夏季は高評価、では冬季の性能は? ミシュランのオールシーズンタイヤ『クロスクライメイト3』を達人がテスト
サマーシーンの性能を重視した内容
ミシュランのオールシーズンタイヤ、『クロスクライメイト3』シリーズの冬季試乗会が行われた。
【画像】真冬の北海道・士別テストコースで試乗【ミシュラン・クロスクライメイト3】 全90枚
昨年夏、『クロスクライメイト3』(以下CCM3)、『クロスクライメイト3スポーツ』(以下CCM3スポーツ)の夏季試乗会が行われレポートしているが(編集部注:【第3世代に進化】ドライ&ウエット性能は夏タイヤ並み?ミシュランのオールシーズンタイヤ『クロスクライメイト3』登場!)、今回の案内を見た時、ひとつの疑問が湧いた。

ミシュランのオールシーズンタイヤ、『クロスクライメイト3』の冬季試乗会に参加。 日本ミシュランタイヤ
というのも、コンセプトが『雪も走れる夏タイヤ』(CCM3)、『雪も走れるスポーツタイヤ』(CCM3スポーツ)といいながら、タイヤの特徴は先代モデルとなるCCM2を継承。ロングライフ性、転がり抵抗低減、静粛性向上、意のままのハンドリング(CCM3スポーツ)など、主にサマーシーンの性能を重視した内容が掲げられていたからだ。
また、トレッドコンパウンドはCCM2→CCM3がキャリーオーバーで変更なし。CCM3スポーツはよりウエットグリップに優れたトレッドコンパウンドを使っているという説明を受けた。
実際、夏季試乗会での印象はとてもよく、特にドライおよびウエット操縦性は好印象だった。しかも転がり抵抗が少ないという。そんなわけで、ミシュランは冬よりも夏タイヤ寄りに作られているのでは? という疑問が、どうしてもぬぐえなかった。
だから、冬季試乗会はそもそも行われないのではないかと思っていたのだ。ところが、予想外の開催案内。しかも真冬の士別テストコース(ミシュラン冬タイヤの開発拠点)! ということは、冬性能も自信あり? いよいよ疑問が高まる中、試乗会に参加した。
真冬の北海道のテストコースで試乗
試乗コースはワインディング(カントリー)路、圧雪の定常旋回路、走行コースでのスラロームというメニュー。
ワインディング路は、CCM3とスタッドレスタイヤ『Xアイス・スノー』の比較。試乗車はトヨタRAV4で、タイヤサイズは225/65R17となる。

トレッドブロックを細身にし、ブロック数を増加。同時にV字の角度を開いている。 日本ミシュランタイヤ
まず驚いたのが、そのトラクション性能の良さ。
大雑把にいうと『雪の性能はトレッドデザイン』と言われており、オールシーズンタイヤはこれを生かすためにV字パターンが主流だ。CCM3も例外ではないが、明確なセンターグルーブを設けたことで中立感が明瞭になっており、直進安定感がある。
トレッドブロックを細身にし、ブロック数を増やすことでエッジ成分を増やしているのが特徴で、これが路面を噛み、蹴るトラクション感となっている。同時にV字の角度を開き、よりトラクション方向に効くデザインになっているのだ。
一方、さすがスタッドレスタイヤのXアイスは、コンパウンド自体が圧雪路面を捉え、仕事をしている感触が強くある。これが坂道では発進を容易にし、きつめの下り坂でのブレーキの効きも良好だ。安心感があるが、CCM3でもラフな操作をしなければ不安を感じない程度の加速、減速ができることが確認できた。
ノーズの乱気が変わっていく感じ
圧雪定常旋回路は、CCM3スポーツ、CCM2、Xアイス・スノーを履くアウディA3クワトロに225/40R18の組み合わせで試乗した。
もっとも差を感じたのはコースイン時で、Xアイスがもっともグリップ感が強く、CCM2とCCM3スポーツは感覚的にほぼ同じ。コンパウンドグリップはわずかにCCM2が上な気がしたが、トラクションとクルマの向きの変わりやすさがいいのはCCM3スポーツ。トータルとしてCCM3スポーツのコントローラブルさを強く印象付けられた。

圧雪定常旋回路では、アウディA3クワトロに試乗。 日本ミシュランタイヤ
総合テストコースでは、氷盤ブレーキから傾斜路の登り下りのスラローム。試乗車は、CCM3の206/55R16を履いたトヨタ・カローラスポーツ(FWD)。CCM3スポーツとCCM2の比較試乗が225/40R18を履いたフォルクスワーゲン・ゴルフ(FWD)という組み合わせだ。
いずれも軽快にスラロームを走ることができた。横方向のグリップとトラクションを強く感じたのはCCM3。コンパウンドの横グリップと、トレッドデザインが作りだすトラクションがいずれも強く、大げさに言うとノーズの乱気が変わっていく感じだ。
元々グリップの限界域で自転したがる動きを見せるカローラスポーツだが、リアタイヤのグリップがクルマの安定性を作っており、不安定な動きを上手に消していた。
タイヤにとってバランスが大切だと実感
CCM3スポーツとCCM2の比較では、グリップレベルはほぼ同じくらいの印象。だが、CCM3スポーツのほうが、ステアリングを切り込んでからリアが応答するまでが速く、これが軽快な曲がりやすさを作り出していると思われる。
自分の疑問に対し結論めいたことを書くと、CCM3、CCM3スポーツは、ケース剛性やスチールベルトアングル、トレッドデザイン、ブロック剛性など、応答や手応えに影響する部分をチューニンングすることで、トラクション、インフォメーション性、応答性を良くして、コンパウンドグリップだけに頼らない、操縦性、安定性を作り出しているということなのだろう。

クロスクライメイト3は、ケースとトレッドコンパウンドが高いレベルでバランスされている。 日本ミシュランタイヤ
つまり、CCM3、CCM3スポーツはケースとトレッドコンパウンドをとても高いレベルでバランスさせることで、冬性能まで作り込んだオールシーズンタイヤということだ。
改めて、タイヤにとってバランスが大切なのだというのを実感した試乗となった。
