4月の教室は、児童や生徒が新たな出会いと学びに期待を膨らませる場所だ。そこで迎えてくれるはずの先生の不足が深刻の度を増している。

 文部科学省が昨年度の始業日時点で調査したところ、公立の小中学校と特別支援学校で4317人が足りていなかった。2021年度の前回調査から1・7倍に膨らみ、不足が生じた学校の割合も5・8%から8・8%に増えた。

 社会の土台を成す公教育の危機である。国と自治体、地域住民で問題意識を共有し、一丸となって教員の安定確保に取り組みたい。

 地域間格差も気がかりだ。東京都や高知県など9教育委員会は不足がなく、福岡市、北九州市、鹿児島県はゼロに近い水準だった。一方、大分県や宮崎県は不足が生じた学校の割合が10%台、佐賀県は20%を上回った。福岡県や熊本市は30%を超えていた。

 公教育である以上、居住地によって学びの質に影響するような事態は避けなければならない。

 文科省の追跡調査では、昨年の始業から1カ月たった時点でも不足が続いていた。

 各校は非正規の臨時的任用教員を充てるなどして対応したが、増員はわずかだった。小学校では770校で1086人分の学級担任が確保できず、校長や副校長らでカバーしていた。中学校では美術や技術などで必要な授業ができないケースがあった。

 欠員の穴を埋めるために他の教員の負担が過度に重くなり、休職や離職に拍車がかかる悪循環が広がっている。学校運営全体の管理や、細かなケアが必要な子どもへの対応が行き届いているのか、懸念が拭えない。

 教員の長時間労働が問題視され、一定の改善は見られるものの、現場の疲弊を一掃できてはいない。自宅に仕事を持ち帰る「隠れ残業」、放課後の保護者対応など、残された課題は多い。

 24年の国際調査では、日本の教員の仕事時間は世界最長ながら「教えることの面白さややりがいに満足している」と回答した割合が小中学校とも国際平均を上回った。

 こうした「やりがい搾取」とも評される状況が志望者を遠ざけ、教員不足を加速させているとの指摘がある。25年度の公立学校の採用倍率は2・9倍で、初めて3倍を下回った。小学校で2倍を切った自治体もある。

 少子化が進み、教員の適正規模を見極めるのは確かに難しい。それでも現状を放置するわけにはいかない。国は処遇を改善するため、残業代の代わりに支給する教職調整額を引き上げた。大学の教職課程を教育学部以外でも履修しやすくし、多様な人材を確保しようという議論も進む。

 打てる手は全て打つくらいの危機感が必要だ。地域社会も部活動や学校行事へ積極的に関与し、公教育の現場を支えたい。学校を地域に開く契機ともなるはずだ。