障害年金を申請したくても、診断書の取得で立ち止まってしまう人が一定数いることが、社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズの調査で明らかになりました。※サムネイル画像:PIXTA

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障害年金を申請したくても、診断書の取得で立ち止まってしまう人が一定数いることが、全国障害年金パートナーズの調査(2026年4月21日発表)で明らかになりました。

支援記録の中で約1割が「診断書」でつまずいている

うつ病による障害年金の申請を専門に支援する社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ(東京都千代田区)が、同法人が保有する支援記録「お客様の声」634件を分析したところ、62件(9.8%)のケースで診断書の取得に何らかの困難を経験していたことが分かりました。

さらにそのうち17件では、医師・医療機関との間でやりとりがスムーズにいかなかったケースが確認されています。

実際に寄せられた声には次のようなものがありました。

「主治医に『うつ病で障害年金を受けるのは難しい』と言われた」
「クリニックの先生に診断書をお願いしたところ、断られてしまった」
「障害年金を受けることを詐欺のように言われた」

内訳を見ると、否定的な見解を示されたケースが11件、診断書作成に非協力的だったケースが8件、障害年金の利用自体を否定的に捉えられたケースが2件でした(重複を含む)。

なぜ診断書が取得できないのか

障害年金は、病気やケガによって働けなくなったり、日常生活に支障をきたしたりしている人を支えるための公的制度です。この障害年金を受給するためには、医師が作成する「診断書」が欠かせません。

同法人は、診断書が今後さらに取得しにくくなる可能性の1つに、2024年4月に本格施行された「医師の働き方改革」を挙げています。

働き方改革は、医療の持続可能性のために重要である一方、勤務医の時間外労働に上限が設けられることで、診療現場はさらに多忙となり文書作成への対応が難しくなる可能性もあると指摘。診断書を必要とする患者が申請の入り口でつまずくリスクが高まりかねないと懸念を示しています。

障害年金は、要件を満たせば受給できる公的な制度ですが、申請の過程では診断書の取得など、個人だけでは対応が難しい場面もあるのが実情です。

同法人は、「医師の働き方改革を否定するものではなく、重要なのは、診療現場の負担軽減と、患者が必要な書類へアクセスできる権利の両立だ」と指摘しています。

特に、医師や医療機関の対応、症状の程度や伝え方によって状況は大きく異なり、同じ「うつ病」であっても申請の進めやすさには差が出る可能性があります。

今回の調査は、障害年金全体の傾向を示すものではありませんが、こうした実態があることを踏まえ、一人で抱え込まず、制度の窓口や専門家への相談なども含め、自分に合った方法を検討することが大切といえそうです。

【出典および調査概要】
出典:「障害年金、制度は知っているのに申請できない」10人に1人が診断書の取得で立ち止まる

調査対象:同法人保有の「お客様の声」データベース634件
分析対象:対象のうち「医師や診断書で悩んだケース」に該当する62件
※本分析は同法人の顧客支援記録に基づくものであり、公的統計ではありません
(文:All About 編集部)