上司・部下の関係をより良好にするにはどんな工夫が必要なのか。心理カウンセラーの五百田達成さんは「部下からの提案や報告書などに対して、『大満足! よくやってくれた、ありがとう』という気持ちにもかかわらず、『悪くない』『問題ありません』とフィードバックをする上司がいるが、これは上から目線の評価で印象がよくない」という――。

※本稿は、五百田達成『本当に頭がいい人の話し方 会話IQ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/mapo
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【伴走力】

■×「なんで? 」と詰める ○「なんでだろうね? 」と一緒に考える

×「なんでできてないんだよ! 今日中って言ったよね?」(すみません……)
×「どうしてこんな簡単なことができないかなあ?」(わかりません……)
×「いっつもそうだよね? なんで? 理由を教えてよ」(キレちゃってるじゃん……)

ミスをした相手に対して、「なんで?」と理由を問い詰める人がいます。

こういう人は、本当の理由を聞きたいわけではありません。多くの場合、ただ叱りつけたい、追い込みたいだけです。あるいは「ただ怒っている」「単に呆れている」という場合もあるでしょう。それなのに、冷静を装って「どうして?」と論理的に話すフリをする。言葉や態度も自然と強くなります。

相手としては、一方的に責められるので怖くて、言葉に詰まってしまいます。

それでも一生懸命考えて「理由は三つあって、第一に〜」と弁明しようものなら、「言い訳するな」と怒鳴られてしまう。かといって、しおらしく「すみません」と謝っても「謝ってほしいんじゃない、理由を聞いてるんだよ!」と詰められてしまう。出口がありません。

これならいっそのこと、「ちゃんとやれよ!」とまっすぐ叱ってくれたり、「イライラするなあ!」と素直に怒ってくれたりしたほうがマシ、と不満が溜まります。

キャッチボールで言えば、至近距離から速いボールを一方的に投げつけるようなもの。相手としては、怖くてしかたありません。

■パワハラにならない話し方

○「なんでできなかったんだろうね? 一緒に考えようよ」(実は相談があって……)
○「何か手伝えることある?」(ありがとうございます……)
○「前回もこうだったよね。自分ではどう思ってる?」(まずいなと思ってます……)

会話IQが高い人は、詰問しません。

相手のミスにイライラしたとしても、そのままぶつけたり、あるいは、口調だけ冷静なフリをしたりせず、きちんと感情をコントロール。解決策を一緒に考えたり、相手の言葉を引きだしたり、こちらができることを聞いてみたり、と、同じ目線で前向きな話し合いを試みます。そうすれば、相手も落ち着いて答えることができます。

そもそも相手はミスをして、落ち込んでるわけです。そんな相手を追い込むのはかわいそうというもの。遠くからゆっくりと投げてあげる、あるいは、いったんキャッチボールはやめて、一緒に並んで川に石でも投げるべきでしょう。

出口をふさいでネチネチと相手を詰めるのは、パワハラになりかねない行為。会話IQが高い人がやることではありません。

★頭がいい人は、問い詰めない

【称賛力】

■×「問題ない」とほめる ○ 「ぐっとよくなった」とほめる

×「送っていただいた企画書、特に問題ありません」(え、感想は?……)
×「うん、それでだいじょうぶ、かな」(それだけですか……)
×「いつも通り、悪くないよ」(自信あったんだけどな……)

問題ない、ノープロブレム。たしかに一見、承認して、ほめてるように聞こえますが、メッセージとしてはあくまで「そこに問題はない」としか言っていません。まるで「最低限OKですが、それ以上ではありません」と、上から目線で評価・ジャッジしている印象。仮に本人の中では「大満足! よくやってくれた、ありがとう」という気持ちだとしてもまったく伝わりません。

この言い方は、ネガティブフィードバックの一種です。

ネガティブフィードバックとは、提案や成果に対して、「ここが間違ってる」「それはよくない」と、問題点やミスを指摘して改善させること。いわゆる「叱る」行為です。日ごろからこれがクセになっている人は、いざ、前向きにほめようというときも慣れないので、つい「特にミスはなかった」という消極的なほめ方になってしまいます。「だいじょうぶ」「悪くない」といった言葉も同様です。

言われた相手からすると、物足りません。「それでほめてるつもり?」と不満を感じ、「『問題の有無』を尋ねてるわけじゃない」と怒りたくもなります。

キャッチボールで言うなら、「はい受け取りました」と言わんばかりに、黙って淡々とキャッチするようなもの。そんな事務作業のようなキャッチボールは誰もしたくありません。

■ポジティブフィードバックの上手なコツ

○「ありがとうございます、ぐっと見やすくなりました!」(やった!)
○「よし、その方向でいこう! だいぶ仕上がってきたね」(がんばりましょう!)
○「一段と上手くなったね! 何か変えた?」(実はですね〜)

五百田達成『本当に頭がいい人の話し方 会話IQ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン

会話IQが高い人は、ポジティブフィードバックが上手です。いい点を見つけて指摘し、相手のモチベーションを上げる。鷹揚に「うむ、badではない」などとは言わず、「とてもgoodだ!」と手放しでほめます。そのうえで改善点を指摘するので、相手としては受け入れやすい。

このポジティブフィードバックをさらに効果的にするのが、「変化や成長」を指摘すること。「何がいい、どこが優れている」でも十分なのですが、「何がよくなった、どこが成長した」とほめます。そうすると相手としては「いつも関心を持ってくれている」と感じて、さらにモチベーションが上がるのです。

1球捕るごとに「わ、すごいボールだ!」「ずいぶんうまくなったね!」とイチイチほめる。会話IQが高い人はこれをサボりません。

★頭がいい人は、変化を指摘する

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五百田 達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。
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作家・心理カウンセラー 五百田 達成)