鹿島戦の先制弾で今季2点目。浦和の貴重な得点源として奮闘する肥田野。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2026年J1百年構想リーグで優勝し、アジア・チャンピオンズリーグエリート(ACLE)の出場権獲得を狙っている浦和レッズ。苦手なアウェーでの3連戦からスタートし、2勝1PK負けの勝点7で乗り切り、2月28日の4節、本拠地の埼玉スタジアム2002に戻ってきた。

 相手は2025年J1王者の鹿島アントラーズ。注目カードには5万2841人もの大観衆が集まった。

「鹿島は昨年優勝したチームですし、凄まじい雰囲気になると思うので、今から本当にワクワクしています」と沖縄キャンプ中に話していたのが、桐蔭横浜大学から加入したルーキーのFW肥田野蓮治だ。

 特別指定だった昨年11月30日のファジアーノ岡山戦でいち早くJ1初得点を挙げ、今季も開幕のジェフユナイテッド千葉戦でゴールを叩き出しているが、“因縁の対決”に挑むのは初めて。スタートから飽くなき闘争心を強く押し出した。

「彼は足が速いだけでなく、点を取れる位置に入ってくるのがうまい。いてほしいところに入ってきてくれるので、自分がうまく使えれば、もっと得点が増えると思います」と、年長者の金子拓郎も絶賛する。その卓越したスピードと推進力、裏抜けのうまさ、決定力は間違いなく今の浦和の攻撃陣を活性化している。

 この日も開始13分の左足シュートがクロスバーを強襲。鹿島守備陣を脅かすと、直後には金子のクロスに鋭く反応。ゴール前に飛び込んで先制点を奪ったのだ。

「拓郎君が自分のことを見てくれているのは分かっていたんで、相手より前に入るつもりで、100%のスプリントで突っ込んでいった感じですね」と本人は振り返る。
 
 肥田野の良いところはフィニッシュだけではない。身体を張ってボールを収める仕事も献身的に取り組んでいるのだ。今回も屈強な植田直通を相手にしっかりと身体を預け、ターゲットになるプレーを披露。「相手が植田選手ということで多少、緊張感もあったんですけど、意外と通用するなと。自分の中で1つ、自信になった部分だったのかなと思います」と胸を張る。

 そこに前線でのハードワークや精力的な守備という要素も備わっているのだから、本当に大卒ルーキーとは思えない活躍ぶりなのは確か。そこは特筆すべき点だろう。

「個人として、みんなが考えられないようなスケール感を持った選手になりたいと思っている」と肥田野は語気を強めたが、この調子で行けば、一気に突き抜けていくのではないか。そんな期待感が膨らむ一方なのだ。

 だからこそ、彼には90分フル稼働できるタフなアタッカーになってほしいところ。鹿島戦では、彼と金子が下がった63分以降、浦和の攻撃が停滞。序盤の2点リードを守れなかったばかりか、最終的に2−3で逆転負けを食らうという最悪のシナリオが現実になってしまった。

「肥田野と金子がもっと長くプレーし続けていたら」という声も聞こえてきたが、肥田野自身も心から反省している様子だ。

「最後に失点した時に、あのピッチに立てていないっていうのが本当に悔しいというか、情けない気持ちでいっぱいだった。90分、(ピッチに)立てるような選手になりたいです」と本人も強調。軽い負傷もあって、今はフル稼働できない状態なのかもしれないが、プロの強度に慣れ、常に高値安定のパフォーマンスを示せるようになることが、目下の重要テーマと言っていい。
 
 もう1つ注文したいのが、試合中の修正力。この日の浦和は前半終了間際にレオ・セアラにPKを決められ、1点差に詰め寄られてから、どんどんトーンダウンしてしまった。

 後半は風下に立ったことも難しさを助長したが、そこでチームを鼓舞できる人材が少なかった。ゆえに、肥田野には年齢や経験に関係なく、周りを鼓舞できる選手になってほしいのだ。

「チームとしては今回、同じような形で失点してしまったんで、試合中に(渡邊)凌磨君だけじゃなくて、全員で修正することが大事だと思います。

 試合後もみんなで『決して落ち込む内容ではない』と話したし、昨シーズンは連敗が続いているんで、こういう時に下向かないことが大事。次、勝点3を取りに行くことにフォーカスしてやっていきたいです」
 
 肥田野は気丈に前を向いたが、ここで彼自身が浦和を勝たせられる選手になることが大切だ。オナイウ阿道の加入もあり、前線の競争はより厳しくなる。そういうなかで、本当に超越した存在になるために、成長の歩みを止めてほしくない。ポテンシャルは間違いないだけに、鹿島戦の敗戦をどう今後に活かすかが肝心だ。背番号36の本当の戦いはここからだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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