部活動の遠征先に向かっていた高校生が、なぜ命を落とさねばならないのか。

 移動時の安全確保について、全国の中学や高校、バスの運行事業者は改めて点検せねばならない。

 福島県郡山市の磐越自動車道で、北越高校(新潟市)のソフトテニス部員20人が乗るマイクロバスがガードレールに突っ込んだ。3年生の男子生徒が車外に投げ出されて死亡したほか、運転手を含む18人が重軽傷を負った。

 北越高のソフトテニス部は、強豪として知られる。バスは、学校が新潟県内の会社に運行を依頼した。当日は、練習試合が行われる福島県富岡町に向かっていた。

 事故後明らかになったのは、学校、バス会社双方の危機意識の欠如と無責任体質だ。

 過失運転の疑いで逮捕された運転手の男は、バス会社の営業担当から知人を通じて運転を頼まれていたという。客を乗せるのに必要な2種免許を持っていないうえ、最近は事故を繰り返していた。

 バスも自家用などに使う白ナンバーのレンタカーで、道路運送法に違反する「白バス行為」だった疑いが浮上している。

 学校側はバス会社に、貸し切りバスの手配を依頼したと説明しているが、会社側は、学校から安価なレンタカーを頼まれたと主張し、言い分が食い違う。責任のなすり合いのような状況に、遺族はやりきれない思いだろう。

 どちらの言い分が正しいにせよ、学校側には遠征をバス会社任せにして、バスや運転手をよく確認しなかった責任がある。ずさんな運行を放置したバス会社も当然、厳しい非難に値しよう。

 部活では大会や練習試合に伴う遠征が多い。公共交通の便が良くない地方などでは、バスによる集団での移動が一般的だ。

 遠征時の交通事故は過去にも起きている。バスの貸し切り費用の高騰などで、顧問の教員が運転するケースも目立つ。不慣れな教員には、安全運転の講習を受けさせる必要がある。遠征が本当に必要か、精査することも大切だ。

 学校の課外活動は、現場任せにされ、校長らが詳細を把握していないことが多い。沖縄県名護市で研修旅行中の高校生を乗せた小型船が転覆した事故では、学校側が「監督管理体制が不十分だった」と謝罪している。

 今回も校長らは、遠征の安全管理をすべて顧問の教員に任せていたという。計画や契約の内容については、複数の目でチェックする態勢が欠かせない。