事務所にお声がけいただくのでしょう。
さまざまなタイプをご紹介してきましたが、「事業&投資系」というような組み合わせのお金持ちもいます。どのタイプにも共通するのは、税金が嫌いであることと、少しでも納税額を抑えたいという強い思いです。そのような「お金持ち」の情熱と活用しているノウハウに学ぶことは、「普通の人」である私たちにとっても、意味があることのように思います。
著者
清田 幸弘 :ランドマーク税理士法人代表税理士
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