『マシュマロ・テスト』が子どもの“成功”を占う!? 行動科学の最も有名なテストを7人が実験してみた

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『マシュマロ・テスト』をご存じでしょうか?

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マシュマロ・テストとは、幼児にとって魅力的な報酬(お菓子など)を見せ、今すぐ1つもらうか、あるいは何もない部屋で最長20分待って、もっとたくさんの報酬をもらうかという選択肢をあたえ、その行動を見るテストです。

1960年代にアメリカのとある保育園で始まった実験を発端に、以降、多くのテストが実施されています。

そのマシュマロ・テストの元祖をつくり、数十年にわたって自制心の研究を行ってきた心理学者ウォルター・ミシェルが、詳しい解説書『マシュマロ・テスト 成功する子・しない子』を出版しました。

この本にはマシュマロ・テストの膨大な研究結果だけでなく、心理学、行動科学、遺伝学に基づく分析、さらには自制心をいかに育てていくかという指南まで、ぎっしりと情報が詰め込まれています。

日常に潜む誘惑に打ち勝つ秘訣は?

ダイエットしているのについ甘いものを食べてしまう。
節約しようとした矢先に、衝動買いをする。
忙しいのにLINEの未読が気になって、ついスマホばかり見てしまう……。

私たちの日常にはたくさんの誘惑が潜んでいて、それをはねのけるのは非常に困難です。けれども、このマシュマロ・テストでは、未就学の幼児たちが目の前にあるおいしそうなお菓子の誘惑に耐えているのです。

それでは、どんな方法で幼児たちは誘惑をはねのけてきたのでしょうか?

実験! 我が子はお菓子の誘惑に勝てる?

今回、我が子をはじめ、幼児から小学生までの子どもを持つ保護者数人に、マシュマロ・テストを実際に行ってみました。テストは各家庭で行ったため、環境や時間帯などはそれぞれ異なっていますが、非常に興味深い結果が返ってきました。

【マシュマロ・テスト 実験結果】
我が家:7歳(小学1年生) 男児……成功
A家:7歳(小学1年生) 男児……成功
B家:7歳(小学1年生) 女児……成功
C家:7歳(小学1年生) 男児……不明:テストを激しく拒否したため断念
D家:5歳(保育園年長)……失敗:5分で母を呼ぶ
D家:3歳(保育園年少)……失敗:母親と離れるのを嫌がったため
E家 3歳(幼稚園年少)……失敗:説明を聞きながら食べてしまった

※各家庭の自宅(比較的何もない部屋)で子どもを10分間テスト、お菓子は子どもが好きなものを選ばせた。

3歳〜7歳の7人に対してテストを行ってみたところ、小学生はほとんどが目の前のお菓子の誘惑に打ち勝ち、10分のテストを耐えていました。一方、3歳は家にいながら、母と別室になるのをいやがったり、目の前ですぐ食べてしまったりと、テストを実行させる難しさを物語っています。

意外にも、まだまだ幼児に思えた小学1年生たちがそれぞれの方法で10分を耐えて、見事お菓子をゲットした点は評価に値します。
「学校に通うお兄ちゃん、お姉ちゃん」として、「一人でできる」気持ちが強い時期であること、教室に45分間座って授業を受けるようになり、忍耐力が養われた成果ともいえるでしょう。

正直テストをする前は、息子は「我慢しなくても、どうせ後でもらえるだろう」と考えるのでは……と危惧していたのですが、「母からの挑戦をクリアする」という達成感を選んだようです。

7歳男児の行動とその理由

息子の10分間の行動を隠しカメラでムービーにおさめ、後にチェックしてみたところ、以下のような行動をたどっていました。

【マシュマロ・テスト 7歳男児の場合】

机の上のお菓子をひたすら見つめる

歌を歌いだす(運動会の時期だったため、応援歌などをメドレーで)

大きなため息をついてそわそわしだす

机に頭をのせる

口を開けて、ひたすらぼーっとする(無我のような状態)

最初にあれだけ見つめていたお菓子を、中盤から一切見なくなった点が興味深かったので理由を聞いてみたところ、「見ていてもつまらなかったから、やめた」との答えでした。なるほど!

ウォルター・ミシェル氏によると、このテストをクリアした子どもたちは歌を歌ったり、独自の遊びを考案して、各々時間を乗り切る工夫をしていたそうです。

「自分はできる!」という成功体験

では、このマシュマロ・テストはどんな意味をもつのでしょうか。

薄々おわかりかもしれませんが、マシュマロ・テストで成功した子どもたちは、その後の追跡調査で学業において良い成績をおさめたり、対人関係も良好である割合が多いそうです。
つまり、幼児期から自分を律することができる子どもたちは、その後の人生においても、その自制心が大きく有利に働いていることを示しています。

また、「自分はできる(努力できるし、粘り強く取り組めるし、ポジティブな結果を生み出す行為者たりうる)という子どもの自己認識は、成功を助ける自制スキルによってはぐくまれる」(第八章 成功の原動力--「できると思う!」より引用)とあるように、子どもの成功体験は自信や満足感につながり、次の成功を生むとされています。

幼児期からできる自制心の育て方

では、「このテストで我慢できなかったらうちの子はダメなの?」なんて思う方もいるかもしれませんが、その心配はありません。なぜなら、自制心は育たてられ鍛えられるものだからです。

本著でも「子どもでも大人でも自制心を育むことは可能」であるとして、幼児期における自制心の育て方についても触れています。ただし、そのためには親の子どもへの関わり方が大きい要素を占めているのです。

【幼児期から自制心を育む方法(本著より抜粋)】

・親子ともにストレスレベルを低くしておく(子どもをストレスにさらさない)
・「自分に選択肢があり、それぞれの選択には結果が伴う」ということを学ばせる
(自分の行動次第で、良い結果にも悪い結果にもなる)
・子どもを支配しない(親の欲求ではなく子どもの欲求に耳を傾ける)

いずれも簡単なようでいざ実行にうつすのはなかなか難しい、特に母である自分にとっては耳に痛い話ばかりです。

今回、『マシュマロ・テスト』を読了し、実験を行ってみて、この“自分を律する”力は、子どもたちだけでなく親である自分にこそ必要なものだと改めて痛感しました。

欲望を活性化させ、その場の衝動に従いたくなる“ホットシステム”の対局には、気持ちを落ち着かせ、冷静に判断する“クールシステム”が存在します。いわば、アニメや漫画に出てくる悪魔と天使と考えるとわかりやすいでしょう。

ただし、ホットシステムは完全なる悪ではなく、直感的な判断を下してくれるため、危険を察知した際のとっさの行動といった、役に立つ判断をしてくれる場合もあります。残念なことに、その判断が往々にして間違っていることが多いため、ホットシステムに従うのは得策ではないとも言えます。

親子ともどもこのクールシステムとホットシステムと上手くつきあい、自制心を育み、成功体験を重ねていきたいものです。

皆さんも、我が子の傾向を知るため、マシュマロ・テストを行ってみるのはいかがでしょうか? ただし、どんな結果になっても、ホットになりすぎないようにご注意ください!