コロナ禍の婚活において、すっかりメジャーとなった出会いの形。それは“マッチングアプリ”だ。

しかし、マッチングアプリでの恋愛や婚活を成功させるのにも、テクニックが必要なのだ。

―リアルではモテるのに、どうしてアプリでは“いいね!”が貰えない?
―メッセージは盛り上がっていたのに、なんでフェードアウトされた?
―初めての顔合わせの後、どうして二度目に繋がらない…?

あなたも抱いたことがあるかもしれない、数々の疑問。その答えあわせを、今ここで。




僕がマッチングアプリを再開したのは、35歳の誕生日だった。

その日は土曜日で、とりわけ寝起きの気分が最悪だった。なぜなら、元カノが夢に出てきたのだ。

ー大輔は私のこと、大事に思ってくれてた? もう少し連絡して欲しかったな、ずっと寂しかったよ。

元カノとの最後のやり取りが鮮明に蘇る。自分なりに努力はしていたつもりだが、どうもLINEの類は得意ではない。僕はそもそも、2〜3日なら平気で既読スルーをしてしまうような男なのだ。

スマホを手に取ってみるが、これといって誰からの連絡もない。なんと寂しい誕生日なのだろうか。

ー誰かとつながりたい。

ふとそんなことを思った僕は、スマホのホーム画面をスクロールする。

不意にマッチングアプリのアイコンが目に入った。彼女と別れた後、会社の同僚に勧められて登録したものの、1年近く放置していた。

正直に言うと当時は、マッチングアプリというものに若干の抵抗があったのだ。だがコロナ禍で出会いが減ったこともあり、僕の周りでもアプリを使っている人が一気に増え、すっかり身近なものになったと思う。

今日は誕生日だし、新しいことを始めるのにはいい日だろう。プロフィールは以前記入した内容から手直しをせず、僕はごく気軽な気持ちで相手を探し始めた。

アプリの画面を下から上にスクロールしながら、ズラリと並ぶ女性の写真を眺める。すると、ある美しい女性が目に留まった。


第一印象でピンときた彼女。テンポよくメッセージをしていたはずが…!?


Q1:マメなコミュニケーションを心掛けていたのに、何がダメだった?


ー美樹さん。可愛いな、年齢は33歳か。

白い肌に、肩にかかる長さのダークブラウンの髪。清楚系というのだろうか。

メインのプロフィール写真は、カフェでマグカップを手に持ちながら微笑む写真。2枚目の写真はどこかのドッグカフェだろうか。犬は好きだが、それよりもまず彼女の明るい笑顔ばかりが気になった。

そしてプロフィール文にも、さっと目を通す。

東京在住でひとり暮らし。休みは自分と同じ、土日らしい。それ以外にも、どんな仕事をしているかとか、趣味が温泉やカフェ巡りであること、そして行きつけのエリアや店など当たり障りのない情報が書かれていた。

ーうん、彼女いいな。“いいね!”をしてみよう。

何度もアプリを開いては、美樹のプロフィール写真を拡大して眺める。好みのタイプなのだ。

だがその日、美樹からの“いいね!”は返ってこなかった。

ーマッチングってもっと簡単にするものじゃないのか。

こうして、35歳の誕生日は静かに終わっていった。




美樹からの“いいね!”によって、晴れてマッチングが成立したのは翌日の夜だった。

ー大輔:美樹さん、初めまして。大輔といいます。よろしくお願いします。
ー美樹:メッセージありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。

アプリ内のメッセージ機能を使って、そこからしばらくやり取りが続いた。美樹との会話はテンポが良いというか、ノリが合うというか、とにかく心地が良い。

ー大輔:美樹さんは普段何時くらいに仕事が終わるんですか?
ー美樹:19時には終わります。なので、夜の時間の方がやり取りしやすいです。
ー大輔:僕もそうです。朝は弱くて(笑)。昼間は仕事でスマホを見る時間がなかなかないんです。それではまた明日の夜に連絡します、おやすみなさい。

正直なところ、寂しさを埋めるために再開したマッチングアプリだった。簡単に誰かとつながることができる、気軽な交流の場くらいにしか捉えていなかった。

そのはずが、気が付くと1週間のうち1日も欠かすことなく美樹とのやり取りが続いている。連絡不精な自分が、だ。

ー大輔:そういえば美樹さんてどんな仕事をされてるんですか?
ー美樹:化粧品会社の広報の仕事です。
ー大輔:職場はどのあたりですか?
ー美樹:清澄白河です。大輔さんは有楽町の近くなんですよね?
ー大輔:はい、よく銀座で飲んでます。美樹さんはどのあたりで食事をすることが多いですか?洋食派?和食派?エスニック料理とか好きですか?

