「誰が出馬するのか見よう」 トランプ大統領が警告…ネタニヤフ首相の政治生命まで揺さぶる
トランプ米大統領がイスラエルのネタニヤフ首相の政治的未来にまで言及しながらレバノン戦線の停戦に圧力を加え始めた。イランと交渉で障害物として作用しているレバノン空襲をネタニヤフ首相が中断しなければ、10月の総選挙で政権延長が難しくなるという警告だ。ネタニヤフ首相としては戦争をやめれば国内支持層の離脱で政権が崩れ、戦争をやめなければ国外の最大後援者を失うという進退両難に直面した。
◆選挙に言及しながら露骨に介入したトランプ大統領
トランプ大統領は20日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に米オンラインメディア「ジャスト・ザ・ニュース」の記事を共有した。「ネタニヤフの揺らぐ再選の機会、トランプがカードを握る」という見出しだった。
記事にはトランプ大統領がイスラエルメディアのインタビューで「(イスラエルの総選挙に)誰が出馬するのか見守らなければいけない。私はビビ(ネタニヤフ首相の愛称)と良い関係を維持しているが、彼はさらに理性的である必要がある」と話したという内容があった。トランプ大統領はネタニヤフ首相を支持する可能性が最も高いとしながらも、ライバルのナフタリ・ベネット下首相とガディ・アイゼンコット議員にも言及した。イスラエルの世論を動かしてネタニヤフ首相に政治的警告を送るという意図と解釈される。
トランプ大統領のこの日の記事共有は、レバノン空襲をめぐる両首脳の葛藤をまた表した。イスラエルは米国とイランの戦闘終結交渉が進行中、親イラン武装組織ヒズボラを狙ったレバノン空襲で交渉に冷や水を浴びせた。米インターネットメディアのアクシオスは1日、米当局者らを引用し、「トランプ大統領がネタニヤフ首相との電話で暴言を混ぜながら『何ということをするのか』『狂っている』『感謝することを知らない』と叱責した」と報じた。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)も17日、「米国がイランとの戦争を終わらせるための外交的出口を模索する過程で、両首脳の関係に深い亀裂が生じた」と評価した。
また、トランプ大統領は「私でなかったら(ネタニヤフ首相は)監獄にいたはず」と話したという。腐敗容疑で裁判を受けているネタニヤフ首相の司法リスクにまで言及したのだ。イスラエル内外ではネタニヤフ首相が関連裁判のために戦争を継続するしかないのではとの見方も少なくない。
◆やめても続けても危険な戦争
それでもネタニヤフ首相はレバノンを空襲を続けている。イランは米・イランの戦闘終結に向けた覚書(MOU)に署名した後の20日、イスラエルのレバノン空襲を理由にMOUの核心条項であるホルムズ海峡開放を取り消した。イランは21日、スイスで開かれる米国と後続交渉でレバノン内でのイスラエルの軍事作戦中断を核心条件として要求するとみられる。トランプ大統領の立場ではイスラエルを統制する必要性がさらに高まったということだ。
しかしネタニヤフ首相は内部政治事情のためにレバノン空襲を簡単には中断できない状況だ。現在執権中の保守連立政権はヒズボラとの妥協、レバノン内占領地からの撤収などに反対してきた。戦争を中断すれば連立政権が崩れ、ネタニヤフ首相に対する司法処理が進む可能性が高い。2023年10月のハマスの奇襲による安保失敗責任論も、所得のない戦争中断後にネタニヤフ首相が負うことになると予想される。
◆民間人被害が強めた国際世論の負担
民間人の被害が続いている点もネタニヤフ首相に対する批判世論を強めている。20日、ガザ地区ではイスラエルの空襲と銃撃で子どもとアルジャジーラ所属のカメラ記者アフメド・ウィシャ氏を含む少なくとも9人が死亡した。イスラエル軍はウィシャ氏がハマスの隊員だったと主張したが、ハマスとアルジャジーラはこれを否定した。また、レバノンでは南部ティール近隣でウミガメの産卵地を保護してきた著名な生態学者モナ・カリル氏がイスラエルの空爆で負傷した後、死亡した。
結果的にネタニヤフ首相が政治的な支柱としてきたトランプ大統領という人物と戦争という手段が今では権力を脅かしているという指摘が出ている。イスラエル日刊タイムズ・オブ・イスラエルは「米・イラン合意がネタニヤフ式戦略の危険性を表した」とし「イスラエルの運命を米共和党とトランプ大統領個人に過度に縛られたという意味」と指摘した。
