後藤と塩貝の二枚看板が不在の韓国遠征。サディキ(写真)らにとってはチャンスとなる。写真:松尾祐希

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 U-21日本代表は3月25日の夕刻に日本を発ち、韓国入りした。2028年のロス五輪を目ざす大岩剛監督率いるチームは空港から即座に移動し、ソウル郊外の天安市にある韓国サッカー協会(KFA)のトレーニングセンターで調整を行なった。

 27日にはU-21アメリカ代表、29日にはU-23韓国代表とのゲームが控えており、準備期間はほとんどない。五輪ホスト国となるU-21アメリカ代表は本大会を見据えてオーバーエイジ組を数名組み込み、U-23韓国代表も今年1月のU-23アジアカップ同様に今秋のアジア競技大会(アジア版五輪)に向けて、日本よりも2歳年上のメンバー構成とあって、簡単な相手ではないだろう。

 そうした状況下で今回の日本は、遠征スケジュールが中東情勢によって急遽変更となった煽りを受け、海外組の招集を見送っている。

 同時期のA代表に招集されたFW後藤啓介(シント=トロイデン)、FW塩貝健人(ヴォルフスブルク)、MF佐藤龍之介(FC東京)は不在で、怪我の影響で中盤の大黒柱・MF大関友翔(川崎)もいない。U-23アジアカップ組は数えるほど。比較的経験値が浅いフレッシュなメンバー編成となっており、チャレンジの要素が強い今遠征において注目したいのが“9番”の争いだ。

 9番=ストライカー。大岩ジャパンでは4−3−3の1トップがその役割となる。前述の通り、後藤と塩貝というロス世代の二枚看板は不在で、大岩ジャパン未招集ながらアルゼンチンリーグで研鑽を積むFW貴田遼河(アルヘンティノス)やU-19代表の活動に参加となったFW神代慶人(フランクフルト)もいない。
 
 国内組でも継続して招集されてきたFWンワディケ・ウチェブライアン世雄(桐蔭横浜大)もコンディション不良で招集を辞退。今遠征における“9番”のポジションは大岩ジャパン初参戦の面々で、FW白井亮丞(東京V)、FW鈴木大馳(鳥栖)、FWワッド・モハメッド・サディキ(岐阜)にとってはチャンスだ。

 充実のタレントが揃う海外組と比べ、国内組のFWは層が薄く、絶対的な存在がいないのが現状。インターナショナルマッチウィーク外に行なわれる可能性が高い五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップや、オリンピック本大会を見据えれば、ひとりでも多く計算できるストライカーが欲しい。

 選手たちも意欲十分で、韓国遠征を契機にコアメンバー入りを誓う。海外で国際試合を戦うのは初となる鈴木はこう話す。

「チームで結果を残していなかったなかで、招集してもらえる予想はしていなかった。でも、呼ばれたからにはやってやるという気持ち。自分が変わるきっかけになったら良いと思う」

 代表招集は23 年のU-17ワールドカップ直前に行なわれた同年9月の新潟国際ユース大会以来だが、泥臭いプレーと推進力でアピールを目論む。

 直近のJ2・J3百年構想リーグで2戦3発という活躍を見せ、ンワディケに代わって追加招集されたサディキは身体能力の高さが売り。裏抜けのスピードも特徴で、久しぶりの代表戦に闘志を燃やす。

「去年も代表に入っていなかったけど、オリンピックはずっと狙っていた。そのなかでの今回の招集だったので、絶対に結果を残して9番に定着したい」
 
 今回のU-21代表が、自身初の日の丸となった白井もやる気に満ちている。「ちゃんと知っているのは国体で一緒だった小林将天(FC東京)くらいですね」と苦笑いを見せつつも、「自分を信じて、ヴェルディで培ったものと、自分の中にある得点感覚をうまく合わせて結果を出したい」とモチベーションを高めている。

 城福浩監督のもとで磨いてきた攻守に渡って献身的に戦う姿勢と、ゴールに向かう貪欲な想いを武器にレギュラー争いに名乗りを上げられるか。
 
 4−3−3の1トップはゴールを狙うだけではなく、ターゲットマンの役割はもちろん、大岩ジャパンでは守備の約束事が細かくある。そうした戦術理解も深めつつ、結果を残さなければならず、定着への難易度は決して低くない。それでも海外勢との対戦を通じ、飛躍のきっかけを掴めれば、大化けしたとしても不思議ではない。

 待たれるストライカーの台頭。前回のパリ五輪世代で主軸を張ったFW細谷真大(柏)のような絶対軸となるFWが、ロス世代のチームを引き上げるポイントになるはずだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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