「万引きしたらどうなるのか、試してみただけ」 逮捕された名投手「米田哲也」氏の現在 「名球会は一銭もくれない」とグチも
プロ野球史上、歴代2位の通算350勝を誇る大投手が、缶酎ハイ2本を万引きした衝撃の事件から1年。窃盗罪で20万円の罰金刑を受けた米田哲也氏(88)が、事件後初めてトークショーに登壇した。豪快な発言で会場を沸かせたが、今なお未解決の問題があるそうで、本人に近況を聞いた。
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【実際の写真】だいぶ老け込んで…「米田哲也氏」現在の姿 住まいの“木造アパート”も
「めちゃくちゃ給料が安かった」
奈良市にある雑居ビルの3階、普段はバレエ教室として使われている一室で4月5日13時から、トークショーは開催された。
テーマは、兵庫県西宮市に1988年まで存在したプロ野球パ・リーグの強豪チーム、阪急ブレーブスにまつわる思い出だ。同ビルの2階に入る野球居酒屋「ビークレイジー」が主催し、米田氏の他に元チームメイトの長池徳士氏(82)、大熊忠義氏(82)、森本潔氏(84)といった往年の名選手が出演した。

米田氏は満席となった45名の観客を前にして、
「僕らの時代はめちゃくちゃ給料が安かった。今の選手の10分の1です。自分が阪急でもらった最高金額は年俸1780万円」
と、サラリー絡みの逸話を冗舌に披露。会場は笑いに包まれた。
「何度も“給料を上げてくれ”と言いましたけど、チームはとにかく“前例がない”との言葉を繰り返すばかり。だからプロ20年目の75年に阪急を出て、阪神に移籍したんです。でも、これが失敗やった。阪神の2年目も結局、年俸は上がりませんでした」
大量の酒を飲み明かす遊び人
かくいう米田氏は77年の現役引退後、西宮市でスナックを経営したもののうまくいかず、廃業の憂き目に。85年に購入した同県芦屋市のマンションも2002年、競売にかけられた。そうして零落した彼は昨年3月25日、同県尼崎市の自宅からほど近いスーパーで計303円の缶酎ハイ2本を盗む。逮捕された時は生活保護を受けていたという。
プロ野球担当のスポーツ紙デスクによれば、
「“ガソリンタンク”と呼ばれた米田さんは現役時代、大量の酒を飲み明かす遊び人で鳴らしました。引退後、そんな豪快な生き方がすぐに変わるわけはなく、商売の失敗も相まって困窮したとみられています。とはいえ、昔は読売ジャイアンツのスター選手以外、総じて年俸が高くなかったのは事実。日本の野球史において故・金田正一に次ぐ勝利記録を保持する米田さんが、いまだ給料のことで恨み節を吐く気持ちは理解できるところもあります」
月5万円の家賃を滞納
現在も米田氏は昨年の逮捕時と変わらず、築およそ50年の木造アパートに妻と二人で住んでいる。当時は約8年分の家賃が未納で、計500万円ほど滞納していた問題があった。
改めて大家さんに尋ねると、
「状況は同じで、引き続き月5万円の家賃は受け取れていません。私が元阪急ファンだから米田さんを許しているわけでは決してないのですが、もはやご高齢で支払いは無理だと思っています。催促するのもやめてしまいました」
WBCは「興味ない」
目下、米田氏はどんな生活を送っているのか。イベント後に話を聞いた。
「今は高齢者施設に週2回行って、麻雀をやるのが楽しみやな。賭けんとやっとるけど。去年の末くらいから、家内と一緒に通うようになったんです。家では前と同じで、東野圭吾などの推理小説を好きで読んでいるかなあ」
今年のWBCの話題を振ると、
「俺はガラケーやしネット環境もなく、見られんかった。そもそも興味もないしな。テレビのニュースで目にしても“やってるな”って思っただけ」
「どうなるのか、試してみただけや」
万引き事件についてはこんなけむに巻いた答えが。
「あんなこと(万引き)をしたらどうなるのか、試してみただけや。普段、ヤクザや警察が出てくる本をよく読んどるから、興味があったんよ。でも、今はせえへん。俺、警察とは仲良くなったしな。お世話になった若い刑事が“ご飯でも連れてってください”って言うてきたんで、ホンマに行こうと思ってるんや」
アパートの家賃が未納である問題は「ウン」とあっさり認めたが、支払えるめどはあるのだろうか。すると、自身も加入する名球会に関してこうグチをこぼしはじめた。
「定期的にメンバーでハワイに行ってるやろ。名球会がお金を出してくれて、嫁さんも一緒にタダで参加できる。それは別にええんやけど、俺はもう足が痛くてつえも突いているから、行きたくない。そこで不参加分のお金を分けてほしいんやけど、一銭もくれません。夫婦で1回100万円は超えるで。だから、去年から事務局長に“貯金をわれわれのような古い人間に返すべき”って言うとんねん」
米田氏は現役時代、ファンから愛された名投手だった。今でも「浪速の春団治」よろしく、家賃の問題で迷惑をかけている大家さんには、温かい目で見守ってもらうしかないか。
「週刊新潮」2026年4月16日号 掲載
