人気の韓国インスタントラーメン

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 韓国の国民食といえばキムチ……ではなくインスタントラーメン!なんと、1人当たりの年間消費量は世界1位。BTSのメンバーがどハマりしている汁なし麺や映画『パラサイト』で 話題になったミックス麺など日本でも買えるインスタント麺を実食評価!

【写真】日本で大人気! おすすめ韓国ラーメンをご紹介!

韓国ラーメンが日本で大人気

 手軽でおいしいインスタントラーメン。世界初のインスタントラーメンは日本のチキンラーメンだが、1人当たりの年間消費量はというと世界ランキング7位。

「実は世界でいちばんインスタントラーメンを食べているのは韓国人なんです」

 そう教えてくれたのは韓国料理に詳しい野原由美さん。なんと、1人当たり年間81食も食べている韓国では(日本は年間47食)、インスタントラーメンはもはや国民食といえるほどの存在だとか。

「韓国でラーメンといえばインスタントラーメンのこと。いちばん人気は牛だしのピリ辛風味です。麺はジャガイモのでん粉が配合された独特のモチモチ食感で食べ応えがあり、それが日本人にも好評です」(野原さん、以下同)

 また、韓国インスタントラーメンの需要増加には、コロナの自粛期間中に韓国ドラマやBTSにハマる人が続出したことも関係している。

「推しのスターがSNSやドラマでおいしそうに食べているのを見て、これまで韓国ラーメンに縁がなかった人たちにも普及。食べてやみつきになるケースが多いんです。エンタメとともに韓国ラーメンの人気も急上昇中です」

ドラマや映画で描かれるインスタントラーメン

 記憶に新しいのはネットフリックスの『イカゲーム』に登場した三養ラーメンと、アカデミー賞を総なめにした映画『パラサイト 半地下の家族』に登場したチャパグリだ。

「チャパグリはノグリラーメンとチャパゲティという2つのラーメンを混ぜ合わせたもので、映画を見た観客からの反響が大きく、SNSで拡散されました。また、BTSメンバーがユーチューブで好きと発言したインスタント麺もすぐに話題になりました」

 最近ではノンフライ麺など、カロリーや栄養面に配慮された商品も続々開発されている。こうした新商品も含めて、韓国インスタントラーメンを買いたいときはどこに行けばいいのだろう。

「いまは多くの商品が韓国食材の専門店やドン・キホーテやイオンなどの大型小売店で取り扱われています。近くにない場合は、楽天市場などのネットショップでも購入できますので、ぜひ試してみてください」

韓国即席麺の「四天王」はコレ!韓流スターやアイドルが夢中の即席麺

特製コチュジャンだれがやみつきBTSも大好きな甘酸っぱ混ぜ麺
[ビビン麺]

→︎パルド:198円
→︎辛さ:1.5/3.0

「日本の冷やし中華的存在の冷たい汁なし麺。酢っぱいコチュジャン風味のタレが絶妙で、食欲のない日でも思わず箸が進みます。ゆでた麺を水洗いしてさっとたれを混ぜるだけのお手軽さも手伝って、発売から40年近く業界トップを独走中。いまはカップ麺タイプもあり。『ビビン』は混ぜるという意味で、キムチや残り野菜をのせてビビンすれば栄養バランスも◎」(野原さん、以下同)

BTSジョングクの大好物!

 BTSのRMとジョングクがSNS生配信中に好きだと明かして知名度が世界的にアップ。「1個じゃ足りないし2個だと多いから1.5倍のサイズを出して」とメーカーにリクエストしたら本当に商品化されたことでも話題に

まろやかなしょうゆベースで日本人にもどこか懐かしい
[三養ラーメン]

→︎三養ジャパン:140円
→︎辛さ:1.0/3.0

「1963年に発売された韓国初の即席麺。しょうゆベースのピリ辛スープに、ほんのりにんにく風味のソフトなちぢれ麺がマッチするさっぱりした味わい。辛さ控えめで子どもでも楽しめ、韓国ではこれを定番即席麺にしている家庭も多いほど。初めて韓国ラーメンを買う人におすすめ」

大人気ドラマ『イカゲーム』に登場!

