マジョルカMF久保建英【写真:Getty Images】

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【スペイン発コラム】マジョルカ監督が久保の活躍に期待もレアル戦で0-3と完敗

 スペイン1部マジョルカの日本代表MF久保建英は、現地時間3月14日に行われたリーガ・エスパニョーラ第28節で6度目となるレンタル元のレアル・マドリード戦に臨むも、0-3で敗れて望むような結果は得られなかった。

 3節前のバレンシア戦(0-1)では相手からファールを引き出す好パフォーマンスを見せた久保だったが、その後のレアル・ソシエダ戦(0-2)や今季初めてFW起用されたセルタ戦(3-4)では本来の実力を発揮できずチームも4連敗。このように厳しい状況下で迎えた新たなレアル・マドリード戦でリーガ9試合連続のスタメン入りを果たした。

 久保にとってレアル戦は、昨年9月にサンティアゴ・ベルナベウで行われた対戦の前半途中に全治2か月の重傷を右膝に負い、ハーフタイムでの交代を余儀なくされてしまった苦い経験がある。

 今季終了が近づくにつれ、スペイン国内でも来季のレアル復帰の可能性が報じられるなど、久保の去就が徐々に注目され始め、スペイン紙「AS」は試合当日の一面にレアルFWヴィニシウス・ジュニオールと久保の写真を大きく掲載し、「現在と未来」という見出しを付けてレアルの将来を担う可能性のある若手選手として、この一戦を煽っていた。

 前日会見でルイス・ガルシア監督は、「タケがマドリー戦で素晴らしいプレーをしたいと思うのは当然のこと。いいゲームをして決定的な役割を演じてくれることを願っているし、彼からはいつもどおりのモチベーションの高さを感じている。明日は素晴らしいゲームをして、来季、マドリーで居場所を得るのに役立てほしい」と活躍を期待するコメントをした。

レアル戦の久保に対して低評価 「マドリーを満足させたいという気持ちで一杯に」

 負ければリーガ5連敗という厳しい状況のなか、指揮官はシステムを前節セルタ戦の5-3-2から4-4-2に変更し、久保を予想外の左サイドハーフで起用した。これは本来の右サイドハーフに配置した場合、リーガ最高峰のウインガー、ヴィニシウスと対峙するため、本来の持ち味を発揮できず守備に追われる時間が長くなるのを避ける狙いがあったと思われる。

 ビジャレアル時代、ウナイ・エメリ監督に何度か左サイドで起用されたものの、ガルシア監督指揮下、同ポジションで試合をスタートするのは初となる。リーガ首位チーム相手に不慣れな状況下で久保は守備に奔走しながらもカウンターのチャンスを伺い、果敢にドリブルを仕掛け、同18分にはペナルティーエリア外から左足でグラウンダーのシュートを放っていく。

 しかし後半に入るとレアルにゲームを完全に支配されてしまう。久保は数少ないチャンスの中からゴール前で待つFWベダト・ムルキにクロスボールを送ろうとするが厳しいマークに遭って精度を欠き、守備に追われたまま、同33分に韓国代表MFイ・ガンインとの交代でピッチを去り、チームも0-3で敗れた。久保の今季のリーガ成績は19試合(先発15試合)、1250分出場、1得点0アシストとなっている。

 あまり見せ場を作れなかった久保に対し、特にマジョルカの現地メディアの評価は軒並み低いものとなった。「ウルティマ・オラ」紙は「何度もトライするも、ほぼ何もできずにプレーが終わった。ここまでのところ決定的な存在にもなれておらず、チームにほとんど何ももたらせていない」と酷評し、最低の0点(最高3点)を付けた。

 同様に「ディアリオ・デ・マジョルカ」紙も「久保はナーバスになり、マドリーを満足させたいという気持ちで一杯になっているように見え、すべての判断が非常に不安定だった」と記し、同じく最低の0点(最高3点)。一方、全国紙の「マルカ」「AS」はともに1点(最高3点)と評価した。

マジョルカ地元紙の記者、久保のレアル復帰について言及

 マジョルカの地元紙「ディアリオ・デ・マジョルカ」で久保に0点を付けた記者とは別の番記者、エレナ・ガルシア・ゴメス氏は、この日の久保のパフォーマンスを次のように評した。

「今日の一戦が彼にとって非常に重要なものだったのは分かりますが、少し焦りがあったように見えました。ほぼすべての局面で止められていましたし、彼にとって本当に厳しい試合となりました」と率直に感想を述べた。

 またガルシア監督がポジションを変えたことについて、ゴメス氏は「プレーし慣れない左サイドに居心地の悪さを感じているようでした。久保は外から中に入っていける右サイドの方が得意な選手なので、後半はダニ・ロドリゲスとの位置を変え、彼が快適にプレーできるか試すべきでした。レンタル元との重要な試合でしたが、今日は落第点だったと思います」と不慣れなサイドでプレーしたことがパフォーマンスに大きく影響したことを指摘した。

 EU圏外枠の件は別にして、久保が来季、レアルに戻れるかについて「それに値する十分なものをまだ示していないと思うので非常に難しいでしょうね。彼は20歳と若いのは確かですが、私たちはレアルの要求が本当に厳しいことを理解しています。プレシーズンでテストする可能性はあるかもしれませんが、チーム内の競争は本当に激しいですし、おそらく年齢によるものですが、久保のプレーはまだ非常に不安定な状態です。年齢を重ねていけばより安定するかもしれないですが、今はまだレアルに彼の居場所はないと思います」(ゴメス氏)と、パフォーマンスに物足りなさがあることを訴えた。

 久保のスペイン3季目もあと10試合で終了するが、2季前同様に残留およびレアル復帰を目指し、今後も厳しい戦いが続くことになるだろう。リーガ5連敗中のマジョルカはこの後、今季一緒に1部復帰を果たしたエスパニョールと20日にアウェーで対戦する。(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)