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ウクライナ危機に自動車業界はどう対応するか

ロシアのウクライナ侵攻を受け、自動車業界も対応を始めた。

【画像】東欧の自動車メーカー【スコダ、ダチア、ラーダのモデルを写真で見る】 全115枚

ウクライナのサプライヤーからの部品が不足しているため、一部のメーカーはロシアへの出荷を停止したり、生産を一時停止したりしている。


ウクライナ情勢が逼迫する中、記事執筆時点で判明している自動車メーカーの反応を取り上げる。

これまでに影響を受けたメーカーには、グループ・ルノー、ステランティス、フォルクスワーゲン・グループなどがある。

昨年、ロシアで販売された自動車は166万6780台で、カナダ、フランス、英国を上回った。世界第8位の自動車市場であるにもかかわらず、多くの企業がロシアのパートナー企業との関係を断っている。

今後数週間のうちに、サプライチェーンに支障をきたす問題がさらに発生することが予想される。一方、スコダを含む一部企業は、戦争の影響を受けたウクライナの労働者を支援することを約束している。

以下、紛争勃発が各メーカーに与えている影響について、記事執筆時点までに判明していることを列挙する。

ゼネラルモーターズ

ロイター通信は、ゼネラルモーターズ(GM)はロシアでの事業を一部停止したと報じている。ロシアへの輸出をすべて停止するとし、「我々の思いは、ウクライナの人々とともにある。人命の損失は悲劇であり、我々の最大の関心事はこの地域の人々の安全である」と述べた。同社はロシアで年間約3000台の車両を販売している。


GM傘下のシボレー・カマロ

ヒョンデ(ヒュンダイ)

ヒョンデは、半導体不足を理由にロシアのサンクトペテルブルク工場での生産を5日間停止した。

「半導体の供給不足のため、工場は一時的に閉鎖される」と関係者は述べている。


ヒョンデ・アイオニック5

同社はさらに、この決定は「ロシアやウクライナとは何の関係もない」と明言。

英字日刊紙コリア・ヘラルドによると、ヒョンデがロシア国内販売店への納車を停止したとされている。

ジャガーランドローバー

ジャガーランドローバー(JLR)は、ロシア向け車両の出荷を停止した。

同社は声明で、「全従業員とその家族、そして我々のネットワーク内の人々の福利厚生」を優先するとし、「現在の世界情勢は取引上の課題も抱えているため、ロシア市場への納車を一時停止し、状況を継続的に注視している」と述べている。


ジャガーランドローバー

BBCは、英国、EU、米国による制裁措置により、ロシアでの自動車販売がより困難になっていると報じている。

メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツは、ウクライナ危機の影響を受けた人々を支援するため、100万ユーロ(約1億2800万円)を寄付すると発表した。

オラ・ケレニウスCEOは、「緊急措置として、ウクライナへの支援としてDeutsches Rotes Kreuz eV(赤十字)に100万ユーロを寄付する」とコメントしている。


メルセデス・ベンツEクラス

三菱

ロイター通信によると、三菱は部品供給が途絶える可能性があるため、ロシア向け車両の生産と販売を停止する可能性があるという。三菱はロシア国内に141のディーラーを有している。


三菱アウトランダーPHEV

ルノー

ルノーの株価は、欧米の対ロシア制裁の影響で月曜日に6.4%下落した。同社はロシアの自動車メーカー、アフトワズを所有しており、部品不足のため、ロシアの生産施設での組み立てラインを1日停止した。

ルノーは以前にも供給問題を理由にモスクワの工場を閉鎖したことがある。同工場では、クロスオーバー車のアルカナやキャプチャーなどのモデルを生産している。


ルノー・キャプチャー

トルサス

派手なオフローダーを作ることで知られているトルサスは、工場や事務所を構えるウクライナへの侵攻に反対を表明した。

「トルサス・キエフのチームはこの恐ろしい日々をどうしているのか、何かサポートは必要なのか、世界中から複数の電話やメッセージを受け取っている」とソーシャルメディアに投稿している。


トルサス・プレトリアン

「当社はキエフのチームと常に連絡を取り合っている。当社の従業員とその家族は無事だ。ウクライナ政府が推奨するあらゆる注意を払うよう、強く推奨する。安全が確認されるまで防空壕から出ないようにしてほしい」

トルサスの企業戦略担当ディレクターであるユリヤ・ホミーチ氏は、事業本拠地であるプラハに向けて国を離れた。同氏は次のように述べている。

「トルサスは、自国のため、そして欧州全体の平和のために戦うウクライナとウクライナ人の側に立っている」

「我々は、各国政府にSwift(銀行間の送金を容易にするシステム)を完全停止し、ロシア経済の金融や技術へのアクセスを遮断するために利用可能なあらゆる手段を講じることで、ウクライナを支援するよう求める」