 主人公が屋外で焼酎を飲むシーンでおつまみに登場。ラーメンを調理せずにスナック菓子感覚で食べるのは韓国ではおなじみの食べ方

唐辛子とにんにくがきいた日本で知名度No.1の韓国ラーメン
[辛ラーメン]

→︎農心ジャパン:150円
→︎辛さ:2.5/3.0

「唐辛子のガツンとした辛さがきいたスープは現地でも辛いほう。韓国では軍隊風に麺を適度に割ってかやくとスープを入れ、直接お湯を注いで食べるのが通。おすすめのアレンジレシピはチャーハン。卵、ごはんを炒めてからスープの粉で味つけした麺を入れて炒めればジャンク味がやみつきに。容器に入れて形を整えて盛りつければ子どもも大喜び!」

あのヨン様も辛ラーメン!

『冬のソナタ』で一世を風靡したペ・ヨンジュンが『愛の不時着』のソン・イェジンと禁断の恋に落ちる映画『四月の雪』。その中でヨン様が幸せそうに食べていたのがカップタイプの辛ラーメン

なるとや卵のかやくがカラフル牛肉ベースのうま辛スープがグッド
[ユッケジャンラーメン]

→︎農心ジャパン:150円
→︎辛さ:1.0/3.0

「辛ラーメンのメーカーである農心がそれより先に開発したザ・定番ラーメン。スープは刺激控えめで牛肉ベースのコクがしっかりしたうま辛の味わい。なるとやねぎ、卵などのかやくが麺の下に仕込まれていて、ちょっとしたサプライズ感あり(笑)」

人気ドラマで話題に!

『キム秘書はいったい、なぜ?』で主人公がラーメンのフタを折って作った受け皿で冷ましながら食べる方法を紹介。フタを皿代わりにするのが韓国流

ロングセラーにはワケがある!安定のウマさ定番袋麺

ちゅるちゅるのもっちり極太麺がハマる!
[ノグリラーメン]

→︎農心ジャパン:135円
→︎辛さ:1.5/3.0

「うどんのようなもっちりした極太麺は食べ応え十分。かやくのわかめと昆布、いかフレーク、ピリ辛スープを専用鍋で煮込めば海鮮感たっぷりの韓国日常食。シリーズ新商品のカレー味は、太麺&カレーの相性抜群。見つけたらマストバイ!」

甘辛ソースが決め手の混ぜ麺
[チャパゲティ]

→︎農心ジャパン:145円
→︎辛さ:0/3.0

「甘い黒味噌で炒めた餡をかけて食す韓国風中華のチャジャン麺をイメージした汁なし麺。香ばしく甘じょっぱい濃厚ソースが絶妙で日本にはない味わいです。映画『パラサイト』みたいに前出のノグリラーメンとかけ合わせると、この甘さがいい仕事をするんです!」

ちょい辛濃厚スープが子どもから大人まで大人気!
[安城湯麵]

→︎農心ジャパン:135円
→︎辛さ:1.0/3.0

「辛味もにんにくのにおいも控えめながら牛骨のうまみが凝縮された深いスープは見事。スープ開発にこだわり抜いた農心を業界首位に押し上げただけあります。ほんのり味つきの細麺は『イカゲーム』風に食べるのにもピッタリ。砕いた麺にスープの粉を振りかけてそのままポリポリ。ハマりますよ」

ゴマ尽くしにリピーター続出
[チャムケラーメン]

→︎オットギ:156円
→︎辛さ:2.5/3.0

「ゴマを練り込んだ細麺と、ゴマが香る牛だしピリ辛スープの相性抜群。付属のゴマ油で辛さ倍増。日本ではあまり見かけないので見つけたら即買いしてます(笑)」

近年登場した人気商品罪悪感少なめヘルシー袋麺

煮干しの香ばしい香り広がる
[ミョルチカルグクス]

