トミー・バストウは『ばけばけ』後の飛躍も確実? 『マッサン』“シャロちゃん”と比較
ヘブン(トミー・バストウ)がだんだん松江の生活に慣れてきたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』。カタコトの日本語ともちょっと違う“ヘブン語”の語彙も増えてきて、「ダキタクナイ!」というストレートすぎる言葉にハラハラしたり、トキ(髙石あかり)のことを「シジミサン」と呼ぶことを可愛らしく思えたりと魅了されっぱなしだ。
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第38話では、ヘブンが松江での生活の様子を手紙に認める場面も。その手紙の宛先はヘブンのアメリカの勤め先だった新聞社の同僚であるイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)。ヘブンに日本行きを勧めた恩人で、ヘブンの書斎には彼女の写真が置かれている。ヘブンが彼女に対して同僚以上の気持ちを抱いているのかは定かではないが、大切な人であることは間違いない。
そのイライザを演じている女性こそ『マッサン』(2014年度後期)で外国人初の朝ドラヒロインとなったシャーロット・ケイト・フォックスだ。フォックスが朝ドラに出演するのは『べっぴんさん』(2016年後期)に続いて3作目。もはや“信頼できる出演者”となりつつある。
フォックスが『マッサン』で演じたのは、日本でウイスキーを造るという夢を持った政春(玉山鉄二)の妻となり来日したエリー。ヘブンは第5週から『ばけばけ』に本格登場となった、エリーは第1話から、政春とともに登場し、新婚生活を日本の大阪で送ることとなる。
“望んで日本に来た”という境遇は同じヘブンとエリーだが、日本への馴染み方には性格の違いが滲み出ていた。
ヘブンは周りから“異人さん”と呼ばれ、珍しがられているが、英語の先生という立場もあり人々には“ヘブン先生は敬うべき人”という認識がある。しかしだんだんとヘブン個人のこだわりの強さも見えてきて、最近は言葉があまり通じないことをいいことに“ちょっとめんどうくさい人”として扱われることもある。だからこそ、生活がかかっているとはいえ、ヘブンにしっかりと向き合い、支えようとするトキの存在は大きくなっていると言えるのかもしれない。
エリーも政春の実家の人々や大阪の人たちにとっては突然やってきた“異邦人”。案の定、政春の母は外国人との結婚に猛反対。大阪では教会の牧師をしているイギリス人の妻である“キャサリン”こと種子(濱田マリ)が日本語や風習を教えることでエリーの生活をサポートしてくれたが、エリーは政春に恋をしていた女性から嫌がらせを受けてしまうなど、苦労続き。それでもめげることなく、持ち前の前向きな性格で何事にも真剣に取り組み、次第に周囲に溶け込んでいった。その懸命な姿は視聴者の心をつかみ、フォックスは“シャロちゃん”の愛称で親しまれていく。
その後、フォックスは歌唱の才能も発揮し、『マッサン』の劇中歌「ゴンドラの唄」でCDデビューを果たすと、東京で単独ライブを行い、全国7都市を巡るコンサートツアーも開催。ニューヨークと東京、大阪で上演された舞台『CHICAGO』では、主人公・ロキシー・ハート役に抜擢され、アメリカに凱旋も果たした。さらに、野島伸司脚本によるホームドラマ『OUR HOUSE』(2016年/フジテレビ系)で芦田愛菜とW主演を務め、2019年にはNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演。日本との縁をきっかけに女優としてのキャリアを確実に積み重ねていった。
ヘブンを演じるバストウも、『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)の主要人物であるマルティン・アルヴィト司祭役を務め、続いて本作『ばけばけ』に出演。そして先日、『SHOGUN 2』への続投も決定した。きっとバストウもフォックスと同じく、日本で評価され、さらに世界で活躍する俳優の1人となっていくことだろう。(文=久保田ひかる)