ステランティス

ステランティスのカルロス・タバレスCEOは、ロシアでの事業の行方について、「政治家が何を決定するかに大きく依存する」と述べている。

「当社はコンプライアンスを守る企業であることを期待されている。平時のルール、法律、規制を遵守し、戦時には制裁を遵守する」


ステランティスのカルロス・タバレスCEO

先週、ステランティスは71人のウクライナ人従業員を注視するタスクフォースを立ち上げた。

欧米がロシアに課している制裁について、タバレスCEOは「今のところ、これらの制裁は非常に的を射ているが、当然、工場が稼働できなくなる時期が来るだろう」と述べた。

「カルーガにある三菱自動車との提携工場は、部品があれば操業できるが、そうでなければ操業できない」

ロシアの工場では、シトロエン、オペル、プジョーの小型商用車を生産しており、これを西欧に輸出する準備を進めていた。

また、タバレスCEOは、「従業員を大切にすることが重要だ。当社には、170もの国籍の人が働いている。世界で最も多様性のある自動車会社だ」とコメントしている。

トヨタ

ロイター通信によると、トヨタは樹脂部品のサプライヤーの1つを標的としたサイバー攻撃により、1万3000台の生産に影響が出たという。

トヨタは攻撃について直接ロシアを非難していないが、このサイバー攻撃は、日本が西側同盟国とともにロシアの銀行がSwiftシステムにアクセスできないようにするなど、侵攻国への制裁を行うと発表した直後に発生した。


トヨタ・ヤリスクロス

岸田文雄首相は「ロシアとの関係等についてもしっかり確認したうえでなければ、答えることは難しい」と述べている。

フォルクスワーゲン・グループ

フォルクスワーゲン・グループは、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、難民支援団体Unofluchtに100万ユーロ(約1億2800万円)を寄付する予定だ。

同社はソーシャルメディアに次のように投稿した。


フォルクスワーゲン・グループ傘下のアウディA4セダン

「フォルクスワーゲン・グループは、ウクライナの現状を非常に憂慮している。グループ経営委員会は、長年のパートナーであるUnofluchtに100万ユーロを寄付することを決定した」

また、「フォルクスワーゲン・グループは、ロシアのウクライナに対する攻撃を大きな懸念と失望をもって受け止めている」とし、戦闘行為の「早期停止」を望んでいると述べた。

「当社は、この紛争の持続可能な解決は、国際法に基づいてのみ行われると確信している。我々の思いは、現地にいるすべての人々とともにある。従業員を含め、すべての人の安全が最優先だ」

スコダ

チェコの自動車メーカーであるスコダは、ロシアのウクライナ侵攻に関する声明を発表した。ウクライナに約600人の従業員を擁し、西部の町ソロモノヴォで自動車を生産している同社は、約40万ユーロ(約5440万円)を慈善団体People in Needに寄付するという。

また、ウクライナ人労働者が「チェコ共和国で安全な生活を築けるよう」、ビザ申請、宿泊施設、語学コース、雇用、教育などを支援すると表明。


スコダ・エンヤクiV

「『人』は当社のブランド価値の1つである。今、この価値を行動に移すことがこれまで以上に重要になっている。当社と一緒に、我々の助けを必要とする人たちを応援しよう」

スコダは侵攻による供給不足のため、減産も余儀なくされている。

「現在のウクライナ情勢により、スコダは複数の現地サプライヤーからの部品の供給不足が深刻で、一部のモデルに影響が及んでいる。そのため、今週からエンヤクiV(同社の主力SUV)の生産を制限する」

スコダのサプライチェーンは、ウクライナ西部に拠点を置く複数のサプライヤーで構成されている。ロシアにも2つの工場があり、こちらはまだ稼働しているが、さらなる混乱が予想される。

「ロシアとウクライナでの販売戦略については、現在、集中的に議論している。ウクライナ、ロシアともに、最近の状況を鑑みれば、販売台数は減少することが予想される」

ロシアはスコダにとって2番目に大きな市場であり、2021年は約9万台を販売している。

フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンは、ロシアのウクライナ侵攻によって悪化したサプライチェーンの問題から、ロシアの現地ディーラーへの納車を一時停止した。ロシアのRIA通信が報じた。

必要な部品がウクライナで製造されていないため、フォルクスワーゲンの本国ドイツにある2つの工場では、「数日間」生産が停止される予定だ。


フォルクスワーゲン・ゴルフ

ボルボ

ボルボは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて行動を起こした最初の自動車メーカーで、ロシアへの自動車出荷を停止している。

ロイター通信によると、ボルボは「EUと米国が科した制裁を含め、ロシアとの貿易に関連する潜在的なリスク」があるため、この決定を下したとしている。


ボルボV90

ボルボは2021年にロシアで約9000台を販売したが、これらの車両はスウェーデン、中国、米国の工場からロシアに運ばれたものだ。