精巣にできる腫瘍は、良性であることはまれで、多くは悪性腫瘍(がん)だ。ほとんどは精子のもととなる胚細胞が悪性化したもので、一般に精巣腫瘍といえば胚細胞腫瘍を意味する。20代〜40代の働き盛りに発症のピークを迎えるが、60代の発症もある。

 症状は精巣の腫れや、しこりであるため、発見は容易であるはずだが、痛みはなく機能の障害もないため、放置されることも多い。精巣腫瘍は他の固形がんに比べて進行が速いので、転移してから発見されることも珍しくない。獨協医科大学越谷病院泌尿器科の新井学准教授に話を聞いた。

「精巣が腫れる病気には、精巣上体炎や精巣炎のように、痛みや発熱をともなうものもあり、炎症反応と痛みの有無が精巣腫瘍との鑑別のポイントです。精巣腫瘍は腫れるだけで、痛みもないので通常の3倍以上に大きくなってから受診される方や、ときに腹部のしこりや呼吸困難など転移による症状をきっかけに受診する方もいます。

 問診、触診、血液検査や、超音波診断などで精巣腫瘍が疑われる場合は速やかに手術をします。転移がなければ入院期間も短期間で済み、片方の精巣を摘出するだけなので、ホルモン的にも日常生活に影響はでません」

 精巣腫瘍は、決して発症頻度の高いがんではないが、働き盛りに発症するので、仕事や家庭に対する影響が大きい。しかし、早期はもちろん、ある程度まで進行していても適正な治療で治癒が期待できる『治るがん』の代表でもある。

 また、精巣摘出や抗がん剤にともなう不妊症も気になるところだが、事前に精子を凍結保存し、将来的に体外受精することも可能である。精巣に腫れやしこりを感じたら、直ちに専門医を受診することが何より大切だ。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2015年3月13日号