@AUTOCAR

写真拡大 (全6枚)

経営会議によって導かれた2+2のEタイプ

小さなリアシートを得たジャガーEタイプ 2+2は、オリジナルの完璧さを濁すと考える人は少なくない。ルーフラインはやや不自然に後方へ膨らみ、ホイールベースは9インチ(約230mm)も長い。

【画像】4シーターなジャガーEタイプとロータス・エラン ベースの2シーター 最新エメヤとX900も 全152枚

美しさが追求された2シーターのEタイプ・クーペが、純粋な感性から誕生したとするなら、2+2は経営会議によって導かれたと表現しても過言ではない。より多くのニーズへ応えるビジネスとして、必要とされたモデルだった。


ライトブルーのジャガーEタイプ 2+2と、ブラックのロータス エラン +2S    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

しかし、2+2は必然的でもあった。同社は既に、1950年代のXK150でリアシートを与えていた。欧州市場では、高級な4シーター・クーペに注目が向けられていた。

ジャガー創業者のウィリアム・ライオンズ氏は、体格の良い欧米人でも快適な、広々としたキャビンの需要を見越していた。Eタイプにも、ひと回り大きいボディが必要だと当初から理解していた。フォード・サンダーバードに対抗しうる、選択肢として。

コスト削減へ務めつつ北米を中心に人気獲得

Eタイプ 2+2の登場は、XJ6やXJ-Sの原型が生み出されたことを意味した。商業的にも成功を収め、1968年にアップデートを受けたS2 クーペを凌ぐ販売を記録している。

特に北米の人気は高く、1971年までに約1万1000台の2+2が生産されたが、8506台が左ハンドルで作られている。またV12エンジンを積むEタイプは、2+2のプラットフォームを採用してもいる。


ライトブルーのジャガーEタイプ 2+2と、ブラックのロータス エラン +2S    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

Eタイプ 4.2 S1 2+2の発表は、1966年のスイス・ジュネーブ・モーターショー。それまでのジャガーらしく、可能な限り新設計の部品は抑えられ、コスト削減に務められていた。伸びた全長に合わせて、全幅やトレッドが広げられることもなかった。

チームは最善を尽くしたはずだが、2シーターのEタイプと並ぶと、美しさで霞むことは否定できない。特別に改造された一部には、4灯ヘッドライトも採用されているが。

2シーター同等の加速力で最高速度は223km/h

ドアは約215mm延長され、サイドウインドウの下にはクロームメッキ・トリムがあしらわれた。後席の高さを確保するため、全高は約50mmプラス。フロントシートは僅かに持ち上げられ、後ろに座る人のつま先が入るよう工夫された。

S1 2+2のフロントガラスは40mm高いが、S2ではガラスの付け根が伸ばされ、傾斜を強めることで印象を和らげている。後席を倒せば、広い荷室を作ることも可能だった。


ジャガーEタイプ S1 4.2 2+2 (1966〜1971年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

ボディは膨らみ車重は約90kg増えたが、ギア比の調整で2シーターと同等の加速力を備え、最高速度は223km/hに届いた。当時のAUTOCARが確認した、160km/h巡航時の燃費は7.1km/Lで、空力への影響も小さかった。

パーセルシェルフの追加や断熱材の増量、ヒーターやベンチレーションの強化、3速ATの設定などで、乗りやすさにも配慮された。最小回転半径は、拡大していたが。

驚くべき性能のコンパクト・グランドツアラー

他方、ロータス・エラン +2を生み出すに当たり、代表のコーリン・チャップマンはEタイプ 2+2を意識していたはず。アルファ・ロメオ・スプリントGTなど、より小柄なクーペがライバルだったとしても。

事業提携について会談するため、1963年頃にジャガーを訪れたチャップマンは、リアシートが追加されたEタイプの試作車を目撃していたかもしれない。また彼は、ひと回り大きいエランへ、V8エンジンを積むアイデアにも関心を寄せていた。


ロータス エラン +2S 130/5(1967〜1974年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

果たして1967年に発売されたエラン +2は、119psの最高出力で201km/hの最高速度という、驚くべき性能のコンパクト・グランドツアラーだった。ブランドでは初めて、発売初年度から1000台をラインオフするという、成功も掴んでいる。

チャップマンの読みは正しかった。ロータスを所有したいと願う、家族持ちドライバーに、4シーターのエランは確かに響いた。300ポンド安価な、キットカーも提供された。

高級路線を狙ったチャップマンの意向

ツインカムの4気筒エンジンは、ピストンや排気ポート、キャブレターの改良で高出力化。0-100km/h加速を8.2秒で処理しつつ、燃費にも優れていた。スプリングとダンパーは引き締められ、ワイドなタイヤも履いていた。

全長は、2シーター版から約580mmも延長されたが、全高は25mmの増加に留められた。サイドシルにスチール製の補強材が仕込まれ、FRP製ボディの剛性を確保。少し我慢すれば、身長180cmの大人がリアシートに座ることもできた。


ロータス エラン +2S 130/5(1967〜1974年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

フロントガラスは、フォード・コンサル・カプリ譲り。フロントバンパーはフォード・アングリア用、リアバンパーはウーズレー・ホーネット用を、加工して組んである。

従来のロータスより、エラン +2は一般的な量産車へ近く、高級路線を狙ったチャップマンの意向を表していた。ホイールベースを約300mm伸ばしたシャシーと、約180mm広いボディをベースに、コンバーチブルやステーションワゴンも構想されていたとか。

この続きは、ジャガーEタイプ 2+2 / ロータス・エラン +2(2)にて。