独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の公式Xより

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経済安全保障に欠かせない重要鉱物レアアースのサプライチェーンで圧倒的なシェアを持つ中国は、その輸出規制を外交の駆け引きに使う。アメリカは約70年ぶりに新たな鉱山開発に着手。日本でも“脱中国依存”への取り組みが始まっている。25日放送のNHK「クローズアップ現代」で解説した。

レアアースの世界埋蔵量トップは中国で、シェアは51%。次いでブラジルが24%、オーストラリアが7%などとなっている。さらに、生産量に関しては中国のシェアが69%、アメリカ13%、オーストラリア7%などとなっている。

短期的に日本が脱中国するには、輸入する国を分散させなければならない。しかし、日本が海外に持つレアアースの採掘に関する権益は現在、オーストラリアの1カ所だけだ。

アフリカにはアンゴラやタンザニア、ナミビアなど複数の国にレアアースがあることが確認されており、中国以外の将来的な供給元としての期待が大きい。中でもナミビアでは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が6年かけて探査した結果、強力な磁石の材料になるジスプロシウムなどのレアアースがまとまった量で見つかった。

2月上旬、南アフリカのケープタウンで、アフリカに眠る豊富な資源の開発について話し合う年1回の大規模イベントが開かれた。この会場で経済産業省の松尾剛彦審議官がナミビアの鉱山エネルギー省の高官と会談、ナミビア側は日本の考えを歓迎する意向を示し、今後、スピード感をもって準備を進めていくことを確認した。ただ、課題も多く、ナミビアで採掘・精製したレアアースをどのように日本に運ぶのか、何も決まっていない。

短期的には輸入元の分散化、長期的にはレアアースを使わない独自技術で脱中国依存を目指す。

例えば、大同特殊鋼は中国に100%近く依存している重希土を一切使わない「重希土フリー磁石」の開発に成功し、自動車メーカーなどに納めている。同社がこの製品の開発を始めたのは2009年で、7年がかりで実用化にこぎ着けた。中国が輸出規制に踏み切った去年4月以降、同社への問い合わせは10倍以上に増えた。

しかし、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの清水孝太郎主席研究員は、日本がレアアースの中国依存度を「完全にゼロ」にするのは非現実的だと指摘する。

「“ゼロチャイナ”はお金もかかる。日本は“レスチャイナ”を目指すのがいいのではないか。レアアースは今後、さまざまな分野で使われることが見込まれるため、長期的な目線で日本独自の調達や国内での技術開発を進めていくことが必要だ」

日本は目下、南鳥島周辺の海底にあるレアアースを含んだ泥を採掘し、活用検討を進めている。ただ、これも採掘や運搬、精製などに多額の費用がかかり、実用化への課題は山積している。