王者エプソンを脅かすアンカーのモバイルプロジェクター【道越一郎のカットエッジ】
原動力は、アンカーが1月に発売した主力シリーズの新製品「Nebula Capsule 3」だ。2月以降徐々に売り上げを伸ばし、4、5月と2カ月連続でプロジェクターの販売台数シェアトップの座についた。ユニークな円筒形の筐体が目を引くこのシリーズ。新製品はGoogle TVを新たに搭載し、フルHD投影に対応しながら重さ1kgと可搬性に優れているのが特徴だ。内蔵バッテリでも動作するため、さしずめ手軽に持ち運べる動画表示装置ともいうべき存在。動画を一人で楽しむなら、スマートフォンやタブレットで十分。しかし、2〜3人と複数で楽しむなら、もう少し大きな画面がほしくなる。そんなニーズにはまった。日常使いだけでなく、旅行やキャンプといった場面でも活躍しそうだ。
Nebula Capsule 3の人気はアンカーのメーカーシェアも浮上させている。プロジェクターといえば、エプソンが大きな販売台数シェアを握っているカテゴリ―。おおむね40%台を維持し、他を寄せ付けない存在だった。アンカーはこの市場に風穴をあけようとしている。昨年5月の時点では20%そこそこのシェアで、トップのエプソンに大きく水をあけられていた。しかし、この4、5月と連続して3割を上回るまで拡大。32.2%のシェアを獲得した4月では、王者エプソンに8.3ポイント差にまで迫った。販売台数の前年比ではエプソンを大きく上回り、勢いがある。
小型のプロジェクターは以前から数多く存在していた。しかし、なかなか売り上げが伸びず、ニッチなカテゴリーとして細々と存続していた状態だった。そこにアンカーがNebula Capsuleシリーズで参入し、潮目が変わった。コンセプトや基本性能もさることながら、実はその円筒形のデザインが市場を変えたのではないかとも思う。どれだけ新しい製品だと訴えても、形状が旧来と同じならインパクトは薄い。ユニークなデザインはそれだけで存在感が増す。ジンバルを搭載し従来と全く違う首振りスタイルをひっさげて、ビデオカメラの販売台数シェアトップに登り詰めた、DJIのOsmo Pocket 3にも同様のことがいえる。新しい酒は新しい革袋に入れるべきなのだろう。(BCN・道越一郎)
