大げさすぎず、でもしっかり盛り上げる「ちょうど良い加減」のリアクションで、視聴者が状況を理解しやすくしている点も、司会業の経験が豊富な櫻井さんならではの配慮なのでしょう。

 『VS嵐』から18年を経た今でも、この完璧そうに見えて時々見せる天然さや不器用さのギャップは健在。視聴者に圧倒的な親近感を抱かせ、人間味溢れる生々しい魅力に昇華されているのです。

◆『THEバトルSHOW』でパブリックイメージを更新

『THEバトルSHOW』と『VS嵐』の決定的な違いは、後者において櫻井さんは常に嵐チームの一員で、ゲストチームと対決しているという点。ゲーム進行や作戦面において声をかけてチームを引っ張る場面も多く、嵐チームの精神的な支柱だったのです。

『THEバトルSHOW』では、櫻井さんがどちらのチームにとっても味方であり敵であることで、ゲームの行方を分からなくさせています。初回では、Snow Man・宮舘涼太さんとの直接対決において、櫻井さんはスターらしからぬ弱腰を覗かせたり、滑稽なまでの必死さを露呈しつつも、最終的には華麗な活躍を見せてしまう。「櫻井チャンス」を使うことが「吉と出るか凶と出るか分からない」不安定さこそが、番組に予測不能な緊張感と高揚感をもたらしていました。

 総じて櫻井さんは、俯瞰して場を回す主宰者としての安定感を持ちながら、同時に全体を活かす立ち回りができる稀有なプレイヤーでもある。自分が目立つことだけを考えず、周りの強みを引き出す動きは、長年のグループ活動で培われた真骨頂と言えるでしょう。

 彼は今、これまでの「司会の櫻井翔」というパブリックイメージを、自らプレイヤーとして戦うことで更新し続けています。

◆俳優としての表現にも繋がるはず

 さらに、嵐活動休止中には、ドラマ『占拠シリーズ』(日本テレビ系)で不器用なヒーローを、『笑うマトリョーシカ』(TBS系)で不気味な存在感を放つ政治家役を好演。バラエティで見せる予測不能な緊張感は、役者としての危うい演技にも繋がっているようです。

 進行役として、プレイヤーとして、俳優として、表現者の魅力に溢れた櫻井さんは、グループ活動終了後も勢いを継続しそうです。

<文/こじらぶ>

【こじらぶ】
ライター・コラムニスト。上智大学大学院外国語学研究科修了・言語学修士。ドラマ、男性&女性アイドル、スポーツ、エンタメ全般から時事ネタまで。俳優、アイドルなどのインタビューも。X: @kojirabu0419