みなさん、こんにちは。株式会社エンタミナの田口真行です。

今回はライブ配信コンテンツづくりおける、一歩進んだ「OBS Studioの活用法」を、ライブ配信ビギナー層に向けてお届けします。それぞれ「ページに埋め込んだ解説動画」と合わせてお楽しみください。

※ちなみに私はWindowsを使用しています。ご紹介内容の一部は他OS環境では動作しないものもあるかもしれません。その点はあらかじめご了承ください。

※プラグインの利用にあたっては、対応OSやプラグイン同士の相性に注意して運用しましょう。

シームレスな画面切替え「Move Transition」

様々な画づくりができる「OBS Studio」は、事前に用意した画面レイアウトを「シーン」登録することでワンボタンで呼び出せます。

ライブ配信(またオンラインプレゼン)の進行中、シーン切替えは「トランジション」で実行しますが、標準機能では「シーンをまたいでオブジェクトをモーションさせる」ことができません。

例えば、「最初のシーンでロゴ画像を大きく表示して、次のシーンで演者の横にロゴがリサイズして移動」といった場合、外部プラグインが必要になります。

「Move Transition」プラグイン

この「Move Transition」プラグインをインストールすると、シーン切替えのトランジションで「MOVE」を選択できるようになります。これによりシームレスな画面レイアウトの切替えを実現できます。

オペレーションの向上「リモートコントローラー」

PCで動作する「OBS Studio」のライブ配信中のオペレーションは、キーボードやマウスだけでは限界があります。

とくに、(私のように)演者自身がプレゼンテーションを行いながら同時進行でオペレーションを担う場合、「シーン切替えしつつ、マイク音量を調整したい!」とか、「BGM音量を下げつつ、マイク音量を上げたい!」といった複数の同時操作が重なることもあります。そこでおすすめしたいのが、「フィジカルコントローラー」の活用です。

音楽の楽器演奏などに用いられるフィジカルコントローラーの多くは、USB-MIDIに対応していますが、「OBS Studio」は標準でMIDIに対応していないため、外部プラグインが必要になります。

「obs-midi」プラグイン

この「obs-midi」プラグインをインストールすると、USB-MIDI対応のフィジカルコントローラーで「OBS Studio」をコントロールできます。

コントローラーのボリュームフェーダーやツマミは、パラメータ値を連続可変させる音量調整など「直感的な操作」に最適です。

※USB-MIDI機器は様々な種類があるため、一部の機器は「OBS Studio」に対応していない場合もあります。

ワイヤレスなマルチカム「スマホカメラ×NDI」

これまで本コラムで取り上げてきた、映像や音声をネットワーク伝送できる「NDI」。 外部プラグインをインストールすることで、「OBS Studio」のインプットにNDIソースを選択できるようになります。

「obs-ndi」プラグイン

最近は、スマホ用の「NDIカメラアプリ」もあり、それを用いることで「ワイヤレスなマルチカム配信環境」を手軽に構築できます。

NDIカメラアプリ「NDI|HX Camera」(有料)

NDIカメラアプリ「LM-Cam」(iOS版のみ/一部有料)

また、「OBS Studio」はNDIのアウトプットにも対応しているため、マスターアウトやプレビューアウトの映像をスマホ端末で受信することもできます。 これにより「ワイヤレスなモニター環境」を手軽に構築できます。

NDIモニターアプリ「Stream Monitor for NDI HX」(iOS版のみ/有料)

NDIモニターアプリ「NDI Monitor」(iOS版のみ/有料)

以上、「OBS Studio」の現場活用のヒントにしていただければ嬉しいです。次回もどうぞお楽しみに!

田口真行(株式会社エンタミナ代表取締役/ウェブディレクター)
1999年、フリーのウェブディレクターとして独立後、株式会社デスクトップワークス(現・株式会社エンタミナ)を設立。企業サイトのディレクションを手がける傍ら、攻殻機動隊トリビュートアルバムのアートディレクションやSKYPerfecTV!「DesktopTV」のプロデュース、セミナーイベント主催など幅広く活動。ウェブディレクター育成機関「ウェブディレクタースクール」、ウェブディレクション支援ツール「Webディレクター手帳」、書籍「ディレクション思考」、ウェブディレクターの能力を可視化する業界初の試み「ディレクション検定」などの独自サービスを展開。動画制作や動画配信にも意欲的に取り組んでおり、2014年〜2020年の6年間で1,300本以上のライブ配信を実施。