「夜、寝ない子」が15歳で日本一に 体操界の新星・西山実沙の正体…“遊び場”で育んだ才能「毎日空っぽになるまで」
全日本個人総合選手権女子決勝
体操の全日本個人総合選手権(群馬・高崎アリーナ)は18日、女子決勝が行われ、予選1位だった高校1年生の15歳・西山実沙(なんば体操クラブ/相愛学園高)が110.332点で逃げ切り初優勝。10月の世界選手権(オランダ)の代表に前進した。2028年ロサンゼルス五輪へ向け、一躍、体操界の新星としてスポットライトを浴びた逸材の素顔とは。
接戦を制し、栄冠を手にした。最終演技者となった床運動。会場の視線が集まる中、西山は堂々と舞った。3種目目の平均台の着地で大きくバランスを崩すミスがあり、1点以上あったリードが0.167点まで詰められたが、動じない。「点数ではなく、最後は楽しもう」。最初の着地をピタリと止め、最後までダイナミックに演じ切った。
2位の前回女王・岸里奈を0.101点差で振り切り、嬉し涙。先月まで中学生、土壇場で強心臓を発揮した15歳は「去年から優勝を目指して練習してきたので、達成できた喜びが大きい。緊張はしていたけど、自分らしい演技が最後までできたと思う」と胸を張った。
和歌山出身、相愛学園高(大阪)の1年生。小学校入学前に「夜に寝ないので、ここで遊ばせてほしい」と母に連れられて、なんば体操クラブに入った。「すごく活発な子で、遊んでいる姿を見て、選手に誘った」と同クラブの山崎隆之ヘッドコーチは懐かしむ。
昨年の全日本選手権は、段違い平行棒で落下するなど、ミスが出て8位。そこから技の難易度を上げて、レベルアップを図った。この日は封印したが、F難度の大技も持つ。世界ジュニア選手権では個人総合で銅メダル、種目別床運動で優勝。元気いっぱいだった少女は、五輪経験のある年長の実力者たちも抑えて15歳で日本一になった。
村上強化本部長が向ける28年ロス五輪への期待「鍵を握る選手になる」
山崎コーチは、愛弟子について「そこまでポテンシャルのある選手ではない」と明かす。その理由に、強さの一端が滲む。
「度胸のある選手。持って生まれたものもあるけど、努力だと思う。真面目なので、手を抜くことをあまり知らない。毎日、体力が空っぽになるまで一生懸命に練習する。練習後も、体育館でしこたま遊んでいる(笑)」
才能を後天的な努力で伸ばしてきた15歳。戴冠を見届けた日本体操協会の村上茉愛女子強化本部長も「メンタル面の強さは彼女の武器。今、これだけ難しい技ができているので、質を高めていければ、ロス五輪に向けても鍵を握る選手になると思う。頼もしい存在です」と2年後に期待を寄せた。
今大会は10月の世界選手権2次選考会を兼ねて実施。女子は5枠で、今大会の得点の半分を持ち越して行われる5月のNHK杯の成績で代表が決まる。17歳で迎えるロス五輪で団体メダルを獲得することが大きな目標。「そこに貢献できるように安定感をもっと高めて、点数を出せるようにしたい」と西山。体操界にまた一人、楽しみな選手が現れた。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

