今大会2試合で1ゴール1アシストを記録し、いずれも日本代表の1点目を導いているMF中村敬斗(スタッド・ランス)だが、実は運動量が求められる左ウイングバックとして「走り」に関する指標でも目覚ましい数値を残している。

 それは国際サッカー連盟(FIFA)が定める「Zone3」(時速15-20km)以上のスピードでの走行距離だ。現代サッカーにおいては単なる走行距離でなく、こうした指標で示される「高強度ラン」が求められているなか、中村は第1節のオランダ戦で合計2647.6mを記録。これは運動量自慢のMF佐野海舟の2180.5mをはるかに凌ぐチーム最多で、大会全体の第1節でも全出場選手中トップ50(42位)に入る数値だった。

 さらに第2節のチュニジア戦もフル出場ではなく79分間のプレーとなったが、「Zone3」以上の走行距離2118.7mを記録。チーム内首位の座は2267.3kmの佐野に譲ったが、総走行距離がオランダ戦の11313.4mから8989.8mに下がっていることを踏まえると、より高強度ランにスタミナを使って貢献していたと言える。

 中村によると、特に守備の局面では素早い戻りを意識しているようで「オランダ戦は攻められる時間も多かったし、キツかったけど、まずは守備からと言うところでできているのが高強度のランにつながっていると思う」とのこと。その要因を「身体のキレがないと高強度のランはなかなか出せないけど、事前キャンプからしっかり準備をしてきた。高強度のランをしようというよりも危険なところで、できるだけその穴を埋めるようにしている」と口にする。

 さらに中村の凄みはオランダ戦の後半12分のゴールのように、高い負荷を課されながらも後半までフィニッシュのクオリティーが落ちないところだ。その点は「練習でしっかりと追い込めている中で、練習からちゃんとした精度のクロスやシュートに持っていくことをやっている。練習の成果が出ていると思う」と中村。日々の積み重ねが結果につながっているようだ。

 初めてのW杯出場ながら、ここまでの2試合は「どっちも得点に関与できているのは自分の特徴を出せているのかなと思う」という充実の内容。ハードワークと結果の両立に向け、「コンディションはもっとここから上がってくると思うし、まだ比較的大丈夫。しっかりリカバリーもできている」と頼もしく前を見据えた。

(取材・文 竹内達也)