2024年度、生活保護を受けている世帯は、1カ月平均で約165万世帯と、記録を取り始めてから過去最多となった。なかでも注目されたのが20代で、この24年間で6倍以上に増加しているという。

【映像】年代別・生活保護受給世帯数

 生活保護については、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏が、以前から「バンバン申請した方がいい」と発言していた。そこで『ABEMA Prime』では、当事者と専門家、ひろゆき氏とともに、若者が生活保護を受けること、そして保護から抜けて社会復帰に向けた出口について検討した。

■なぜ20代の生活保護が増えた?

 生活保護制度は、「資産や能力等すべてを活用しても、なお生活に困窮する者」を対象としている。「最低生活の保障」「自立の助長」を目的に行われる。手続きとしては、市区町村に申請→調査→支給開始の流れだ。保護費として「最低生活費−収入=差額」を支給し、受給世帯は約165万世帯(令和6年度被保護者調査)となっている。

 TikTokなどで「生活保護おじさん」として知られる、生活困窮者の支援を行う「トイミッケ」代表理事の佐々木大志郎氏は、「若者の増加は当たり前だ。私たちも、緊急的に住まいを失った人を月30人、年間330人以上対応している。そのうち約5割が20〜30代で、助かるためにいろいろとやるが、最終的に頼りになるのは生活保護だ」と話す。

 佐々木氏のところへ来るのは「家から出ざるを得なかった人。スキマバイトで1日8000円ほど稼いで、ネットカフェに泊まって、ご飯を食べて翌日また働く。その日々がぐるぐる回り、『もう無理』となってつながるパターンが多い」という。

 また、「実家に帰るのが最大のセーフティーネットだが、だいたい帰れない。親も困窮していて、家庭環境も悪い。十分に訓練できず、社会に出た最初がブラック企業になると、メンタルを崩しても、実家に帰れずネットカフェへ。そこから転落していく人が多い」そうだ。

 東京で1人暮らしをしているnodence(20代)さんは、新卒で就職するも、うつ病になり退職。生活保護を受け始めたという。「新卒1年目で怒られっぱなしで、『会社に行くのもつらい』となり、精神科へ行くと、うつ病と診断された。そのまま1年ほど休職したが、復職できずに退職となり、生活保護に頼った」と振り返る。

 受給にあたっては「ひろゆき氏らの発信もあり、生活保護の制度を知った。そうした後押しで、まず相談してみた」のだという。「市役所で1回目は相談、2回目で申請。貯金や通帳は見せたが、家族について強く聞かれることはなかった」。

 生活保護うさぎさん(関西在住・20代)は生活保護アルバイトの収入で、1人暮らしをしている。「大学生で病気を発症し、ギリギリ卒業できたが、内定していた会社を辞退した。実家に戻りアルバイトで生活していたが、体調が本格的に悪化。お金が尽きて、親からの支援も受けられなかったため、役所で話したら『実家を出て生活保護を受けて』と言われた」。

 制度を知った経緯は「SNSでやりとりしていた同じ病気を持つ人が、生活保護を受けていた」こと。「市役所から『診断書を出して』とは言われず、障害者手帳でスムーズに話が進んだ」のだそうだ。

 現在の暮らしは「週2、3回、短時間アルバイトして、生活保護を受けつつ、食費は1日約1500円、昼食抜きで生活している。支給額は障害者加算が2万円弱ついて、約13万円。手取りとしては3万円も増えていない」という。

生活保護から抜け出すことの難しさ

 そもそも生活保護の支給額は、「最低生活費−収入=支給額」で算出される。うさぎさんのケースでは、バイト代が5〜6万円(月)だが、控除額月1.5万円以上働くと、約9割が保護費から減額されてしまう。社会とのつながりのためバイトしているが、他の人たちは「1.5万円の壁」で働き控えもあるのが実情だ。

 佐々木氏は、「1万5000円程度しか残らない。段階がないため、20万円ほど稼いでしまうと停止になる。本来なら働いた分は貯蓄して、抜けられるようにしたいが、そういう制度になっていない。アクティブに働くか、ちょぼちょぼかのどちらかになる」と補足する。

 生活保護で13万円もらえていても、月収13万円になるとゼロになる。「若い人は13万円で暮らすのは無理だ。飲みたいし、遊びたい」。解決策として「就労したら、その分ためられる」といった制度を提案し、「まっとうな人が多いのが大前提だが、抜け出すことに報われない状況がある。若い人が働きたいと言っても、ほぼ他の制度は役に立たず、生活保護に流れていく」とした。

 nodenceさんは「沈み込む時期と、回復期を繰り返している。徐々に増やしていかないとと思うが、実態としては抜け出しにくい。治りかけたが、ショートしてしまい、下がり気味の現状だ」と明かす。「就労となると、医師の許可が必要で、探すのも大変だ。空白期間やうつ病で雇いづらいという話も聞く」

 うさぎさんは「飲食店のアルバイトをしているが、医師から就労許可が出ていない。ケースワーカーから就労指導があるが、主治医から許可が出ていない人が大半だと思う」と身の上を語る。

■社会復帰へのキーアイテムは「スマホ」

 社会復帰のハードルとして、佐々木氏は「リスキリングが必要だ。ブラック企業で働いてきた人も多いため、資金付きの就労支援があるといいが、やはり弱い。ブラックなところへ再就職し、また1年後に生活保護を受ける人もよくいる。アパートに帰るのは簡単でも、それを維持し続けるのは難しい」との課題を示す。

 現実としては「2年以内に3割が再相談に来る。就労関係が悪く、頑張りたくても、まともな仕事を得るチャンスがない」のだそうだ。加えて、時代の変化もある。「一番大きいのは、スマートフォンの重要性が上がったこと。通信費は公的扶助の対象にならないが、住まいよりスマホが大事な人も多い。人や仕事につながるため、そこに公的扶助があると素晴らしい」。

 ひろゆき氏は「60代で身体的理由で働けないなら、『生活保護に行け』となる。20代でも身体的や精神的に働けないなら、生活保護を受けるべきだ。『20代だから取れない』という謎の期間が間違っている」と指摘する。

 受給については「日本では、生活保護を取れるレベルの生活でも、実際に受け取っている人は2〜3割と言われる。ヨーロッパやドイツ、フランスでは7〜8割もらっている。もっと日本も上げていい」と語る。「無理してしがみついて悪化して、二度と戻れなくなるくらいなら、生活保護で健康になって働き直してもらった方が、生涯年収も納税額も増えるだろう」。

 また、「20〜30代でニートしている人も、いろいろな欲望から、結局みんな働く。ひとまず生活保護で安定させて、心の病気が治ればバイトから始める。人に頼まれ、感謝され、給料が増え、彼女ができるかも……となれば、放っておいても働き出すだろう」と予想する。

 そして、ベーシックインカムにも触れつつ、「一律7〜8万円を配ってしまえば、生活保護の受給者も、働いた分のお金が入る。ふつうの人も、やりたい仕事をしたり、スキルを付けたりする期間に使えるため、より高い給料をもらいやすくなる。若い人は、積極的に生活保護を取った方がいい」とまとめた。
(『ABEMA Prime』より)