パンマニアが案内。横浜・元町エリアの新旧パン屋&名所を巡る旅

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10,000個以上のパンを食べ歩いてきた、旅するパンマニア片山智香子です。美味しいパンがあると聞けば、多少遠くても行かずにはいられない性格。今回は、東京からも近い、新旧スポットが混在する街・横浜へ、美味しいパンを求めて行ってきました。

東京駅

新旧が混在する街・横浜

JR東京駅から京浜東北線の快速で約45分、JR桜木町駅へ向かう。改札を通り、南口を出ると昭和の風情が残る飲食店が立ち並ぶ野毛があるが、北口は、いまも開発が進む、みなとみらいエリアとつながっている。

まずは、駅前から赤レンガ倉庫エリアまで続く、「汽車道」をのんびり歩いてみることにした。

汽車道は、1911年(明治44年)に貨物輸送目的で開通し、1986年(昭和61年)に廃線となった臨港鉄道の一部、約500mを利用した海を渡る遊歩道。

穏やかな運河沿いの道、左にみなとみらいのビル群や、ヨットの白い帆をイメージしたインターコンチネンタルホテル、よこはまコスモワールドの観覧車が見える一方、右手遠方には税関らしき昔懐かしい建物なども見えたりして、過去と未来が混在し、不思議な気持ちになる。

赤レンガ倉庫

旧横浜港駅のプラットホームを発見

桜木町駅から徒歩で約20分、風景を楽しみながら歩いて行くと「赤レンガ倉庫」に到着だ。明治末期から大正初期に国の模範倉庫として建設された赤レンガ倉庫だが、2002年に当時の面影を残したまま、文化・商業施設として生まれかわり、週末になると多くの人でにぎわっている。

実はこちらの施設、パンにも少しばかり関わりがある。2016年から「パンのフェス」なるイベントが開催されているのだが、その会場が赤レンガ倉庫なのだ。

この日は、そこまで混みあっていなかったので、ぐるり建物のまわりを歩いていると、裏手に「旧横浜港駅プラットホーム」を発見した。横浜港駅は、横浜税関構内の荷扱所としてつくられ、1920年(大正9年)に横浜港駅となり、東京駅から初の汽船連絡列車が乗り入れ、その後、岸壁列車などと呼ばれて親しまれていたそう。赤レンガ倉庫エリアの休憩所として保存・再利用にあたり、傷んでいた上屋は新材料を使って復元している。

ZEBRA Coffee & Croissant 横浜店

海を見ながら絶品クロワッサンを食す

クロワッサンが美味しい「ZEBRA Coffee & Croissant(ゼブラコーヒー アンド クロワッサン)横浜店」へ向かう。お店があるのは、旧横浜港駅プラットホームから徒歩約2分のところにある「Marine & Walk Yokohama(マリン アンド ウォーク ヨコハマ)」。

ここは、海沿いの倉庫街に街路をつくるという発想から、海と緑をシームレスにつなぐことによって生まれたオープンモールで、どこかアメリカ西海岸を思わせる建物だ。

海側の2階にお店はある

ウッディーな床にガラス張りの窓は、かなり開放的。店名の通り、クロワッサンをベースとしたサンドイッチなどもあるのだが、この日はプレーンとカフェラテをオーダーした。

津久井の本店で焙煎しているというコーヒーはシングルオリジン(ブレンドをしていない)。「GUATEMALA Antigua」「PAPUA NEW GUINEA Bismarck」「BRAZIL Daterra」「COLOMBIA Caicedonia」の4種類があり、その日によって提供されるコーヒーは変わる。

フランスボース産小麦粉100%、無精製のきび砂糖、地中海の塩、北海道産のバターと材料にこだわりぬいたクロワッサンは、かなり大きい。ザクっと、しっかりした食感、中の層はふんわりしていながらしっとりしていて、ラテとの相性が抜群に良いのだ。

YOKOHAMA AIR CABIN

5分間の空中散歩

桜木町駅までは、ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマエアキャビン)」に乗って戻った。

運河側は横浜ワールドポーターズの隣にロープウェイの駅舎があり、片道券は大人(中学生以上)1,000円。片道約5分の空中散歩は、汽車道とはまた違った角度からみなとみらいエリアを見ることができて楽しい。

