「耳尖らせる」米国の若者たち、元には戻せない身体改造に専門家は警鐘。

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流行しているうちは格好良くても、時代が変われば途端に見え方が変わってしまうのがオシャレの難しさ。長く親しまれるのか、一過性で終わるのか、その評価は時間が経ってみないと分からないが、米国ではいま、ごく一部の若者の間で、後の評価がどうなろうと修正が利かない新たなオシャレがジワジワと広がっているという。

そのオシャレとは、耳の形状を変えてしまう手術。主に西海岸を中心に、妖精や宇宙人のように耳の上部を尖らせる手術を受ける若者が増えているという。ただ、一度こうしてしまうと元に戻すのは難しく、また、専門家の中には、この手術を受けた人に対して感染症の危険性に警鐘を鳴らす人もいる。

米放送局ABCによると、この手術を始めたのは、“表現”のために奇抜な体の改造を行っているアーティストのスティーブ・ハワースさん。彼は自身で医療機器を設計して活動を行い、これまでにも舌に切れ目を入れて左右に広げる手術を生み出すなど、数々のアイデアが注目されたこの分野の第一人者だ。1999年には「最も先進的なボディー・モディフィケーション・アーティスト」として、ギネス・ワールド・レコーズにも認定されたほどで、現在はアリゾナ州フェニックスに活動の拠点を置いている。このため、ハワースさんの拠点に近い西海岸の若者たちから、新たな“作品”が知られるようになったようだ。

そんな彼がこのほど生み出したのが、耳の上部を尖らせる方法。「スタートレックのミスター・スポックのような」耳にするそのやり方は、「軟骨の上をスライスし、耳の先端にそれを戻して埋め込む」そう。手術は18歳以上の人に行われ、「約20分ほどで完了。費用は両耳で600ドル(約5万円)」(英紙デイリー・メールより)というから、それほど高いわけではない。ただ、この手術をするにはそれなりの覚悟は必要なようだ。

最初の問題は、1度この手術を受けてしまうと「元に戻すのは難しい」(ABCより)ということ。つまり、自然な形に戻せないのを自覚した上で手術に臨まなくてはならず、実際に手術を受けたジョーダン・ハウツさんは「18か月考えた」上で行ったという。また、ハワースさんは医師免許を持っていないため、「麻酔が使えない」(米紙ニューヨーク・デイリーニュースより)のも大きなポイント。「痛いのは言うまでもない」手術になるため、痛みに耐えられる自信のある人しか受けることはできない。

そんな思いもあるからか、実際に耳を尖らせたハウツさんは新たな自分の姿にご満悦。彼女はSFに興味はないと言うが、この耳が魅力的だと感じたそうで、「私の個性にぴったりよ」と、とても気に入っているようだ。しかし、この手術にはやはり懸念を抱く医療関係者も少なくない。ABCの取材に応じたアーサー・ペリー医学博士は耳を元に戻す難しさや、手術自体のリスクを挙げ、「もし感染症が起きたら、数日のうちに耳が破壊されるかもしれない」と警告している。手術を受けた人が将来、後悔する気持ちが起きることがないよう願いたい。