登場人物が多すぎる「尼崎連続変死事件」を分かりやすく解説【文春vs新潮 vol.63】

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[文春・新潮]尼崎市連続変死事件



今週も尼崎市連続変死事件について、両誌が報じている。この事件、どうも人間関係が複雑にからまりすぎて、誰が何をやったのか分かりにくい。両誌の力を借りて、この事件の輪郭について確認しておこうと思う。文春の特集名は「尼崎大量怪死 全容解明!」、新潮のそれは「実録! 尼崎『女モンスター』の揺り籠から監獄まで」である。




角田美代子という「鬼女」、あるいは「女モンスター」


角田美代子被告(64)の半生は、週刊新潮が「実録半生記」としてコンパクトにまとめている。美代子は、「尼崎市内の左官工の家」で生まれ、小中高と進学するが、中学時代は「桁外れのワル」であり、高校は素行が悪いため退学させられた。すぐに知人の兄と結婚。そして、「若干二十歳で、管理売春の元締め」をやっていた。




その利益でスナックを開業。ここでも従業員の女性を「客相手にこっそりあてがってい」たと言う。「数年後には離婚」して、横浜でバーを開いた。それと平行して尼崎市では、「スミダカンパニー」という名で輸入雑貨業を始める。その「十数年後、横浜の店をたたんで故郷に戻」り、輸入雑貨業に専念していたというが……。




週刊文春によれば、美代子被告は「二十代半ば、二度目の結婚生活を二年ほどで終え」、「その前後に?三番目の男?、すなわち「逮捕前まで同居していた『内縁の夫』」と出会った。そして、内縁の夫との間にできた息子(25)を溺愛していたと、新潮が報じている。




崩壊させられた家族と崩壊させた家族



以下、文春の記事を参考にしながら整理してみる。




●大江家

母親はコンクリート詰めで遺棄され、長女(44)と次女(41)、そして次女の元夫は美代子被告の手先という家族である。この大江家と美代子被告の関係は、「〇九年四月」に鉄道員であった元夫が、「電車のドアにベビーカーが挟まった」という美代子被告のクレームに対応したことに始まる。




離婚の仲裁に見せかけて、家族の深部にどんどん入り込む。離婚してからは、次女と元夫の娘たちを引き取り、手なずけ、元夫婦を呼び出して金を奪う。同時に、美代子被告は長女と次女をマインドコントロールしていった。




●谷本家

母親は、後述する皆吉家の長女。父親とふたりの娘、そして父親の兄とが暮らす家だった。母親は「尼崎の路上で倒れ」た状態で死亡。父親の兄と長女(29)は、先日、遺体で見つかった。一方、次女(27)は美代子被告の長男と結婚し、「ハナ」と呼ばれて美代子被告の連絡係を務めていた。




谷本家と美代子被告の接点は、「実家である皆吉家から甥っ子を預かってくれと頼まれた」ことに始まる。その「甥っ子」こそ、美代子被告のいとこであり、彼女の右腕としてほとんどの犯罪に関わったとされる李正則受刑者(38)なのであった。この正則受刑者の扱いをめぐり、谷本家は4000万円もの金を美代子被告に吸い上げられた。



●皆吉家

父親と母親(87)、長男(69)、長女、次男、次女(60)の家族で、長男以外は全員死亡している。うち、母親と次女は行方不明。長男は、正則受刑者の母親の再婚相手だった。谷本家のふたりの遺体が見つかったのは、この皆吉家の人々が暮らしていた家である。




正則受刑者は「努力家の高校球児」だったが、就職後に義父(=長男)のトラブルに巻き込まれる。その後、「退社して間もなくシャブで捕まり刑務所」に。そして、文春によれば、金の貸し借りを契機に美代子被告と知り合いた。他方、新潮によれば、出所時の身元引受人になったことに「恩義を感じ」、「?暴力装置?として美代子被告を支える存在となった」のだという。