この日は桜木町駅近くのホテルに宿泊して、横浜の夜景も堪能。

ヨコハマベーカリー

食パン発祥の店でイングランドを買う

横浜の美味しいパン屋を巡るなら、絶対にはずせないのが元町。桜木町駅から京浜東北線に乗り、2駅目のJR石川町駅に移動するのが一番早い。

ただ、歴史的建造物の多いこのエリア。時間に余裕があるなら、ぶらり歩いて向かうことをオススメしたい。

最初に向かったのは「ウチキパン」。こちらは横浜の、いや日本のパン屋さんの歴史を語る上で重要なお店。

1862年に、イギリス人のパン職人ロバート・クラークが創業した「ヨコハマベーカリー」で、横浜に居留する外国人向けに焼きはじめた山型食パン。この食パンが、日本の食パン文化の発祥といわれている。そして、そこで見習いとして働いていた打木彦太郎がのれん分けを許されオープンしたのがウチキパンなのだ。

イングランド。別日に撮影

お店の1番人気は、創業当初から製法を変えずにつくり続けている山型食パンの「イングランド」。

最大の特徴は、イーストではなくホップ種を使っていること(現在、ホップ種を使っているのはイングランドだけ)。クラスト(ミミ)はさっくり、クラム(中の白い部分)は気持ちしっとりしている。シンプルな味わいだからこそ飽きがこない、毎日いただきたいパン。

カレードーナツ。別日に撮影

もう一つは、カレードーナツ。辛いというよりは、甘みも感じるカレーが使われており、生地はもっちり弾力がある。どこか懐かしさも感じる、子どもから大人までが好きな味わいだ。

O to U

パンマニアの好きが詰まっている世界観

ウチキパンから元町公園方面に向かう道すがらに「O to U(オートウー)」はある。「表と裏」をコンセプトに、さまざまな素材のパンをつくっていることから、このような店名をつけたとのこと。

小ぶりで可愛らしいパンが、独特の世界観で陳列されている様は芸術的でさえある。それらをのせるトレーも食パンの形をしていて、パン好きにはたまならい。どれもこれも美味しそうなので、迷いに迷ったが甘いもの系と食事系を1つずつ選んだ。

ひらがなで「あんぱん」と書かれた帯が可愛らしい、あんぱんは、バターと卵をたっぷりと配合したブリオッシュ生地に自家製の粒あんがサンドされている。こちらの粒あん、甘さよりも小豆の素材そのものの味を生かしている印象で、コクのあるブリオッシュ生地と一緒に食べると、そのクチドケの良さに驚く。

肉を挽くところから腸詰まで自家製という「ソーセージパン」は、ほんのり甘みさえ感じるバゲット生地のパンにジューシーなソーセージが挟まれている。パンは、硬いというよりは弾力ある食感。むぎゅりと噛みきりながらいただくので、食らいつく感じが心地よい。

横浜元町ショッピングストリート

流行の発信地でもあった元町の商店街

元町のメインストリートである「横浜元町ショッピングストリート」は、横浜開港当時、外国人御用達のお店が集まって誕生した商店街。

特に購入する予定のものがなくても、ウィンドウショッピングをしながら歩くだけで楽しい。靴の「ミハマ」の前を歩きながら、そういえば、20代のころ、秋と冬に開催されるチャーミングセールに来て、ローヒールの靴をよく買っていたなと懐かしい気持ちになった。

ブラフベーカリー 本店

ニューヨークスタイルのパンに舌鼓を打つ

今回の旅、最後に向かうのは「ブラフベーカリー 本店」。横浜元町ショッピングストリートから山手に向かう坂道、代官坂の途中にある。近くまでくると漂う香ばしいパンの匂いにつられ、坂だということも忘れて急ぎ足になってしまう。

店内には、ベーグルやシナモンロール、キャロットケーキなど、どちらかというとアメリカンなパンが多く並ぶ。それもそのはず、店のコンセプトは「ニューヨークの高級食料品店のようなセレクトショップ」とのこと。枠にとらわれない数多くのパンが並んでいるのだ。

今回は、ブラフベーカリー・栄徳シェフおすすめの「カシス&ブルーベリーベーグル」を購入した。キメが詰まり弾力あるニューヨークスタイルのベーグルにブルーベリーとカシスが練りこまれていて、口内に広がる酸味がたまらなく美味しい。爽快感あるベーグルだ。

もう1つは、ブラフベーカリーで一番好きな「ミルクスティック」。さっくりしていながらも、しっかりした食感、小麦の旨みを感じるフランスパンに、発酵バターでつくった特製ミルククリーム。出来たてをすぐに食べても良いのだが、少し時間をおいて食べると、程よくミルククリームが柔らかくなり、さらに美味しい。

新旧が混在する街・横浜。港町ということもあり、異文化を積極的に取り入れてきた名残は、建物だけでなくパンからも感じとることができる。今回は、みなとみらいエリア、元町エリアのパン屋巡りをしてきたが、独特の発展をとげてきた横浜には、きっと、まだまだ素敵なパン屋さんがあるはず。次回は、まだ見ぬ美味しいパンに出合う旅にしたい。

東京駅

掲載情報は2022年5月10日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。