WP8連載:第三のモバイルOS「Windows Phone 8」詳解、iOS / Android にない注目機能を解説

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(編集部から:iOSやAndroidと比較するとどうしても影の薄いWindows Phone。最新の WIndows Phone 8 は国内キャリアからの端末もなく、利用者も少数派です。とはいえ、機能やインタフェースには興味深いものが多々あり、海外市場では第3のモバイルプラットフォームとして着々と勢力を伸ばしつつあります。

そこでEngadget では、携帯プラットフォーム全般に詳しく Windows Phone を常用するテクノロジーライター Brother Hawk氏によるWindows Phone 8 詳解を連載します。知られざるWindows Phoneの世界をご覧ください。)


現在スマートフォン用のOSは、iPhone の iOSと、そのほか多くのスマートフォンが搭載するAndroidの二強が市場をほぼ独占しています。そんな折りにノキア Lumia 925の発表がありましたので、第三番目のOSとして、Lumia 925も搭載している最新バージョン Windows Phone 8の魅力に触れてみたいと思います。

2013年、第三のスマートフォンOSに浮上




先日、2013年の1QにおけるスマートフォンOSのシェアがIDCから発表されました。それによると、Android 75.0%、iOS 17.3%、Windows Phone 3.2%、BackBerry OS 2.9%となっています。2012年の1QではBlackBerry OS 6.4%、Windows Phone 2.0%だったので、この一年で三位と四位が入れ替わった形です。

国内では未上陸のため、馴染みの薄いWindows Phone 8(以降WP8)ですが、第三番目のスマホOSになったこともあり、今回改めて概要をご紹介します。

実機としては、Nokia Lumia 920/820/720/620/520、HTC 8X/8S、Samsung ATIV Sなどが、去年の秋から順次発売されいます。3.2%とまだまだシェアは低いですが、徐々に存在感を出しはじめています。








左からNokia Lumia 520/Lumia 620/Lumia 720



左からLumia 820/Lumia 920

カラフルなカラーバリエーションが印象的。920と820はLTE対応。720〜520は3G端末です。日本語ロケールに対応しています。



HTC 8S / HTC 8X(左と中央)、Samsung ATIV S(右)

HTCの8Xと8SはともにBeats Audio対応の3G端末。こちらもカラーバリエーションが豊富です。日本語ロケール非対応(日本語の表示と入力は可能)。

サムスン ATIV Sも3G端末で、Samsungらしいカッチリとした雰囲気です。2300mAhの大容量バッテリー搭載。日本語ロケールに対応しています。


国内ではauが2011年8月にIS12Tを発売していますが、これはWindows Phone 7.5(後に7.8へアップデート)であり、カーネルがWindows CEベースと一世代古いOSでした。NTカーネルがベースになっているWP8とはアプリケーション互換があるとは言え、ハードウェアもソフトウェアもかなり違った内容となっています。2012年末、WP8を搭載したスマホをNTTドコモが投入するとの噂はありましたが、結局発表されずじまいでした。


ハードもソフトも素性はいい



国内未上陸のWP8ですが、Microsoftが開発しているだけあって、素性自体は悪くありません。ハードウェア的には、NTカーネルを採用した事により、理論上は最大64コアのCPUをサポート、解像度はWVGA(480x800)/HD720P(720x1280)/WXGA(768x1280)の3つの解像度(後者2つはRetina相当。次バージョンでフルHD対応予定です)、microSDカードやNFCに対応など、これまでWindows Phone 7.xでは弱かった部分が強化されました。

ただBluetoothは一般的なProfileを搭載していますが、残念ながらHID未対応で、キーボードやマウスを接続できません。オーディオコーディックはSBCのみとAACやapt-Xは非対応です。またHDMIなどを使った出力もありません。この辺りは今後に期待したい部分と言えるでしょう。

ソフトウェア的には、Windows 8と同じライブタイル(アイコン内に情報を表示)を採用し、小(標準の半分)/標準/横長(標準を横に2つ)と、三段階にタイルの大きさを変更可能。

従来の iOS が一部で採用してきたスキューモフィックデザイン(現実にあるものをモチーフにするデザイン)とは違い、各製品写真の画面からも分かる様にフラットなデザインです。横スクロールしながら項目などを切替えるMetro UIなど、UI面で iOS / Android の二強とはかなり異なる世界観を持っています。

(なお掲載している画面キャプチャは、実機のものをそのまま使うと個人情報が多くモザイクばかりの画面になってしまう関係上、主にMicrosoftのサイトから流用しています。あらかじめご了承ください。)

特に三段階に大きさを変えられるライブタイルは、ホーム画面である程度の情報を知ることができ重宝します。この機能はiOSには無く(バッジで数字のみ)、Androidはウィジェットを使えば可能ですがUIがバラバラでクールではありません。

WP8のホーム画面を見た後では、二強のホーム画面が古臭く感じられます。高性能で綺麗な液晶パネルを搭載しているのにも関わらず、アイコンが並んでいるだけとはもったいない話です。

YouTubeアプリ(バージョン 3.0.0.1)。popular/top rated/featuredの項目が横にスクロールするMetro UI採用しています。つい最近大幅に機能アップ

