前売りチケットが購入できず批判が殺到した「フェルメール展」(公式サイトより)

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 8月21日から9月27日にかけて「大阪中之島美術館」で開催される「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」のチケット販売サイトが炎上した。アクセスが殺到し、サイトにアクセスしてから、購入まで“10万人待ち”になるなど、サーバーが事実上のパンク状態に陥った。サイトの使い勝手の悪さも批判の対象になっている。

 推し活の一環としてアイドルのコンサートや、好きな芸術家の作品を鑑賞すべく美術展のチケットを買い求める人は増えていると思うが、販売サイトに対して不満を抱く人は少なくない。そして、昨今ユーザーから不満の声が上がっているのが、販売サイトから半ば強制的に“手数料”を差し引かれる点である。

 当日に現地で買い求める「当日券」よりも、料金が200円前後お得になるのが「前売り券」の魅力だったはずである。ところが、最近は販売サイト経由で購入すると、当日券より高い金額を支払わなければならない奇妙な事象が起こっているという。いったい、どういうことなのだろうか。【取材・文=山内貴範】

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当日券のほうが安い

 筆者が以前に体験した事例をもとに解説したい。ある美術館で開催されていた展覧会は、前売り券2000円、当日券2200円という価格設定だった。この展覧会のホームページには、平日に限って当日券があるものの、土・日曜日は“日時指定制の前売り券のみの発売で、当日券の販売は行わない”と明記されていた。

前売りチケットが購入できず批判が殺到した「フェルメール展」(公式サイトより)

 前売り券は、販売サイトを通じて発売されるとアナウンスされていた。前売り券なら当日券より200円もお得だ。さらに、筆者が行くのは土曜日である。当日行っても入れないのであれば、前売り券を買う以外に選択肢はないため、申し込むことにした。

 まず、販売サイトのアプリをダウンロードする必要があり、この時点で既に面倒くさいのだが、手続きを進めると、なんと110円の“システム手数料”を強制的に払うことになってしまった。この時点でなんと、当日券の2200円と大差なくなってしまったのである。さらに、チケットはコンビニで発券する必要があるというが、そのためには、“発券手数料”が165円かかってしまう。完全に当日券より割高である。

 そして会場に行ったところ、仰天した。なんと、当日券が普通に販売されていたのである。そのうえ、会場内に入るとガラガラで、筆者のほか、10人くらいしか客が入っていなかった。展覧会自体は良かったし、自分のペースで見られたのはありがたかった。しかし、これなら前売り券を買わなくてもよかったのでは、と複雑な気持ちになった。

手数料込みの値段にすべき

 このように、手数料を徴収されるせいで、当日券の方が安いという本末転倒な事態は頻発している。SNSを見ると、チケットを購入するファンは「安さにつられて前売り券を買ったが、当日券より高い。詐欺だ」「チケット代は手数料込みの値段じゃないのか」などと、カンカンになっている。「手数料を最初からチケット代に含めるべきだ」などの不満を抱きながらも、「コンサートに行きたいから仕方ない」と複雑な思いでサイトを利用する人が多い。

「訳のわからない手数料を強制的に徴収されても、こっちはチケットが欲しいので仕方ないので払うけれど、釈然としないですね。いわば、ファン心理に付け込んだ手数料ビジネスといえそうです」と、推し活の一環として販売サイトをよく利用するというアイドルファンが話す。

 もっとも、最初から販売サイトの手数料込みの価格を提示しておけば、それほど不満は出ないと思われる。最初に8000円という価格が示されているのに、あとから細かく手数料名目で追加料金を取られ、会計時にはあれよあれよと1000円前後も上乗せされる。そのため、損をしたような気分になってしまうのではないだろうか。

前売り券は“指定席券”?

 アニメーターの原画展によく行くというアニメファンは、「チケットの性質が変化してきた」と話す。最近は混雑解消を目的に、前売り券を日時指定にして売り出す興行主が多い。この“日時指定”という概念が加わったため、前売り券が“お得さ”をウリにするものではなくなったというのである。

「日時指定の前売り券は、安く買えるのがメリットではなく、いわば確実に入りたいというニーズに応えるもの。新幹線の指定席券のような性格で、当日券は自由席券に該当するものだと思っています。つまり、当日券は運よくあったらラッキー、みたいな感じですね」

 そういえば、筆者が見に行った展覧会の前売り券は、イベントが始まってからも発売されていた。開始前も開始後も同じ2000円である。一昔前の前売り券と聞くと、イベントが始まると発売が中止されるものというイメージだったが、日時指定の制度が広まってきたことで、その性質が変わってきたとみていいようだ。

 では、一番安くチケットを購入する方法は何なのか。格安チケットショップで販売されているものを運よく見つけるのが、得策なのかもしれない。しかし、近所にそういった店がある人なら問題ないかもしれないが、結局は交通費を考えると結局はそれほど安くならないだろう。入荷しているかどうかもタイミングによるので、確実に入手したい人にとってはメリットが低いといえる。

 推し活に使う費用は少ないに越したことはないが、現状では、不満を感じながらも販売サイトを利用するしかなさそうだ。ただ、総じて販売サイトは評判が芳しくない。チケットのリセールサイトが扱いにくいなど、運営側に対する不満を述べている人も少なくない。今後、様々なシステムの改善を求めたいところである。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部