「魔の7歳」事故に遭うのはなぜ…チェックリスト公開、通学路の低木撤去など対策も広がる
小学1〜2年生にあたる「7歳」に対する交通安全の取り組みが広がっている。
小学校入学で行動範囲が広くなり、事故に遭うケースが増えるため「魔の7歳」とも呼ばれる。専門家は「4〜7月に特に注意が必要だ。大人は子どもを守る行動を心がけ、子どもも自分を守る意識を持ってほしい」と警鐘を鳴らす。(立山芽衣)
佐賀県、27項目のチェックリスト
警察庁によると、2025年に死傷した歩行者は3万9877人。うち7歳が632人を占めて50歳未満では最も多く、年齢別では6番目だった。06〜21年は7歳の死傷者が全ての年齢で最多だった。

こうした状況を踏まえ、佐賀県は今年4月下旬、保護者らが通学路を点検する際に注意すべき27項目をまとめたチェックリストを作成し、県のホームページ(HP)で公開した。県が25年度から実施する7歳児に重点を置いた対策の一環で、子どもは大人と比べて目線が40〜50センチ低く、視野も6割程度にとどまる点や、突発的に動くといった行動の特徴などに着目した。
県は交通事故から子どもを守る取り組みを進める「こくみん共済coop」とも連携。危険箇所を見つけた場合、coopのサイト「私のまちの7才の交通安全ハザードマップ」への投稿を呼びかけている。県道路安全推進室の垣内尚子副室長は「危険な場所の情報が地域で広がり、安心安全な環境に改善されることで事故が減ってほしい」と話す。
対策のきっかけは22年秋、当時、同室に在籍していた三瀬志帆美さん(38)が、翌春に小学校入学を控えた長男と通学路を確認したことだった。交差点などで車道の目前まで近寄って左右を確認する長男の姿に、子どもの目線からは民家の塀や低木で道路を見通せない場所があることに気づいた。
三瀬さんが同年10月、7歳の目線に立った交通安全対策を提案し、県は実施を決定。23年に佐賀市立赤松小の通学路で、信号機のない横断歩道の周囲にある高さ60〜70センチの低木を撤去した。県は他の複数の場所でも低木を取り除いたほか、同市内で道路脇の用水路にふたを設置し、転落を防ぐとともに歩行スペースを確保したという。
認知度高める民間プロジェクトも
7歳児に着目した取り組みは、民間でも行われている。一般財団法人「トヨタ・モビリティ基金」(東京)が事務局を務める交通安全に関する会議の分科会が25年4月、約4000人に行った調査では、7歳児の事故が多いことの認知度は4〜10歳の子どもを持つ親で44%。小学校入学を控える4、5歳の子の親に限るとさらに低い37%だった。
同基金は今年1月、東海3県を起点に「7歳まもる! 交通安全プロジェクト」を発足させた。4月には柴(しば)犬を使って子どもの視野の狭さや運転席からの死角について説明する動画計6本を公開した。同基金の担当者は、「死角などを意識した行動につなげてほしい」と話す。
日本自動車連盟(JAF)は、24年にVR(仮想現実)を活用した動画を製作。信号機のない横断歩道を子どもが安全確認をせずに渡る場面で、運転者と子どもそれぞれの視点を実感できるようにした。動画はHPなどで公開し、交通安全講習会で活用しているという。
子どもにもドライバーにも意識付け
16年に交通事故で小学1年の四女、陽菜さん(当時6歳)を亡くし、事故が繰り返されないよう講演活動を続けている北九州市若松区の池田かおりさん(52)は、「1年生に交通事故が多いことは、事故後に知った。啓発活動が盛んになることで、子どもにもドライバーにも意識付けができるのは良いことだと思う」と語る。
子どもの行動心理に詳しい福岡教育大の田中敏明名誉教授(児童心理学)は、「7歳といっても認知能力は4〜6歳とあまり変わらず、危険性を論理的に考えるのは難しい」と指摘。「保護者や見守り活動に関わる人は安全確認について子どもに考えさせ、危険を理解した上で行動できるように教える必要がある」としている。
