“新ヒロイン”が誕生する「資生堂・JALレディス」 前年覇者の永峰咲希や吉田鈴らが出場 今年、舞台を移す戸塚CCの東コースはどんなコース?
■6487ヤードと距離は短いが飛ばすだけでは攻略できない 19年大会の6513ヤードから昨年の6766ヤードへと、西コースでは毎年、距離を伸ばして開催されてきた。一方、今年の東コースは6487ヤードの設定。通常営業のアウトとインを入れ替えている。単純な距離は大幅に短くなったことになる。だからといって、それだけやさしくなるというわけではない。 「東コースは戦略的で西コースとは違った味があります。林にセパレートされて、狭く感じると思います。グリーンは強いアンジュレーションがあるので元気よく飛ばしていくだけでは、攻略できないのではと思っています」。ティショットの置きどころ、ピン位置に対してグリーンのどこに乗せるかといったマネジメント力と、それを実現するショットの正確性が同時に求められるコースとなっている。 決して距離は長くないが「コースの特性上、プレッシャーのかかるシーンはたくさん出ると思います」。しびれる場面をいかにしのぐかが勝負を分けるポイントとなりそうだ。 グリーンの硬さやスピードについては「硬すぎ、速すぎにはしないつもりです。アンジュレーションが強いですから、硬く、速くするとカップを切る場所がなくなってしまいます。難しいピン位置でも、いいショットをすれば、バーディを取れるコンディションにしたいですね」 また、ラフの長さについては「今後の天候にもよりますが、70ミリを目標にしています。この時期は1週間で長さもだいぶ変わるので、最終日に70ミリプラスアルファになればいいなというイメージです」。ここ数年は暑さとの戦いが続いているが、平年並みなら梅雨明け前の開催。雨で濡れた状態も想定して、極端に深いラフにすることは考えていないという。
■今年はバーディが数多く出てより盛り上がる? 資生堂が主催であること、さらに電車でも都心からのアクセスがいいことから、女性ファンや初めてトーナメント観戦に訪れるギャラリーが多いのがこの大会の特徴の一つでもある。昨年は、4日間で2万703人ものギャラリーを集め、JLPGA公式戦を除くスポンサートーナメントでは最多。ギャラリーの熱量が名勝負を後押しする。 コースが変わったことで試合展開も変わりそうだ。「昨年の優勝スコアは9アンダーでしたが、東コースに移る今年はもう少しスコアが出るようにしたい。やはりバーディが数多く出て盛り上がる大会にしたいですね」。グリーンのスピードやラフの長さにもこうした考えが反映されているのだろう。 東コースの名物ホールは、グリーン左手前の池とビーチバンカーが特徴的な3番パー3。「ティイングエリアは木に囲まれているので感じづらいですが、グリーンは風の影響を受けます。後ろのティだと190ヤードと距離があり、グリーンはアンジュレーションがあって、池も絡むとなると選手にとっては難しいホールになるでしょう。セッティング担当としてはやさしくも、難しくもできる変化がつけられるホールです」 一方、16番パー4は終盤に訪れる難ホール。420ヤードは今大会で2番目に長いパー4だ。「ティショットは打ち下ろしになりますが、左右の木がせり出していているので広くはありません。飛距離の出る選手なら2打目を短いクラブで打てるでしょうが、飛距離の出ない選手は左足下がりから長いクラブで打ち上げのグリーンを狙うことになるので、難しいホールになると思っています」。以降の17、18番が比較的距離の短いパー4となっているだけに、16番が優勝争いを左右するホールとなるかもしれない。 トーナメントの観戦スタイルは人それぞれだが、大きく分けると、特定の選手について歩くか、同じ場所でさまざまな選手のプレーを見るかの2つに分けられる。後者の定点観測派におススメなのが、難しい16番とその前の15番パー3(180ヤード)だ。「15番は3番より距離は短いですが、どこにピンを切ればいいんだろうと考えさせられるぐらい奥からの傾斜が非常に強いホールです。グリーンが小さく見えるのも、難しいポイントですね。もし私が定点で観戦するなら、この2ホールに行きます」
■ツアー競技初開催でベテランもルーキーも同条件 実力のある新ヒロイン誕生の予感 東コースはツアー競技初開催とあって、ほとんどの選手にとっては初めてのプレーとなるはず。「西コースは攻め方を知らないと難しいホールがいくつかあったのですが、今回はキャリアの有る無しは、関係ないかもしれません。選手は練習ラウンドがとても大事ですね。場合によっては、ここは立ちづらいというホールが必ずあるので、どのクラブで、どこに向かって打つのか。フェアウェイに運ぶために、何が必要なのかを考えておいてほしいですね」。今季の女子ツアーでは初優勝者が生まれるまで13戦かかったが、ここで新たな初優勝者の誕生も期待できそうだ。 中野プロによれば、ドローヒッター向き、フェードヒッター向きということはなく、両方の球筋が求められるコース。「逆が打てないのなら、ドローでも、フェードでも安心できる方で攻めてもいいですけど、その場合はストレートに近い球筋も必要でしょうね」。ゴルフファンの中にはこれだけで何人か優勝候補の名前が浮かぶ人もいるのではないだろうか。 23年大会でツアー初優勝を飾った櫻井心那はここから年間4勝とブレーク。櫻井にプレーオフで敗れた桑木志帆は翌24年に1年越しのツアー初優勝を果たし、このシーズンに3勝を挙げている。今年もニューヒロインが誕生するのか、実力者が初めての東コースを攻略するのか、新たな歴史が刻まれる瞬間が今から楽しみだ。(文・田中宏治) ■解説・中野晶(なかの・あき)/1962年11月10日生まれ。身長169センチ。学習院大学出身。1987年プロ入会。90年に初シードを獲得し、91年の「ミヤギテレビ杯女子オープン」でツアー初優勝を遂げる。「LPGAツアーチャンピオンシップ」など年間2勝を挙げた2000年は賞金ランキング2位に入った。現在、JLPGAコースセッティング担当やテレビ解説など活躍している。
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