Android 4.2ではマルチユーザー対応となりましたが、WP8ではキッズコーナーと言う機能があります。予め設定した、アプリ/音楽/動画/ゲームなどを、ロック画面を横にスワイプして誰でも使える環境を構築できます。マルチユーザーとは性格が異なりますが、所有者以外が端末を使うことを考慮したものと言えるでしょう。もちろんインターネット共有(Wi-Fiによるテザリング)など一般的な機能は搭載しています(但しVPNには非対応です)。OSのアップデートはOTAとなります。


キッズコーナーやバックアップの設定画面

パソコンとのデータリンクは、Mac版も含めWindows Phone(Windows RTと8はWindowsストアアプリ)と言うアプリケーションを用意(microSDカード対応機ではmicroSDカードも使えます)。残念ながらiOSの様にWi-Fiを使ったデータ転送には対応せず、USBケーブルを使ったデータ転送となりますが、iTunesライブラリとの同期も簡単に行え、なかなか優れものです。


Windows Phoneアプリ(Windows 8/RT版)

クラウド対応も充実しています。同社が運営する、Outlook.com(メール/People/カレンダー/SkyDrive)へMicrosoft IDを使ってアクセス/同期可能です。

機能は iOSのiCloudのように、撮影した写真をWi-Fi経由で自動的にSkyDriveへアップロードするほか、電話にインストールしたアプリ一覧/通話履歴/テーマカラー/電話で設定したアカウント/Internet Explorer のお気に入り/写真、メッセージング、メールとアカウント、場所、Internet Explorer、ロック画面など、電話に関する設定を自動的にバックアップする機能も持ち合わせています(ただし、各アプリのデータまではバックアップできません)。

最大の魅力はPeople Hub


そして二強にない最大の魅力はPeople Hubと言えるでしょう。例えば同一人物とメール、メッセージ、facebook、電話などをやり取りした場合、他のOSではアプリ毎にその履歴が分断され見通しが悪くなります。またFacebook、Twitter、LinkedInなど個別に見なければならず面倒です。しかしPeople Hubでは、これらをMicrosoft IDにひも付け、タイムラインへまとめて表示ができ非常に一覧性が良くなります。そして電話帳に相当する部分には、それぞれ個別のアカウントに該当人物を全てリンクしています。



People Hub


加えてルームとグループも用意。前者はフォトアルバム/グループチャット/カレンダー/メモを他のルームメンバーと非公開で共有できる機能。後者は家族や仕事と言った感じで、連絡先をグループ分けします。タイムラインも全体/グループ/個人で切替えて表示可能です。また、グループも含め、その実態はOutlook.com/Peopleで管理し、端末を乗換えてもMicrosoft IDが同じであれば何もせず移行できます。細かい追加・修正はパソコンからも可能です。





ルーム


Office Hubでは、同社のWord/PowerPoint/Excelドキュメントの閲覧も編集できます。メールに添付されたドキュメントやSkyDrive上にあるドキュメントなどが対象となるため、パソコンとのやり取りもスムーズ。フォーマット互換のアプリではなく、純正なので高い互換性があります(Mobile版なので制限はあります)。加えて企業独自のアプリをWindows Phoneストアを経由せずインストールできる仕掛けがあり、Office対応と共にビジネス用途に強い側面を持ちます。

肝心のアプリですが、流石にiOSやAndroidほどの本数はありません。ただFacebookやTwitter、YouTube、LINEと言った主要どころはほぼそろっています(少なくともWindows 8よりは多いです)。「昔は片っ端からアプリを試した派」の人でも、今では「主要どころ+写真加工アプリなどがあれば十分」と言う人が多いのではないでしょうか。その様なユーザーであれば問題ない範囲です。



Windows Phoneストアの無料アプリ


地図に関しては標準装備のマップはNokia Mapsで日本に関しては真っ白ですが、Google MapsベースのgMapsを使えば大丈夫です。乗換案内や乗換NAVITIMEもあります。また、HTML5対応のIE10を内蔵していますので、普通にサイトへアクセスできます。残念ながらFlash Playerには非対応なので、見れないサイトもありますが、これはiOSでもAndroid 4以降でも同じことです。



左から本体搭載のHERE Maps、GoogleマップベースのgMaps、ナビタイムの乗換NAVITIME。HERE MapsとgMapsで秋葉原を見るとその違いは一目瞭然

余談になりますが、去年末に国内でWP8搭載機が出なかった理由の一つが、この地図問題のはず。当時iOS6の地図問題が大きくクローズアップされただけに、無視できなかったのでしょう。ただしiOSとは異なり、WP8はキャリア側で出荷時のアプリを調整可能。極論すればgMapsを標準搭載できればこの問題は解決します。

この様にWP8は、iOSそしてAndroidの二強にはない独自の世界観を持つスマートフォン用OSです。次回は、WP8のフラッグシップ機に相当するNokia Lumia 920をご紹介します。先日Lumia 925が発表されましたが、現在のところまだ出荷は始まっていません。プロセッサなど主要部分はLumia 920と同じなので、参考になるのではと思います。国内の夏モデルもでそろったところなので、比べてみるのも面白いでしょう。