気づけば、自分から積極的に質問をしていた。彼女のことを、もっと深く知りたい。好意を抱き始めている、と言ってもいいかもしれない。

ー美樹:職場の近くに気に入っているカフェがあって、そこによく行きます。辛いのは苦手だけど、タイ料理は好きです。
ー大輔:僕もタイ料理好きです。ヤムウンセンとか。日本橋にいいお店があるのでご一緒できたら嬉しいです。
ー美樹:ぜひ、楽しみにしてます。

美樹の返信はどれも丁寧で、少なからず自分のことを悪く思ってはいないだろうと感じさせる。

だが、それからしばらくすると美樹のメッセージに変化が表れ始めた。

ー大輔:動物は犬と猫、どちら派ですか?
ー美樹:犬です。
ー大輔:僕もどちらかと言ったら犬派です。飼ったことないですが。美樹さんは犬、飼ったことある?

プライベートに踏み込み過ぎたわけでもない。適度な距離感を保ちながらも、答えやすい質問をしたと思う。そもそも女の人は連絡の回数が多いほうが嬉しいと聞くし、元カノだって自分からの連絡の少なさに不満を持っていた。

だからこそマメな連絡を心掛けていたのに。美樹の態度が、どこかそっけないものに変わっていったのはどうしてだろう。


突然、反応が悪くなった彼女。そこから連絡の頻度にも変化が…。


Q2:おかしなことは聞いていないのに、徐々に返信のペースが遅くなっていったのは?


いつもは仕事が終わったあと、20時前後に送られてくる美樹からのメッセージ。それが丸2日なかった。

仕事が忙しいのかもしれないし、まだ2日返事がないだけだ。もう少し待ってみようと自分に言い聞かせる。

だが、毎日の習慣のようにおこなわれていたやり取りがパタリと途絶えたことは、多少なりとも気がかりだった。




結局、犬を飼ったことはあるかという質問には、“はい”とだけ返ってきた。

ー大輔:お疲れ様です。お仕事、少し落ち着きましたか?
ー美樹:はい、今夜はゆっくりと休めそうです。
ー大輔:それならよかった。そうだ、美樹さんは旅行はお好きですか?国内派?海外派?どちらですか?

我ながらグイグイ行き過ぎかとも思ったが、連絡が途絶えている間に感じた寂しさを、再び味わいたくなかったのだ。今やもう、彼女にすっかりハマっている。

だが、その返信もまた4日後に送られてきた。

ー美樹:旅行は国内派です。

以前はもう少し会話が広がりやすいやり取りだった気がする。本当に仕事が忙しいだけなのだろうか。

それからというもの、連絡のペースがガクンと落ちていった。

ー何か失礼なことでも聞いたかな?

過去のメッセージを読み返してみても、嫌がられるような質問はしていない。お互いに好きなエスニック料理の話で盛り上がり、今度一緒に食べに行きましょうと話していたことだってあった。

美樹との交流が途絶えて2週間が過ぎると、連絡が欲しいというよりは、なぜフェードアウトしたのかということのほうが頭の中をループする。

かつて別れた彼女に言われた「もう少し連絡して欲しかった」という言葉を思い出す。次の恋愛ではコミュニケーションを大切にしようと思っていたし、実際に相手のことを知る努力もしていたではないか。

ーそれなのにどうして…。一体何がいけなかったのだろう。

美樹のプロフィール写真を再び見つめながら、いくら考えても僕にはさっぱりわからなかった。

▶他にも:「彼の“1日限り”の相手だったなんて…」結婚を期待していた30歳女の傷口を、さらに広げた人物

▶【A】はプレミアム会員限定で公開!女はどうしてフェードアウトしたのか?