【コシノジュンコ 我が道20】安倍昭恵さんは何といっても可愛い
安倍晋三元首相の奥さま、昭恵さんに初めて会ったのはミャンマーでした。実に意外なところ?2009年8月、民主化前のヤンゴンで同国で初めてとなるファッションショーを行いました。日本・メコン交流年行事の一環で、会場は現地で最も格式の高いストランドホテル。あのミック・ジャガーも泊まったことがあるとか。そのショーを昭恵さんが見に来てくれたのです。
会場で姿を見かけた時は、どうしてここへ?と驚きましたが、打ち上げパーティーで話をすると、その理由はすぐに分かりました。彼女はすでに数年前からこの国の子供たちのために学校を造るなどの教育支援を行っていて何度か足を運んでいたのです。戦後、日本が食糧難だった時、ミャンマーが大量のお米を届けてくれたことへの感謝の気持ちからのようです。
それ以来、時々、食事をしたり、お茶を飲んだりするようになりました。そんな昭恵さんは、本当に清らかな心の持ち主で、気取ったところがなくいつも笑顔。だから、誰とでもすぐに仲良くなれる。そして、常に世のため人のために自分でできることはないか、そればかりを考えているようです。でも一番は何といっても可愛い。この言葉がぴったりの女性です。
14年9月、安倍首相夫妻が主賓として出席した、ニューヨークの国連代表部大使公邸で開催された「和食レセプション」をプロデュースしました。各国から200人以上の大切なゲストを招き、日本食のおいしさと素晴らしさをPRするのが目的でした。その際、私が「せっかくの機会ですから和服でおもてなししてはいかがですか」と安倍首相に伝えてもらうと、ご本人は「着物は七五三以来袖を通したことがないからなあ」と当初、困惑気味だったそうです。ところが紋付き袴(はかま)に着替えるとまるで二枚目の歌舞伎役者のよう。その姿に会場も一段と盛り上がりました。
その時、ジャパン・ソサエティーで「日米TOMODACHIキャラ弁コンテスト」というユニークなイベントがあり、昭恵さんらと審査員を務めました。子供たちにヘルシーで楽しい日本のお弁当を食べてもらおうという企画で、私たちも集まった現地のキッズたちと一緒にキャラ弁作り。昭恵さんはオバマ大統領夫人のミシェル・オバマさんから「日本の子供はどうして肥満が少ないの?」と聞かれ、「お昼ご飯はお母さんが作ったお弁当ですから」と答えたと話していました。
食の大切さを誰よりも感じている彼女は、毎年、安倍元首相の地元山口で化学肥料や農薬は使わずにお米を作っています。以前、田んぼでの重労働が少しでも軽くなるように作業ウエアをデザインしたことがあります。そういえば、もう田植えの季節。昭恵さん、無事に終わったかしら。
◇コシノ ジュンコ 文化服装学院在学中に装苑賞を受賞。1978年から22年間、パリ・コレクションに参加。世界各国でファッションショーを開催、国際的な文化交流に力を入れる。オペラ、DRUM TAOの舞台衣装、花火、ユニホーム、インテリアのデザインなどを手がける。フランス政府からレジオン・ドヌール勲章シュバリエ受章、旭日中綬章受章。2025年11月には文化勲章受章。大阪府岸和田市出身。
