【緊急レポート】 ″トランプ″オイルショックが日本を直撃で「何がどこまで上がる?」
いつまで続くのか
未曽有の原油価格高騰が世界を、日本列島を直撃している。
経済産業省が発表したデータによれば、3月16日時点でレギュラーガソリンは1Lあたり190.8円を記録。前の週から29円アップという大幅な値上げとなった。FRIDAY記者が都内のガソリンスタンドを訪れると190円や200円超えは当たり前。230円超えで売るスタンドまであった(1枚目写真)。ニッセイ基礎研究所主席エコノミストの上野剛志氏が高騰の背景を解説する。
「米国とイスラエルによる攻撃を受け、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖。世界の原油・石油製品の20%が通るとされる大動脈が閉じられました。さらにイランは、UAE(アラブ首長国連邦)やカタールなど、周辺国のエネルギー施設も攻撃。国際的な需給バランスが大きく崩れ、原油価格が高騰し、その影響が国内のガソリン価格に波及しました」
事態を重く見た政府は3月16日から石油備蓄を放出し、19日には石油の元売り会社に対する補助金支給を再開。同月22日時点で、なんとかリッター170円前後に抑え込んでいる。石油備蓄は官民合わせて240日分ほど残っており、すぐに枯渇する心配はないというが、値下げには多額のコストが生じる。前出の上野氏が続ける。
「補助金の残高は2800億円ありますが、政府は早々に8100億円ほどある今年度の予算予備費から8000億円の投入を決めました。それも尽きたら、来年度予算の予備費を投入するか、補正予算を組むしかない。米国とイランの戦争が長期化すれば、政府は多額の予算を投入し続けざるを得なくなるでしょう」
3月20日に行われた高市早苗首相(65)との日米首脳会談で、ドナルド・トランプ大統領(79)は「(戦争は)もうすぐ終わる」と強気の姿勢をアピールしたが、現状はそう甘くない。
「ホルムズ海峡の封鎖によって世界経済が不安定になるのはアメリカにとってもマイナス。トランプとしても、長引かせたくないというのが本音でしょう。一方で、空爆で殺害したイランの最高指導者アリ・ハメネイ師の後継として次男が選出されたことに『受け入れられない。調和と平和をもたらす人物が必要だ』と反発している。互いに引くに引けなくなっており、長期化の様相も呈しています」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)
あらゆるものが値上げする
「安全回廊」の設置も取り沙汰されたが、発電所空爆をめぐってイランが態度を硬化させるなど、先行きは不透明。3月23日の日経平均は、一時2600円も値を下げた。
「″産業のお米″ともいわれる原油は、ありとあらゆるものに使われています。電気やガスといったインフラに、洗剤やシャンプー、電気を使うハウス栽培の農産物など、挙げればキリがない。これらは一気に値上げするというよりも、半年から1年ほどかけて、ジワジワと上がっていくでしょう。言い換えれば、今年は値上げの1年になるということです。
なかでも石油を原料とする洗剤やポリエステルの容器などは、甚大な被害を受けます。戦争開始前の価格の1.5倍になる可能性がある。ガソリンが高くなると、代替品としてバイオエタノールの需要が盛んになる傾向がある。バイオエタノールの生成にはトウモロコシなどの穀物が必要なので、穀物の値段も上がる。つまり、穀物を食べて育つ牛や豚の肉も値上がりします。半年後には10%から30%ほど値上げするかもしれません」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
前出の上野氏は「電気は初夏から、都市ガスは秋口から値上げが始まる」と見ている。
「原油高騰や液化天然ガスの値上げで、発電のコストが上がります。それが消費者価格に転嫁されるのに、数ヵ月のタイムラグがあります。夏の初めから、秋口にかけて電気代の上昇が始まるでしょう。ただし、市場価格連動型の契約を結んでいる家庭は、すぐに影響が出てしまいます。現在の原油高騰を受けて、電力卸売りの価格は戦争開始前のほぼ倍に高騰しているからです」
国際線では、航空券の料金には航空会社が燃料費の変動に対応するための「サーチャージ」が加算される。
「日本人の利用客も多い香港のキャセイパシフィック航空は、3月18日からサーチャージが倍になりました。オーストラリアのカンタス航空は、運賃を一律5%引き上げています。タイやカナダ、ニュージーランドなど世界各国の航空会社が運賃の引き上げを計画している。
現状、ANAとJALは4〜5月に発券された航空券のサーチャージは据え置きにすると発表していますが、燃料費の上昇を補うには、’24年度と比較して30%ほど運賃を上げなければいけないという試算が出ています。燃料費の高騰が消費者価格に反映されるのは、一般に3〜4ヵ月後と言われている。6月以降、大幅な値上げが断行される可能性があります」(全国紙経済部記者)
まだまだ序の口。″トランプ″オイルショックが我々の家計を本格的に襲うのは、これからなのである。
『FRIDAY』2026年4月10日号より
