30台限定でオーダー受付中 Eレジェンド EL-1へ同乗 スポーツクワトロを電動で復刻
スポーツクワトロを電動パワートレインで復刻
スタートアップ企業には、目立った爪痕を残すことなく、ひっそり消えていく例も少なくない。自動車業界も生存競争は厳しい。
【画像】スポーツクワトロを電動で復刻 Eレジェンド EL-1 ヴィーズマンとエレクトロモッド・モデルも 全152枚
しかし、電動スーパーカーを仕上げつつあるドイツのEレジェンド社は、着実にその歩みを前に進めている。以前にAUTOCARでご紹介した、アウディ・スポーツクワトロから着想を得たという、「EL-1」をご記憶の方もいらっしゃるだろう。

Eレジェンド EL-1 プロトタイプ
このEL-1がお披露目されたのは、2021年のドイツ・ミュンヘン・モーターショーだった。それ以来、作業は水面下で淡々と進められてきた。カーボンファイバー製のボディ構造と、四輪駆動の電動パワートレインは、プロトタイプの段階まで進展している。
ミュンヘン近郊の飛行場で、第三者へ体験させられるレベルまで開発は届いたらしい。筆者に、特別な機会が巡ってきたのだから。
2021年にお伝えできたのは、スポーツクワトロをモダナイズした容姿のコンセプトカーだった。だが今回のプロトタイプは、その内側を構成する部分。ボディはまとっていないが、シルエットはご想像できると思う。
カーボンファイバー製のボディシェルは、かなりの高水準で仕上げられている。ダブルウイッシュボーン式のサスペンションと、駆動用モーターが搭載されたサブフレームが、中央の主要構造タブシャシーへ取り付けられている。
ツインモーターで815ps 0-100km/h加速2.9秒
Eレジェンド社は、この電動プラットフォームを利用し、グループB時代のラリーマシン・レプリカを数車種計画している。基本的な構造を活かしつつ、ルーフ周りの形状などを改め、ボディを載せ替えることで対応できるらしい。
ホイールベースは、リア・サブフレームの取り付け位置で調整可能。EL-1の2445mmが、最も短い設定になる。ちなみにこれは、オリジナルのスポーツクワトロより241mm長い。

Eレジェンド EL-1 プロトタイプ
駆動用モーターは前後に1基づつ搭載され、フロント側は272ps、リア側は543psを発揮し、システム総合での最高出力は815psもある。最大トルクは106.8kg-mと、有り余るほど。2年前の計画段階では、1+2の3基構成になると公表されていた。
駆動用バッテリーは80kWhで、フロントシートの間へ「T」型に搭載される。0-100km/h加速は2.9秒という俊足。0-200km/h加速も、7.5秒でこなすとか。
電動パワートレインの開発を主導するのは、ローディング社。その技術者、ギュンター・リードル氏によると、現在は611psへ最高出力が制限されているらしい。ちなみに彼は、ヴィーズマン・プロジェクト・サンダーボールのシステムにも関わっている。
プロトタイプでは、前後のトルク割合は35:65に固定されている。トラクション・コントロールは、開発段階で非実装。ディファレンシャル・ギアも、オープンだという。
グループBマシンへ迫るパフォーマンス
量産仕様では、スタビリティ・コントロールが備わり、前後アクスル間での自在なトルク分配へ対応し、リミテッドスリップ・デフもリア側へ装備される予定。リードルは、フロント側にも組むことを検討しているそうだ。
今回の同乗は、強固なコンクリートが敷かれた飛行場の一角。最高出力が数割抑えられていたとしても、EL-1が極めてパワフルなことは体験できた。

Eレジェンド EL-1 プロトタイプ
加速力は凄まじく、相当に積極的に扱っても、パワートレインがセーブモードへ入る様子はまったくない。旋回Gも驚くほどだが、その鋭さでパワーは余りがちになる。
ボディパネルが被さっていないため、車重は想定の1790kgよりかなり軽い。フロントタイヤが向きを変えるたび、跳ね上げた小石が車内へ飛んでくる。
ドライバーを務めたのは、Eレジェンド社のマルク・シェフバウアー氏。砂埃が浮いた路面はトリッキーで、アンダーステアとオーバーステアが交錯する。随時変化する挙動へ、彼は懸命に対処し続ける。
リミテッドスリップ・デフは必須アイテムのようだ。コーナリング時は内側のタイヤの負荷が減り、激しくスモークが立ち上がる場面も。
EL-1が完成するまでには、まだ時間を要するだろう。しかし彼らの電動パワートレインが、グループB時代のラリーマシンへ迫るパフォーマンスを披露できることは、間違いなさそうだ。痛快なサウンドは、伴わないけれど。
価格は1億2905万円で30台限定 EL-2も計画中
Eレジェンド社によれば、EL-1の量産仕様は2024年に公開される予定だという。その後、最初の顧客へ納入が始まる。
生産数は30台が計画されている。既に何台かは契約へ至っているが、今ならまだ貴重な1台をガレージに迎え入れることは可能らしい。ドイツ価格で、89万ユーロ(1億2905万円)もするのだが。

Eレジェンド EL-1 プロトタイプ
ちなみに、既にEL-2の計画もスタートしている。どのグループBマシンのボディをまとうのか、興味津々だ。