→︎農心ジャパン:150円
→︎辛さ:0.5/3.0

「煮干しの香りがふわっと広がるあっさりスープに思わずホッ。つるんとした平打ち麺はノンフライで1袋340キロカロリーというヘルシーさ。韓国女子はこれに鶏むね肉を入れてタンパク質をプラスすることも」

辛さゼロ、韓国一やさしいラーメン
[コムタンラーメン]

→︎農心ジャパン:145円
→︎辛さ:0/3.0

「辛くなくまろやかなラーメンです。牛骨と牛肉を長時間煮た白い濃厚スープとやわらか細麺は、飲みすぎた翌朝にも最適」

野菜だけとは思えないうまみ
[自然はおいしい正麺]

→︎プルムウォン:200円
→︎辛さ:1.0/3.0

「4か月で200万食売れた大ヒット商品。12種類の野菜を煮出したスープは丸みがあり、肉なしとは思えないうまさ。辛みもしっかりあります。油分をカットしたという麺はつるつるしこしこの食感で満足感大」

カニの香りが鼻腔をくすぐる
[コッケタンミョン]

→︎プルムウォン:210円
→︎辛さ:1.0/3.0

「ワタリガニ、あさり、エビなどの魚介からとったうまみたっぷりのやや辛濃厚スープ。ノンフライ麺使用で低カロリー」

現地発!おいしい韓国袋麺の作りかた

 ゆでているときに、麺をはしで上げるのがポイント!

【1】お湯が沸騰する前にスープとかやくを入れてスープを作る。卵などの具を追加するならこの段階でイン。

【2】沸騰しているスープに麺を投入し、ゆでている間は時々はしで麺をスープからすくい上げて空気にふれさせる。このひと手間で麺のコシがアップ。

【3】袋に記載されているゆで時間より1分減でしこしこ、1分増でなめらかに。お好みで。

韓国といえば!キムチ感がハンパない即席麺

 韓国料理といえばキムチ。ここ数年、リアルなキムチをつけたラーメンも人気です。2015年に出たグルメ漫画とのコラボ商品が火付け役となり、以降、各社から発売されるように。

 一番人気は辛ラーメンBLACK。かやくの豆腐やキムチの本物志向の食感は感動的。また、キムチの韓国トップブランドの「宗家」が威信をかけて発売したキムチラーメンは、パウチされた伝統製法キムチがついた本格派!

韓国の即席ラーメン誕生の裏に、日韓の海を越えた友情が

 韓国初の即席ラーメンは今回紹介した中にもあった三養ラーメン。1963年当時のパッケージには「明星食品と技術提携」と書かれている。朝鮮戦争が休戦し、韓国が食糧難にあえいでいた時代。

日本で即席麺を食べたことのあった三養食品創業者の故チョン・ジュンユン氏は、これぞ人々を救う食品と確信し、韓国国内でも生産すべく政府から多額の借金をして来日した。紆余曲折の末、当時最新鋭のラーメン製造機を明星食品から格安で購入でき、しかも超企業秘密である即席麺の製造技術やスープなどのレシピにいたっては、なんと無償で提供されたという。

 実はこれには当時の明星食品の奥井清澄社長の英断があった。奥井氏はチョン氏の心意気に賛同し、商売を度外視した支援をしたのだ。こうして日韓の企業人の絆の末に発売された三養ラーメンは、またたく間に韓国人の食生活の一部となったのである。

〈参考文献『インスタントラーメンが海を渡った日』(村山俊夫著、河出書房新社)〉

 教えてくれた人…野原由美さん ●韓国餅研究家・バリスタ。趙善玉料理研究院で韓国料理技術を学ぶ。日韓農水産食文化協会主催の韓国餅部門など受賞。

〈取材・文/アナムドンちぢみ 商品撮影/山田智絵〉※各商品の金額(税込み)は編集部調べです。